漢方の知恵袋
監修:菅沼 栄先生(中医学講師)
寒い冬になると、「この寒さをなんとか乗り切りたい…」と思ったことはありませんか?私は寒さが苦手なので、毎年思います。
ですが、年末年始は忘年会や大掃除、新年を迎える準備と、何かと忙しい毎日を送る人も多いはず。そんな時だからこそ、カゼなど引かず元気に過ごしたいもの。
そのためにこの記事では、中国の伝統医学である中医学をもとに、冬を健康的に乗り切る方法を分かりやすく説明します。
冬の寒さからくる体調不良の特徴は、”冷え”や”痛み”。寒邪の侵入による症状「外寒」と、陽気不足による症状「内寒」に分けて、それぞれ多く見られる症状を紹介します。
カゼは「風邪(ふうじゃ)」が原因で現れる症状ですが、風邪はその他の邪気「寒邪」や「熱邪」「湿邪」「燥邪(そうじゃ)」などと結びついて体内に侵入します。冬に注意が必要なのは、寒邪と結びついた「風寒感冒」。悪寒が強く、発熱、頭痛、身体の痛み、無汗といった症状が特徴です。
ぞくぞくと寒気を感じたら、早めの対応が肝心。身体をしっかり温めましょう。
温性のも、辛味のあるもの、発散するものを中心に。
三つ葉、大根、ねぎ、白菜、葛、身体が温まる鍋料理もおすすめ
身体が冷えると、関節の冷えや痛みといった症状が現れます。激痛を伴うこともあり、冷えると痛みが増すこともあります。
この時期の関節痛は温めることで軽くなるので、とにかく冷えを取り除くことが大切。顔色が青白くなることも特徴なので、冷えによる関節痛のサインと考え注意してください。
冷えを除き、身体を温め血行を良くする食材を。
シナモン、紅花、よもぎ、温かい焼酎(少量のお酒)
寒い時期に現れる息切れや咳などの症状は、肺の陽気不足が原因に。カゼを引きやすい状態でもあるので、顔色が青白く、気になる症状があれば早めに対応しておきましょう。
全身の陽気を高め、身体を強くする食事を。
シナモン、スッポン、白きくらげ、豚肉(ヒレ)、生姜、ねぎ、百合根
寒さで「心(しん)」の陽気が不足すると、胸痛や動悸、息切れ、顔色の黒ずみといった症状が現れます。
心を養い、血行を促す食材をとりいれましょう。
らっきょう、シナモン、赤ワイン(少量)、鶏のはつ
内寒の症状の中でも多く見られるのが、「脾胃(ひい)」(胃腸)の陽気不足からくる消化器系の症状。胃の冷え・痛み、お腹の冷え・痛み、下痢、軟便といった症状が特徴です。
胃腸の冷えを取り除いてしっかり温めることを心がけ、胃腸の働きを整えましょう。
胃腸の冷えを取り除き、温める効果のあるものを。
シナモン、黒砂糖、八角、かぼちゃ、大豆、山芋、山椒の実、鶏肉のささみ
寒さで腎の陽気が不足すると、腰の冷えや腰痛、四肢の冷え、めまい、耳鳴りといった症状が現れます。
生命を維持するエネルギー源「精」を蓄える腎。この腎を養って強い体質をつくることは、冬を健康に過ごすための基本です。春に向けて、腎からしっかり体質改善をするように心がけましょう。
精をつけて腎を補うもの、温性のものを。
シナモン、くるみ、黒ゴマ、羊肉、牛肉、松の実
この記事を監修された先生
中医学講師/菅沼 栄先生
1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。
症状一覧
CHECK!
TYPEA
エネルギーとなる気が不足しています。
疲れやすくカラダがだるい、やる気が出ない、かぜをひきやすいなど、思い当たりませんか?
TYPEB
気の巡りが滞っています。
イライラして怒りっぽい、生理不順、お腹が張ってガスがでるなど、思い当たりませんか?
TYPEC
カラダの栄養となる血が不足。
冷えやめまい、立ちくらみ、抜け毛、爪が割れやすいなどの悩みはありませんか?
TYPED
全身の血の巡りが滞った状態です。
目の下のクマ、シミ、頭痛、がんこな肩こり、つらい生理痛で悩んでいませんか?
TYPEE
カラダの潤いが不足しています。
のぼせ、ほてり、寝汗、肌の乾燥やかゆみ、経血量が少ないなど、気になりませんか?
TYPEF
水分代謝が落ちた状態です。
太りやすい、むくみ、ニキビ、一日中眠気が取れないなどで悩んでいませんか?
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