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おりもの「おりもの」の症状とトラブル別の対処方法

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

女性特有の現象である「おりもの」は膣に雑菌が入るのを防ぎ、清潔に保つための分泌液です。それ自体は病気によるものではありません。
しかし、おりものの状態によっては身体の不調を知る目安になるのです。そこでこの記事では、中国の伝統医学である中医学をもとに、おりものが示す健康状態を分かりやすく説明します。

おりものの状態から、身体の不調をチェック

正常なおりものは無色透明で臭いも少なく、量も少量。一般的に、生理前や排卵期、妊娠期にはやや多くなり、閉経後には減少します。おりものがこのような状態であれば、特に心配する必要はありません。
しかし、量が増える、匂いが強くなる、色を帯びている、といった状態や、陰部のかゆみがある、腰痛、腹痛などの症状を伴う場合は、改善を心がることが大切です。
不快なおりものは、身体のさまざまな不調によって発生する「湿邪(しつじゃ)」が原因。おりものの状態は、その不調を知る目安となるのでよく観察するようにしましょう。
がまんできないほどでもなく、人にもなかなか相談しにくい。そんな理由から、日本では検査をせずに済ませる人が多いのが現状です。
しかし、異常なおりものは、膣炎、子宮筋腫、卵管炎などといった女性特有の病気を知らせるサインとなっていることも。気になる症状があれば、軽視せずに対処してください。
病院で検査を受けても特に問題がないようであれば、体内の不調が原因と考え、根本的な体質改善を心がけましょう。

check!おりもので健康チェック!〜トラブル別対処法〜

不快なおりものは、身体のさまざまな不調を知らせるサイン。ここでは、よく見られる3つのトラブル別に、その原因と対処法をご紹介します。

1 量が多い・白っぽい・臭いは少なめ「脾虚(ひきょ)」タイプ

気になる症状

疲労感、食欲不振、むくみ、下痢・軟便になりやすい、顔色が白い

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改善ポイント
【消化機能の低下が原因】
暴飲暴食や不規則な食事、疲労、ストレスなどが原因で「脾胃(ひい)」(胃腸)の機能が低下すると、水分を全身に運ぶことができなくなってしまします。その結果、体内に余分な水分や汚れが停滞し、「湿邪(しつじゃ)」が生まれるのです。
このタイプのおりものは、このように発生した体内の湿邪が、身体の下部に集まっている状態。おりものの量が多く、疲労感、食欲不振、下痢、むくみなどの症状が現れます。
余分な湿を取り除くと同時に、弱った脾胃を健やかに保つよう心がけましょう。
摂り入れたい食材

湿を取り除き、脾胃の機能を健やかにする食材を:
いんげん豆、豆乳、銀杏、蓮の実、はと麦、とんぶり など

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2 量が多い・色が薄く水っぽい「腎虚(じんきょ)」タイプ

気になる症状

冷え性、腰痛・腰がだるい、めまい、耳鳴り、物忘れ、夜間の頻尿

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改善ポイント
【腎のパワーが弱く、陽気が不足】
腎は生命活動の源ともいえる臓腑であることから、加齢とともに、その機能が自然と衰えていきます。また、慢性疾患による消耗から、腎の働きが弱くなることもあります。
このような原因で腎の「陽気」(エネルギー)が不足すると、「陰邪(いんじゃ)」である湿邪(しつじゃ)が発生し、不快なおりものの原因に。また、腎の機能が弱くなると、身体に必要な水分を体内で留めておく力が不足し、おりものの量が増えてしまいます。
このタイプは更年期に見られることが多く、冷え性、腰痛、めまい、耳鳴り、物忘れ、夜間の頻尿といった症状を伴うこと特徴です。
腎を養うことを心がけ、おりものの流出を防ぎましょう。
摂り入れたい食材

五臓六腑の基本である腎を養い、水分の流出を防ぐ:
山芋、クコの実、ニラ、くるみ、栗、ざくろ など

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3 色が黄または赤っぽい・粘りがある・臭いが強い「湿熱(しつねつ)」タイプ

気になる症状

下腹部の痛み、陰部の痛み・かゆみ、熱っぽい、口が乾く、口臭がある、尿の色が濃い、便秘気味

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改善ポイント
【湿邪が長く停滞し、熱っぽい】
他の2つのタイプでは、不快なおりものの原因「湿邪(しつじゃ)」が発生する仕組みついてご紹介しました。これらの症状は初期のうちに改善することが大切ですが、長期化して湿邪が体内に長く停滞すると熱が発生し「湿熱」へと進行してしまったのがこのタイプです。また、湿熱は生理期間中や妊娠期間中に発生することもあります。
湿熱タイプのおりものは、黄色または赤みを帯びていて、粘りがあり、臭いも強くなります。また、下腹部や陰部の痛み、微熱、口の乾き、口臭、尿の色が濃い、便秘気味といった症状を伴うことも特徴。
体内の湿熱を取り除きながら、通便を良くするなど解毒を考えることも大切です。
摂り入れたい食材

体内の湿熱を取り除く食材、利尿・通便作用のある食材を:
苦瓜、緑豆、せり、黄柏(おうばく)、干し柿、バナナ、いちじく、スベリヒユ など

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point!しっかり体力をつけ、清潔を心がけましょう

不快なおりものの症状を解消するためには、身体の中から改善していくことが大切です。
免疫力の低下も根本的な原因となるので、まずは「十分に睡眠をとる」「バランスの良い食事を心がける」など、しっかり体力を養うことを基本に考えましょう。
また、湿邪は「陰」にあたるため、身体を冷やさないようあたかかくする工夫も忘れずに。
おりものが気になるときは、通気性の良い綿素材の下着を選び、なるべく蒸れを防ぐようにしてください。常に清潔な状態を心がけること、入浴の際は刺激の少ない石けんを選ぶことなどもポイントです。
また、菖蒲湯もおすすめです。漢方では、菖蒲は胃を健やかにし、邪気を発散する薬草として使われています。
香り高くアロマテラピー効果も期待できるので、季節のお風呂をゆっくり楽しんでみてはいかがでしょうか。月刊誌『チャイナビュー』(イスクラ産業発行)より掲載

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この記事を監修された先生

中医学講師/菅沼 栄先生

1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。

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TYPEC

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TYPED

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瘀血(おけつ)

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陰虚(いんきょ)

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