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便秘体質改善による便秘解消で毎日スッキリする方法

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

突然ですが、便秘で悩んでいたりしませんか?便秘に悩んでいる人は意外と多く、特に女性は2人に1人が便秘とも言われています。
慢性的な便秘は肌荒れや冷え症などの原因にもなるので、早めに対策した方がいいですね。

そこでこの記事では、中国の伝統医学である中医学をもとに、便秘対策を分かりやすく説明します。

便秘のタイプを知り、根本的な体質改善を

排便は健康のバロメーターです。中医学の古典にも「一日一便」という記載があり、毎日排便があれば身体も健やかに保たれると考えます。

実際には、排便には個人差があり、人によっては一日に数回排便があったり、2~3日に1回のペースだったり、ということも。毎日排便がなくても、お腹の不調や排便の苦痛などを感じなければ便秘ではありません。
反対に、何日も排便がなくお腹に張りを感じる、毎日排便はあるものの排便が困難だったり苦痛を感じたりする、といった場合は便秘にあたります。

中医学では、こうした便秘の症状を大きく2つのタイプに分けて考えます。
1つは体内に余分なものが溜まり過ぎてしまう「実証タイプ」の便秘。
“身体に熱がこもり、便が乾燥して硬くなる”“過剰なストレスで便通が悪くなる”といった症状が現れます。

もう1つは、身体に必要なものが足りていない「虚証(きょしょう)タイプ」の便秘。
体内の「陽気」(エネルギー)が足りず、「脾胃(ひい)」(胃腸)の不調や冷えから便秘になったり、体内の「血」が不足して、潤い不足から便が乾燥したり、といった症状が現れます。

体内の有害物質を外へ出す排便は、健康を保つ上でも大切なこと。慢性的な便秘は、食欲不振や肌荒れ、冷え、頭痛などさまざまな不調を引き起こす原因にもなるので、早めの対策でスムーズに排便できる体質を作りましょう

 

check!排便をスムーズに! タイプ別・便秘の養生法

一口に便秘といっても、そのタイプはさまざま。薬に頼るだけでなく、便秘の根本的な原因を考えて自分の体質に合った対策が大切です。
便秘は食事との関わりも大きいので、まずは毎日の食生活を見直し、日頃の食養生で快便体質へと改善していきましょう。

1 便が乾燥して硬くなる「熱」タイプ

気になる症状

便が乾燥して硬い、尿の色が濃い、暑がり、赤ら顔、怒りっぽい、口が渇く、口臭、お腹が張って痛むときがある、舌の色が紅い、舌の苔が黄色い

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改善ポイント

【身体に熱がこもり、腸内が潤い不足に】

身体に余分な熱がこもっていると、水分を消耗して腸内も乾燥してしまいます。その結果、便も乾燥して硬くなり、出にくくなってしまうのです。
このタイプの便秘は、「陽気」(エネルギー)が過剰、怒りっぽい、暑がり、味の濃いものや油っこいもの、辛いものが好き、お酒をよく飲む、といった人に多く見られます。まずは食生活の改善を心がけ、体内の熱を冷まして腸の潤いを保つよう心がけましょう。

摂り入れたい食材

余分な熱を冷まし、腸を潤す食材を:
きゅうり、バナナ、アロエ、こんにゃく、ごぼう、スイカの種、ひまわりの種、ハブ茶

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2 お腹が張る、ガスが溜まる「ストレス」タイプ

気になる症状

スムーズに排便できない、お腹が張る、膨満感がある、ゲップやガスが多い

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改善ポイント

【気の流れが悪く、スムーズに便が出ない】

体内の「気」がスムーズに流れていると、腸も活発に働きます。しかし、過剰なストレスが溜まると気の流れが滞ってしまい、腸の働きが低下して便が出にくくなってしまうのです。旅行などで環境が変わると便秘になる、という人もこのタイプ。
また、運動不足も気の流れが悪くなる原因になるので、日頃からストレスを上手に発散して、適度に身体を動かすことを心がけましょう。

摂り入れたい食材

腸内の気の流れをスムーズに:
大根、しその種、杏仁、かぶ、しそ油、オリーブ油

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3 身体が冷える、疲れやすい 「陽気不足」タイプ

気になる症状

便が出にくい、排便後に疲労感がある、脱肛、息切れ、倦怠感、冷えやすい、顔色が白い、舌の色が淡い

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改善ポイント

【消化不良や軟便、下痢などの不調にも要注意】

胃腸は冷えに弱い臓器。そのため、虚弱体質や疲労、加齢、病後などで体内の「陽気」(エネルギー)が不足していると、胃腸も冷えて働きが低下し、便が出にくくなってしまいます。
このタイプは、便秘だけでなく消化不良や食欲不振、軟便、下痢など、さまざまな胃腸の不調があらわれることも。まずは基本的な体力をつけて体内の陽気を養い、胃腸の働きを高めることが大切です。

摂り入れたい食材

陽気を補い、胃腸の働きを高めて便秘を改善:
山椒の実、生姜、くるみ、松の実

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4 女性や高齢者に多い「血(けつ)不足」タイプ

気になる症状

便が乾燥している、肌や髪にツヤがない、顔色が黄色い、動悸、めまい、脱毛、若白髪、月経量が少ない、舌の色が淡い

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改善ポイント

【腸の潤い不足で、便がコロコロと乾燥気味に】

「血」は体内に潤いを与える成分です。そのため、生理後や出産後、下痢、加齢、貧血気味などで体内の血が不足していると、腸の潤いも不足し、便が乾燥してスムーズに排便できなくなってしまうのです。
対策の基本は、足りない血を補いながら、腸の潤いを保つこと。身体を内側から潤す食材を積極的に摂り、スムーズに排便できるよう身体を整えましょう。

摂り入れたい食材

血を補い、身体を潤す食材を:
ごま、蜂蜜、じゃがいも、いちじく、麻の実、プルーン、キウイ、ヨーグルト、鶏スープ、白菜

閉じる

point!便秘になりにくい生活習慣を

便秘は日常の生活習慣が原因になっていることが多いもの。食事はもちろん、適度な運動を心がける、ストレスを上手に解消する、トイレをあまり我慢しない、など生活面での工夫も大切です。

【スッキリ快便のポイント】
・しっかり睡眠:身体の潤いを保つためにも睡眠は大切。毎日きちんと睡眠をとりましょう。
・朝食を食べる:空っぽの胃に食べ物を入れることで、腸を刺激して排便を促します。
・排便のリズムをつくる:できれば朝食後の排便習慣を。便意がなくてもトイレに行き、身体にリズムをつくることが大切です。
・ストレスを溜めない:身体を動かしたり趣味を楽しんだり、こまめなストレス発散を。
・身体を冷やさない:冷たい飲食物の摂り過ぎ、薄着、過剰な冷房などには注意しましょう。
・適度な運動+マッサージ:軽い運動やマッサージで、腸の働きを活発に。

【排便を促す「の」の字マッサージ】
おへその周りを、「の」の字を描くように時計回りにマッサージ。
お腹の力を抜き、軽く指圧しながらゆっくりと2~3周行いましょう。マッサージのタイミングは、朝に食べ物が届く食後3~5時間後くらいが目安です。

月刊誌『チャイナビュー』(イスクラ産業発行)より掲載

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この記事を監修された先生

中医学講師/菅沼 栄先生

1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。

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