漢方の知恵袋
監修:菅沼 栄先生(中医学講師)
多くの女性がなんらかの不快症状を感じるというPMS。適切なケアをすれば不調を改善することもできるので、諦めず積極的に対処しましょう。重い症状に悩んでいる人は、婦人科や漢方医のいる薬局などに一度相談してみるのもおすすめです。
原因がはっきりしないPMSは、一人ひとりの体質や症状に合わせて柔軟に対応できる中医学の得意分野。体質に合わせた養生で不調を和らげ、月経と上手に付き合っていきましょう。
※症状によっては、子宮内膜症などの病気が隠れていることもあります。気になる場合は一度婦人科を受診しましょう。
・月経前の主な症状:イライラ、怒りっぽい、乳房の張り・痛み、頭痛、肩こり
・その他:ストレスが多い、熱っぽい、口の渇き、過食、月経時の下腹部の張り・痛み、舌辺が紅い、舌の苔が薄く黄色い
香りの良い涼性の食材でストレスを発散:
ミント、ハマナスの花、ジャスミン、菊花、みかんの皮、金針菜、黒きくらげ、うこん、春菊、三つ葉、竹の子 など
・月経前の主な症状:痛みが強い(頭痛、胸痛、腹痛など)、肩こり
・その他:冷え症、手足のしびれ、月経痛が強い、経血が黒っぽく塊が多い、舌の色が暗く瘀斑がある
身体を温めて血流をスムーズに:
紅花、よもぎ、シナモン、黒糖、しょうが、玉ねぎ、長ねぎ、小茴香、サフラン など
・月経前の主な症状:むくみやすい、太りやすい
・その他:痰が多い、吐き気、食欲不振、頭痛、めまい、尿が少ない、軟便、舌の苔がべたつく
月経前は、黄体ホルモン(女性ホルモンの一つ)の分泌が増える時期。
黄体ホルモンには、月経の出血などによる栄養不足を防ぐため、身体に栄養や水分を溜め込もうとする働きがあります。そのため、月経前になると身体がむくんだり、体重が増えやすくなったりします。
中医学では、こうした不調を、体内に「湿(しつ)」(余分な水分や汚れ)が停滞している状態と考えます。
湿の停滞を招きやすいのは、水分代謝を担う「脾胃(ひい)」(胃腸)の働きが弱くなっているタイプ。胃腸不調を感じやすい人は、日頃から脾胃をケアして健やかに保つよう心がけましょう。むくみなどを感じる時は、体内の余分な水分をすっきり取り除くことが大切です。
利水作用のあるものを積極的に:
きゅうり、すいか、とうがん、はと麦、緑豆、あずき、もやし、春雨 など
・月経前の主な症状:疲労感、倦怠感、不眠
・その他:顔色が蒼白、めまい、眼精疲労、ため息が多い、動悸、脱毛、月経量が少なく色が淡い、舌の色が淡い
「血」を養う食材を中心に:
なつめ、黒ごま、かつお、うなぎ、豚ヒレ肉、レバー、クコの実、ほうれん草、にんじん、黒糖、落花生、なまこ など
この記事を監修された先生
中医学講師/菅沼 栄先生
1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。
症状一覧
CHECK!
TYPEA
エネルギーとなる気が不足しています。
疲れやすくカラダがだるい、やる気が出ない、かぜをひきやすいなど、思い当たりませんか?
TYPEB
気の巡りが滞っています。
イライラして怒りっぽい、生理不順、お腹が張ってガスがでるなど、思い当たりませんか?
TYPEC
カラダの栄養となる血が不足。
冷えやめまい、立ちくらみ、抜け毛、爪が割れやすいなどの悩みはありませんか?
TYPED
全身の血の巡りが滞った状態です。
目の下のクマ、シミ、頭痛、がんこな肩こり、つらい生理痛で悩んでいませんか?
TYPEE
カラダの潤いが不足しています。
のぼせ、ほてり、寝汗、肌の乾燥やかゆみ、経血量が少ないなど、気になりませんか?
TYPEF
水分代謝が落ちた状態です。
太りやすい、むくみ、ニキビ、一日中眠気が取れないなどで悩んでいませんか?
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こころとカラダのこと、
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中医学はあなたの体調・体質に合わせて、つらい症状に対処し、元気とキレイを提案します。私たちは日々様々なストレスにさらされ、気づかないうちにこころもカラダも疲れています。病気ではないけれどなんとなく調子が悪い、改善されない不調がある。そんな方に、中医学の考え方をご紹介します。