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疲れ目目の疲れの原因とスッキリ改善する方法とは?

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

目が疲れてつらいと思っていませんか?

テレビやパソコン、スマートフォンなど、現代の暮らしでは何かと目を酷使しているもの。目の疲れはつらい頭痛や肩こりなどにもつながるので、日頃から目を大切にする習慣を身に付けましょう。

 

この記事では、中国の伝統医学である中医学をもとに、疲れ目の要因と対策を分かりやすく説明します。

目の疲れや症状は、「肝(かん)」の不調から

中医学では、目の状態も五臓六腑(ごぞうろっぷ:人間の内蔵全体)と密接に関係していると考えます。特に目と関わりが深いのは、「血(けつ)」の貯蔵庫である五臓の「肝(かん)」。中医学には「肝は目に開く」という言葉があり、これは肝と目に密接な関係があることを示し、肝に蓄えられている血は、目の大切な栄養源となると考えるのです。

 

反対に、目を使うことで体内の血は消耗されていきます。その結果、目を酷使すると血の消耗が激しくなり、目に栄養が行き届かず疲れや痛みなどの症状が現れるのです。

 

また「肝腎同源(かんじんどうげん)」とも言われ、肝と腎は互いの働きをサポートし合う関係にあります。そのため、肝の機能を高めるためには、合わせて腎を強くすることも大切です。

 

check!体質・体調でチェック!タイプ別・目の養生法

同じ目の症状でも、体質や体調によってその原因はそれぞれ異なります。目の疲れや痛み、乾きといった不快感を感じたら、自分の体質やその時の体調などを考えた対応を。ここでは、主に3つのタイプに分けて、その症状と対策をご紹介します。

1 女性は要注意「肝血虚(かんけっきょ)」タイプ

気になる症状

視力の低下、目の疲労、目の乾燥

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改善ポイント

【血の不足が目の疲れの原因に】

 

目の使い過ぎで血(けつ)を消耗したり、月経や出産、病気などで血が必要以上に失われたりすると、肝(かん)に蓄えられる血の量が不足する「肝血虚(かんけっきょ)」の状態に。また、先天的な虚弱体質、ストレスや心身の疲労、胃腸障害、過度なダイエットなども血の不足につながります。

 

血が不足すると目に十分な栄養が行き届かず、視力の低下、目の疲労、乾燥といった症状が現れます。肝血虚の状態になると、目の症状のほか、めまい、手足のしびれや冷え、不眠、顔色にツヤがなくなる、月経の量が少なくなる、髪が乾燥してパサつく、髪が薄くなる、といった症状が見られるので、気になる症状がある人は要注意。特に生理時には強く症状を感じることもあります。

 

このタイプは、まず肝の血を補って機能を高めることが大切です。以下の食材を参考にして、目に十分な栄養を与えるようにしましょう。

摂り入れたい食材

血を養い、目に栄養を与える食材を取り入れましょう。
ぶどう、レーズン、ブルーベリー、くこの実、なつめ、レバー、にんじん、ほうれん草、菊花茶など

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2 ストレスが溜まった「肝鬱(かんうつ)」タイプ

気になる症状

目の痛み、目が疲れやすい

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改善ポイント

【ストレスやイライラが肝の機能の低下に】

 

ストレスが溜まったり、イライラやうつ気分が続いたりすると、全身に栄養を運んで老廃物を回収する肝(かん)の機能が低下し、気の巡りが滞ってしまいます。その結果、目の痛みや疲れやすさ、視力の低下といった症状が現れます。

 

精神的なストレスが強くなるほど、目の症状も強くなるのが特徴で、目の症状のほか、頭痛や肩こり、イライラ、不眠、不安感、月経痛、月経不順といった症状を伴います。

 

肝鬱タイプの対策は、肝を養い、ストレスを発散することで肝の機能を回復することが基本。ストレスやイライラを感じやすい人は、うまく発散して溜め込まないように心がけましょう。

摂り入れたい食材

ストレスや鬱気分を発散するお茶や涼性※の食材がポイント。
玫瑰花(マイカイカ)のお茶、ジャスミン茶、桑の葉茶、緑茶、ハブ茶、ハッカ、あわび、さざえ、あさりなど

※涼性:からだの熱を冷ます性質

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3 中高年に多い「肝腎陰虚(かんじんいんきょ)」タイプ

気になる症状

目の疲労感、飛蚊症、視力低下、目のかすみ、目の症状が長期化する

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改善ポイント

【中高年に多い症状。慢性病や老化で腎が弱い】

 

慢性病や老化、長引く肝血虚の状態などが原因で、肝と腎の陰液(体液)が消耗しているタイプ。白内障など目の病気にかかりやすくなり、症状が長期化することもあります。目の疲労感やかすみ、視力の低下など、眼精疲労の症状がはっきりと現れるのも特徴。

 

それに伴って、腰痛や耳鳴り、難聴、物忘れ、手足のほてり、口の渇きといった症状が現れます。肝と腎は「肝腎同源(かんじんどうげん)」といわれるほど密接な関係にあります。五臓の相関関係でみると肝は腎に養われる関係にあり、肝の機能を回復するためには、腎も強くしなければなりません。そのため、肝腎陰虚タイプの対策では、肝と腎、両方の陰液を補いながら、機能を高める必要があります。以下に挙げた食材を上手にとり入れてみてください。

 

また、このタイプは、特に閉経後や50歳以上の中高年に多く見られます。思い当たる症状がある人は、日頃の生活の中で肝腎を整えるよう心がけ、目の働きを高めましょう。

摂り入れたい食材

腎の機能を補い、目に栄養を与える食材を摂るようにしましょう。
ごま、くるみ、松の実、桑の実、山芋、羊のレバー、うなぎの肝など

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point!目を休め、疲れをやわらげる習慣を

目の疲れや痛み、充血といった症状は、心身が疲れていることを知らせるシグナルです。症状が重くなり頭痛や肩こりなどを引き起こす前に、普段の生活の中で目の疲れをやわらげる習慣を身に付けましょう。

 

・パソコンのモニターやテレビを見ていて疲れたなと感じたら、目を少し休める。

・ウォーキングやストレッチで適度に運動する。

・アロマオイルの香りでゆったりくつろいだり、心身ともにリラックスする。

・肝の熱を冷まし、目をすっきりさせてくれる「菊花茶」を普段から飲む。

・窓から遠くを見たり、目の血行をよくするツボをマッサージする。

両手の親指を耳の後ろのくぼみに当てながら、人差し指か中指でイラストにあるツボをマッサージしましょう。各8回くらいずつが目安です。
印堂(いんどう):陥没している眉間の中央
攅竹(さんちく):左右の眉頭の内側のくぼみ
四白(しはく):左右の目の真下
太陽(たいよう):こめかみのやや目尻寄りのくぼみ
睛明(せいめい):左右の目頭の上のくぼみ

月刊誌『チャイナビュー』(イスクラ産業発行)より掲載

目の血行をよくするツボをマッサージしましょう

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この記事を監修された先生

中医学講師/菅沼 栄先生

1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。

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