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うつ病ココロのトラブルを上手に解消する方法

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

生活環境が変わったりして情緒が不安定になったことはありませんか?特に春は、入学、入社など生活環境ががらりと変わることもありますよね。

そんなときは、日頃のケアを心がけて心身をバランスよく整えましょう。

この記事では、中国の伝統医学である中医学をもとに、心身のバランスを整える方法を分かりやすく説明します。

うつの原因は「気」「血(けつ)」の停滞・不足?

「うつ病」などの精神トラブルは、身体のエネルギーとなる「気」や心身に栄養を与える「血(けつ)」の流れが滞ったり、不足したりすると起こりやすくなります。
気・血の状態と深く関係しているのは、「肝(かん)」(肝臓)。「肝」はストレスを発散させて気をスムーズに巡らせ、血を蓄える臓器です。そのため、過剰なストレスなどで「肝」の機能が低下すると、気の停滞や血の不足を招き、ストレスへの対応力も弱くなって、うつを招いてしまうのです。

「心と身体は全体で一つ」とする中医学では、うつの原因は身体の不調にもあると考えます。生活習慣や食事の改善を心がけ、心身をバランスよく整えましょう。

 

check!身体のバランスを整えて、心のトラブルを上手に解消

うつの原因は、ストレスだけでなく身体の中にもあります。まずはその原因を知り、改善していくことが大切。身体のバランスを整えながら、心のトラブルを上手に解消していきましょう。

1 最も多い初期症状「肝気鬱結(かんきうっけつ)」タイプ

気になる症状

憂鬱、情緒不安定、胸部・腹部の張り・痛み、食欲不振、口の渇き、頭痛、月経不順

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改善ポイント

【気の流れをスムーズにして、早めに改善】

「肝(かん)」はストレスを発散させ、精神や感情をコントロールする役割を担っています。しかし、憂鬱や怒りといった精神的なストレスを強く受けると、この機能が低下し、気の流れが滞ってしまうのです。これが「気鬱(きうつ)」の状態で、初期のうつ症状の原因に。

気鬱の状態が長引けば、熱っぽい症状が現れる「熱鬱(ねつうつ)」、血の流れが滞る「血鬱(けつうつ)」、「脾胃(ひい)」(胃腸)の消化機能を低下させ、食・痰・湿(しつ)の停滞が起きる「食鬱(しょくうつ)」「痰鬱(たんうつ)」「湿鬱(しつうつ)」といったさまざまな症状につながります。
ストレスを発散し、停滞した気の流れをスムーズにすることを心がけてください。症状が重くなる前に、なるべく「気鬱(きうつ)」の段階で改善できるよう身体を整えましょう。

 

摂り入れたい食材

香りの良いものでストレス・気の停滞を発散、苦味のあるもので怒りや興奮などを抑える:
金針菜(きんしんさい)、ジャスミン、牡蠣、ねむの花、ミント、ふきのとう、キンモクセイの花、酢、ふき、ライラックの花、 あわび、竹の子

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2 余分な水分や汚れが溜まる「痰湿(たんしつ)停滞」タイプ

気になる症状

胸のモヤモヤ、痰が多い、喉の閉塞感、悪心、ゲップ、食欲不振

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改善ポイント

【溜まった痰湿を取り除き、体をすっきり】

気の流れの停滞は「脾胃(ひい)」(胃腸)にも影響し、消化機能の低下につながります。その結果、常に体内に「痰湿(たんしつ)」(余分な水分や汚れ)が溜まるようになり、精神的な症状に加えて、胸がモヤモヤする、痰が多い、のどの閉塞感、悪心、食欲不振といった症状が現れるのです。また、ストレスからくる暴飲暴食、脂っこいものの過食などが痰湿の原因となることもあるので注意しましょう。

このような症状が気になる場合は、胃腸の機能を改善しながら、尿と便の排泄を良くすることが大切。痰湿を取り除くことでさまざまな身体の症状も回復しやすくなり、基本的な健康づくりにもつながります。気の流れをスムーズにするとともに、余分な痰湿をすっきり取り除くようにしてください。

摂り入れたい食材

胃腸機能を整える薄味のもの、利尿効果のあるものなどを基本に食材選びを:
みかんの皮、はと麦、きゅうり、キウイフルーツ、しそ、もやし、バナナ、ウーロン茶、大根、冬瓜、いちじく、プーアール茶

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3 心と身体の元気が足りない「気血(きけつ)不足」タイプ

気になる症状

動悸、不眠、不安、夢が多い、健忘、めまい、脱毛、疲労、食欲不振

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改善ポイント

【気・血の不足で、ストレスの影響を受けやすく】

同じようなストレスを受けても、すぐに解消できる時もあれば、落ち込みやすい時もあります。これには、気・血の状態が大きく関わっています。
「気」は生命のエネルギーであり、「血」は「心」の栄養。心身ともに健康で気・血が十分にあれば、ストレスに負ける事はありません。反対に、「肝気鬱結(かんきうっけつ)」の状態が長く続き、気・血を作る「脾(ひ)」の機能低下、「肝(かん)」が蓄える血の消耗、精神活動の中枢「心」の血不足を招くと、身体全体の気・血が不足。精神が不安定になり、ストレスの影響を受けやすくなってしまいます。
憂鬱や情緒の不安定などの症状に加え、動悸や不眠、不安、健忘、めまい、疲労などを感じる人は、気の滞りを解消しながら、足りない気・血を補うようにしてください。
また、病後や産後、更年期など、体力を消耗しているときにも気・血が不足しがちなので注意しましょう。

摂り入れたい食材

体内の気と血を補う甘味のある食材を:
黒ごま、なつめ、鶏のハツ、小松菜、松の実、ぶどう、スッポン、ほうれん草、百合根、クコの実、大豆製品、にんじん、小麦

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point!身体の中を整えながら、ストレス・疲れを溜めない工夫を

食養生や中成薬で身体を整えていくことはもちろん、日常生活の中でストレスや疲れを溜めない工夫をしましょう。

・生活リズムを守ることが大切。
・夜更かしや間食を避け、規則正しい生活、食事を心がける。
・家に閉じこもらず、なるべく外に出て身体を動かす。
・お風呂でリラックスしたり趣味を見つけてストレス発散を。
・暖かい日の朝などは散歩をして新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込む。
・うつは多くの病気の始まりとなるので早めに対処しましょう。

月刊誌『チャイナビュー』(イスクラ産業発行)より掲載

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この記事を監修された先生

中医学講師/菅沼 栄先生

1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。

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気滞(きたい)

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血虚(けっきょ)

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「血液ドロドロ」タイプ
瘀血(おけつ)

全身の血の巡りが滞った状態です。
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陰虚(いんきょ)

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