漢方の知恵袋
監修:菅沼 栄先生(中医学講師)
人の身体を陰陽で捉えると、上半身は「陽」、下半身は「陰」にあたると中医学では考えます。体内に発生した「熱」は陽にあたる要素なので上半身に、「冷え」は陰の要素なので下半身に溜まりやすくなります。これを「上熱下寒(じょうねつげかん)」といいます。そのため、熱と冷えが体内に混在すると、顔や頭部がほてり、手足の先や下半身が冷える「冷えのぼせ」の症状が起こるのです。体内の不調を整え、冷えのぼせを起こす要因を根本から改善することが大切です。
暖房で冷えのぼせの症状が強くなる、手足の強い冷え、しびれ、痛みの症状(頭痛、関節痛、生理痛など)、顔色が蒼白(冷え)または暗い(血行不良)、皮膚のしみ・くすみ、舌の色が暗い・瘀点(おてん)がある、舌苔が白い
身体を温め血行を良くする、温性で血に作用する黒の食材:
紅花、らっきょう、黒きくらげ、いわし、納豆、紅茶、よもぎ、玉ねぎ、ウコン、さんま、適量の酒(紹興酒、赤ワイン) など
ストレスで冷えのぼせの症状が強くなる、頭痛、肩こり、イライラ、怒りっぽい、緊張しやすい、胸苦しい、のどの閉塞感、口の渇き、舌辺(舌の両脇)が紅い、舌苔が薄く黄色い
気の巡りを整え肝の熱を取る、涼性で香りの良いもの:
ミント、ちんぴ(乾燥したみかんの皮)、金針菜、春菊、竹の子、そば、ジャスミン、菊、ウコン、黒きくらげ、三つ葉、コリアンダー
疲労で冷えのぼせの症状が強くなる、疲労感、顔色が白い、めまい、食欲不振、お腹の張り、軟便・下痢、舌の色が淡い、舌苔が白い、汗がダラダラ出る
脾胃を養い気血を充実させる、温性・甘味の食材:
米、しょうが、シナモン、山椒の実、枸杞の実、ほうれん草、いんげん豆、鶏肉、卵、豆腐、ねぎ、フェンネル、なつめ、きのこ類、にんじん、かぼちゃ、鮭、黒糖 など。
特に手足の冷えが強い冷えのぼせ、入浴後もすぐ冷える、めまい、耳鳴り、難聴、ドライアイ、物忘れ、腰痛、腰がだるい、夜間頻尿、むくみ、舌の色が淡い、舌苔が白い
腎の働きを整え陽気を養う、温性・腎に作用する黒の食材:
くるみ、松の実、山芋、肉桂(ニッキ)、海老、羊肉、黒ごま、桑の実、にら、なまこ、スッポン など
・毎日の入浴で身体を温める。半身浴、足浴などもオススメ
・身体を積極的に動かして陽気を巡らせ、血行の促進を
・冬の寒さ対策、夏の冷房対策で身体を冷えから守る
・季節を問わず、飲食は“温かいもの”を心がけて
・睡眠を十分に取り、体温を調節する自律神経を整えることも大切
・趣味やおしゃべりを楽しんで、ストレスを溜めない工夫を
月刊誌『チャイナビュー』(イスクラ産業発行)より掲載
この記事を監修された先生
中医学講師/菅沼 栄先生
1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。
症状一覧
CHECK!
TYPEA
エネルギーとなる気が不足しています。
疲れやすくカラダがだるい、やる気が出ない、かぜをひきやすいなど、思い当たりませんか?
TYPEB
気の巡りが滞っています。
イライラして怒りっぽい、生理不順、お腹が張ってガスがでるなど、思い当たりませんか?
TYPEC
カラダの栄養となる血が不足。
冷えやめまい、立ちくらみ、抜け毛、爪が割れやすいなどの悩みはありませんか?
TYPED
全身の血の巡りが滞った状態です。
目の下のクマ、シミ、頭痛、がんこな肩こり、つらい生理痛で悩んでいませんか?
TYPEE
カラダの潤いが不足しています。
のぼせ、ほてり、寝汗、肌の乾燥やかゆみ、経血量が少ないなど、気になりませんか?
TYPEF
水分代謝が落ちた状態です。
太りやすい、むくみ、ニキビ、一日中眠気が取れないなどで悩んでいませんか?
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