漢方の知恵袋

冷えのぼせ実は重い冷え症!?体質改善で解消!

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

手足は冷たいのに、顔はほてって熱い。そんな「冷えのぼせ」の症状に悩む人が増えていると言います。一見すると更年期の不調と思われがちですが、実際は年齢を問わず現れる症状。放っておくとさまざまな不調につながるので、積極的に体質を整えて不快な症状を改善しましょう。

「冷えのぼせ」は重い冷え症と考えて

「冷えのぼせ」は、手足の先や下半身が冷えていて、顔や頭部などの上半身は熱っぽい状態を言います。更年期に起こる“ホットフラッシュ”とよく似ていますが、冷えのぼせは「冷え症」の一つ。年齢を問わず、誰にでも起こる可能性があります。
正反対にも思える“冷え”と“のぼせ”の症状ですが、これは冷えに対する体の反応によって起こるもの。私たちの身体は、体内の熱が不足すると、手足の末端の温度を下げて頭部(脳)の温度を守るように働きます。こうした状態が続くと、体温を調節する自律神経の働きが乱れ、冷えとのぼせが混在した“冷えのぼせ”が起こるのです。
 
中医学でも、冷えのぼせは主に身体の冷えから起こる症状と考えます。その要因は、寒さによる血行不良、ストレスによる「気」、「血(けつ)」の巡りの停滞、「脾胃(ひい)」(胃腸)の虚弱による気血不足、腎の不調による陽気不足など。こうした体内の不調が冷えと熱の混在を起こし、冷えのぼせにつながるのです。
 
冷えのぼせ自体は病気ではありませんが、放っておくと不眠、イライラ、肩こり、めまい、頭痛といったさまざまな不調につながる心配も。不快な症状が続くと精神的にも負担になるので、日頃のケアで体質を健やかに整え、まずは“冷えない身体づくり”を目指しましょう。

check!タイプ別「冷えのぼせ」の対処法

人の体を陰陽で捉えると、上半身は「陽」、下半身は「陰」にあたると中医学では考えます。体内に発生した「熱」は陽にあたる要素なので上半身に、「冷え」は陰の要素なので下半身に溜まりやすくなります。これを「上熱下寒(じょうねつげかん)」といいます。そのため、熱と冷えが体内に混在すると、顔や頭部がほてり、手足の先や下半身が冷える「冷えのぼせ」の症状が起こるのです。体内の不調を整え、冷えのぼせを起こす要因を根本から改善することが大切です。

1 寒さによる 「瘀血」(血行不良)タイプ

気になる症状
暖房で冷えのぼせの症状が強くなる、手足の強い冷え、しびれ、痛みの症状(頭痛、関節痛、生理痛など)、顔色が蒼白(冷え)または暗い(血行不良)、皮膚のしみ・くすみ、舌の色が暗い・瘀点(おてん)がある、舌苔が白い
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改善ポイント
「血」は体内を巡って体を温めているため、冬の寒さや冷房などで血流が悪化すると「冷え」を招く要因に。一方、温かい血の流れが停滞すると、余分な「熱」がこもることもあります。「瘀血(おけつ)」による「冷えのぼせ」は、こうした血の特徴によって冷えと熱が混在した状態。熱は上へと昇る性質があるため、顔や頭部にほてりが生じます。反対に、手足の先には十分な血が巡らず、冷えを招いてしまうのです。
養生の基本は、体をしっかり温めて血行を促すこと。冬は症状が強く出やすいので、瘀血がある人は積極的に寒さ対策をしましょう。
摂り入れたい食材
体を温め血行を良くする、温性で血に作用する黒の食材:
紅花、らっきょう、黒きくらげ、いわし、納豆、紅茶、よもぎ、玉ねぎ、ウコン、さんま、適量の酒(紹興酒、赤ワイン) など

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2 ストレスが多い 「気滞」タイプ

気になる症状
ストレスで冷えのぼせの症状が強くなる、頭痛、肩こり、イライラ、怒りっぽい、緊張しやすい、胸苦しい、のどの閉塞感、口の渇き、舌辺(舌の両脇)が紅い、舌苔が薄く黄色い
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改善ポイント
五臓の「肝(かん)」(肝臓)は、「気」(エネルギー)の巡りをスムーズに保つ働きをしています。ところが、過剰なストレスを受けると肝の機能が低下し、気の巡りが滞りがちに。すると、気のエネルギーが停滞して体内に「熱」が発生し、ほてりやのぼせの症状につながります。
一方、気は「血」の流れをサポートしているため、気の巡りが停滞すると血流の悪化も招くことに。結果、手足の先まで十分な血が巡らず、「冷え」を起こしてしまうのです。こうした熱と冷えの混在が、「冷えのぼせ」を招く要因となります。
肝は体温を調節する自律神経の状態とも深く関わる臓器。不快な症状を改善するためにも、日頃のストレスを上手に発散して肝を健やかに保つよう心がけましょう。
摂り入れたい食材
気の巡りを整え肝の熱を取る、涼性で香りの良いもの:
ミント、ちんぴ(乾燥したみかんの皮)、金針菜、春菊、竹の子、そば、ジャスミン、菊、ウコン、黒きくらげ、三つ葉、コリアンダー

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3 気血不足の 「胃腸虚弱」タイプ

気になる症状
疲労で冷えのぼせの症状が強くなる、疲労感、顔色が白い、めまい、食欲不振、お腹の張り、軟便・下痢、舌の色が淡い、舌苔が白い、汗がダラダラ出る
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改善ポイント
体内の「気」(エネルギー)や「血(けつ)」は、体を温める大切な要素。そのため食事の栄養から気血を生み出す「脾胃(ひい)」(胃腸)の働きが弱くなると、体内の気血が不足して「冷え」を招きやすくなります。
一方、脾胃の機能が低下して消化不良を起こすと、食物が停滞して体内に「湿熱(しつねつ)」が発生することも。結果、冷えと熱が混在して「冷えのぼせ」が起こるのです。
暴飲暴食、脂っこい食事や甘いものの取り過ぎといった食の不摂生を続けていると、脾胃に大きな負担をかけるので要注意。食生活を整えて、日頃から元気な脾胃を保つよう心がけましょう。
摂り入れたい食材
脾胃を養い気血を充実させる、温性・甘味の食材:
米、しょうが、シナモン、山椒の実、枸杞の実、ほうれん草、いんげん豆、鶏肉、卵、豆腐、ねぎ、フェンネル、なつめ、きのこ類、にんじん、かぼちゃ、鮭、黒糖 など。

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4 高齢者に多い 「腎の虚弱」タイプ

気になる症状
特に手足の冷えが強い冷えのぼせ、入浴後もすぐ冷える、めまい、耳鳴り、難聴、ドライアイ、物忘れ、腰痛、腰がだるい、夜間頻尿、むくみ、舌の色が淡い、舌苔が白い
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改善ポイント
「腎」は五臓六腑の働きを支える基本であり、体内の陰陽の根本でもあります。そのため、腎の機能が低下すると臓器全体の働きが落ち、体を温める「陽気」(エネルギー)も不足して、「冷え」が起こりやすくなります。
また、陰の要素(潤いなど)も不足しがちになるため、身体の余分な「熱」を冷ますことができず、ほてりやのぼせの症状が現れることも。こうした腎の虚弱による「冷えのぼせ」は、陰陽のバランスが崩れていることで症状が強く出やすいので注意が必要です。
腎の機能は加齢とともに衰えるため、更年期以降の人は積極的に養生を。体をしっかり温める(特に腰まわり)、睡眠を十分にとるなど、日頃のケアで腎の働きを健やかに保ちましょう。
摂り入れたい食材
腎の働きを整え陽気を養う、温性・腎に作用する黒の食材:
くるみ、松の実、山芋、肉桂(ニッキ)、海老、羊肉、黒ごま、桑の実、にら、なま、スッポン など

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point!暮らしのポイント

・毎日の入浴で体を温める。半身浴、足浴などもオススメ
・体を積極的に動かして陽気を巡らせ、血行の促進を
・冬の寒さ対策、夏の冷房対策で体を冷えから守る
・季節を問わず、飲食は“温かいもの”を心がけて
・睡眠を十分に取り、体温を調節する自律神経を整えることも大切
・趣味やおしゃべりを楽しんで、ストレスを溜めない工夫を


月刊誌『チャイナビュー』(イスクラ産業発行)より掲載

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PROFILE

中医学講師/監修 菅沼 栄先生

1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。 主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)など。

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チェックしよう!あなたの体質はどのタイプ?

同じ症状でも体質が違えば
対策は人それぞれ異なります。
まずは中医学の視点から
あなたの体質タイプを知りましょう。

TYPEA

「元気不足」タイプ
気虚(ききょ)

エネルギーとなる気が不足しています。
疲れやすくカラダがだるい、やる気が出ない、かぜをひきやすいなど、思い当たりませんか?

TYPEB

「イライラ」タイプ
気滞(きたい)

気の巡りが滞っています。
イライラして怒りっぽい、生理不順、お腹が張ってガスがでるなど、思い当たりませんか?

TYPEC

「血液の不足」タイプ
血虚(けっきょ)

カラダの栄養となる血が不足。
冷えやめまい、立ちくらみ、抜け毛、爪が割れやすいなどの悩みはありませんか?

TYPED

「血液ドロドロ」タイプ
瘀血(おけつ)

全身の血の巡りが滞った状態です。
目の下のクマ、シミ、頭痛、がんこな肩こり、つらい生理痛で悩んでいませんか?

TYPEE

「潤い不足」タイプ
陰虚(いんきょ)

カラダの潤いが不足しています。
のぼせ、ほてり、寝汗、肌の乾燥やかゆみ、経血量が少ないなど、気になりませんか?

TYPEF

「ため込み」タイプ
痰湿(たんしつ)

水分代謝が落ちた状態です。
太りやすい、むくみ、ニキビ、一日中眠気が取れないなどで悩んでいませんか?

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