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月経不順月経周期の乱れと養生法

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

女性なら誰でも経験するもの、と軽く考えてしまいがちな月経不順。ところが、月経周期の乱れは、体内のさまざまな不調によって現れることが多いのです。

そのためにこの記事では、中国の伝統医学である中医学をもとに、月経が教えてくれる不調のサインについて分かりやすく説明します。

心と身体の不調が月経周期の乱れに

女性の心と身体の健康状態は、月経に現れると中医学では考えます。特に月経周期はデリケートで、ストレスや睡眠不足など、ちょっとした生活の変化でも乱れてしまうほど。
月経不順は心身の不調を知るバロメーターと考え、きちんと対処することが大切です。

月経の正常な周期は、中医学の考えでは28日が基本。ずれがあっても24~33日の周期を維持することが理想的と考えます。
一時期な周期の乱れは問題ありませんが、基本の28日より7日以上早まる(周期が早い「月経先期」)、または7日以上遅れる(周期が遅い「月経後期」)、遅かったり早かったり安定しない(周期が不安定な「月経前後不定期」)、といった状態が3回以上続く場合は月経不順と考えましょう。

月経周期の乱れは、体内の「気」(エネルギー)、「血(けつ)」の不足や流れの停滞、月経と関わりの深い臓器「肝(かん)」(肝臓)、「腎」(腎臓)の機能低下などが主な原因となります。
こうした状態を放っておくと、身体のさまざまな不調や不妊症につながる可能性もあるため、積極的に改善するよう心がけましょう。

女性は初潮から閉経まで、平均して35~40年間は月経と付き合うことになります。わずらわしく感じてしまいがちですが、月経は女性の健康や美しさの基本となる大切なこと。
滞りなく健やかな月経を保つためにも、生活習慣や食生活を見直しながら、身体全体のバランスを整えていくことが大切です。

check!タイプ別・月経不順の養生法

月経不順を放っておくと、女性の健康や美しさに大きなダメージを与えてしまうことも。周期はそれほど気にしていないという人も、この機会にぜひチェックしてください。さきほど挙げたような症状が「3回以上」続くようなら、月経不順と考えてきちんと対応を。また、月経不順には子宮や卵巣の病気が隠れていることもあるので、不安がある人は早めに婦人科を受診しましょう。

1 周期が早くなる「月経先期」①「気不足」タイプ

気になる症状

【21日以下の月経周期が3回以上続くとき】※基本周期の28日より7日以上早い
月経の状態:月経血がサラサラで色が薄い
気不足の症状:疲労倦怠感、顔色が悪い、めまい、食欲不振、軟便、お腹の張り、冷え

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改善ポイント

月経が早くなるときは、卵胞の育つ期間が短く、卵子が成熟せずに排卵されたり、無排卵になったりすることも。また、ダラダラと出血が続く不正出血の症状が現れることもあります。

体内の「気」(エネルギー)には、「血(けつ)」や「水分」を身体に留めておく働きがあります。そのため、気が不足するとその力が足りず、生理が早く来てしまう原因に。気を生む源となる「脾胃(ひい)」(胃腸)を元気にして、気をしっかり養うよう心がけましょう

摂り入れたい食材

脾胃を養う:豆腐、湯葉などの大豆製品、玉子、いんげん豆、山芋 など

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2 周期が早くなる「月経先期」②「熱こもり」タイプ

気になる症状

【21日以下の月経周期が3回以上続くとき】※基本周期の28日より7日以上早い
月経の症状:月経血に粘りがあり色が濃い
熱がこもる症状:のぼせ、ほてり、顔色が赤い、イライラ、口の渇き、尿が黄色、便秘気味

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改善ポイント

月経が早くなるときは、卵胞の育つ期間が短く、卵子が成熟せずに排卵されたり、無排卵になったりすることも。また、ダラダラと出血が続く不正出血の症状が現れることもあります。

体内の「熱」は血流を速くするため、余分な熱がこもると血が急激に動いて月経が早まる原因となります。
過剰なストレス、辛いものや脂っこいもの、アルコールの摂り過ぎなどは熱を生む要因になるので気をつけて。思春期や更年期にも多いタイプです。

摂り入れたい食材

身体の熱を冷ます:苦瓜、冬瓜、きゅうり、たけのこ、れんこん、くちなしの実 など

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3 月経周期が遅くなる「月経後期」①「血不足(けつぶそく)」タイプ

気になる症状

【35日以上の月経周期が3回以上続くとき】※基本周期の28日より7日以上遅い
月経の状態:月経血が少なく、サラサラで色が薄い
血不足の症状:顔色が蒼白、めまい、眼精疲労、動悸、不眠、脱毛

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改善ポイント

月経が遅くなるときは、卵胞の成熟に時間がかかり卵子の育ちが悪く、無排卵になっている可能性が高くなります。そのままにしておくと、無月経や不妊症につながることも。

月経の基本となる「血(けつ)」が不足すると、月経が少なくなってしまう(=遅くなる)原因に。
栄養をしっかり摂って、血を十分に養うよう心がけましょう。また、虚弱体質の場合も多いので、血と一緒に「気」を養うことも大切。過度なダイエットにも要注意です

摂り入れたい食材

血を養う:なつめ、黒ごま、うなぎ、レバー、クコの実、ほうれん草、黒糖 など

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4 月経周期が遅くなる「月経後期」②「血行不良」タイプ

気になる症状

【35日以上の月経周期が3回以上続くとき】※基本周期の28日より7日以上遅い
月経の状態:月経血の色が黒っぽく塊が多い、月経痛
血行不良の症状:顔色のくすみ、頭痛、肩こり、強い冷え、手足のしびれ

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改善ポイント

月経が遅くなるときは、卵胞の成熟に時間がかかり卵子の育ちが悪く、無排卵になっている可能性が高くなります。そのままにしておくと、無月経や不妊症につながることも。

身体が冷えて血の流れが滞ると、月経の遅れにもつながってしまいます。
冷えは子宮や卵巣の働きを低下させる原因にもなるため、冷房や冷たい飲食物の摂り過ぎには要注意。体内の冷えを取り除き、日頃から身体を温める食生活や服装を心がけましょう。

摂り入れたい食材

身体を温める:紅花、よもぎ、シナモン、黒糖、しょうが、ねぎ、玉ねぎ など

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5 月経周期が不安定な「月経前後不定期」①「ストレス過剰」タイプ

気になる症状

【周期が早かったり遅かったり、不安定な状態が3回以上続くとき】
月経の状態:月経血の量が不安定、月経痛、月経前の乳張・乳痛、月経前のイライラ
ストレス過剰の症状:頭痛、肩こり、怒りっぽい、ため息が多い、緊張しやすい

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改善ポイント

月経周期が不安定だと、排卵のタイミングをつかみにくいため、排卵障害を起こしていることも。また、月経だと思っていても不正出血の場合があるので、気になる人は早めの受診を。

「血(けつ)」を貯蔵して血流を調節する「肝(かん)」は、月経との関わりが密接。ところが肝はストレスに弱いため、過剰なストレスを受けるとその働きが低下し、月経の周期が乱れてしまうのです。日常のストレスはこまめに発散して、肝の機能を健やかに保つよう心がけましょう

摂り入れたい食材

ストレスを発散する:ミント、ジャスミン、菊花茶、黒きくらげ、三つ葉 など

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6 月経周期が不安定な「月経前後不定期」② 「腎の虚弱」タイプ

気になる症状

【周期が早かったり遅かったり、不安定な状態が3回以上続くとき】
月経の状態:月経血がサラサラで色が薄い
腎虚弱の症状:腰痛、足腰に力が入りにくい、めまい、物忘れ、耳鳴り、頻尿

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改善ポイント

月経周期が不安定だと、排卵のタイミングをつかみにくいため、排卵障害を起こしていることも。また、月経だと思っていても不正出血の場合があるので、気になる人は早めの受診を。

生命エネルギーの源「精」を蓄え、生殖を司る「腎」は、月経や排卵と深い関わりがあります。そのため、精が不足して腎の機能が低下すると、排卵を促す力が弱くなり月経周期が乱れる原因に。
積極的な養生で腎の働きを高め、月経の周期を整えていきましょう。

摂り入れたい食材

腎を養う:黒豆、くるみ、なまこ、山芋、もち米、羊肉、えび など

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point!健康的な暮らしのポイント

・冷えは大敵。日頃から温かい食事や飲み物を心がけて
・生理中は冷えない服装を。特に腰回りを暖かく
・季節を問わず入浴を習慣に。身体が温まり心もリフレッシュ
・日々のストレスは、溜め込まずこまめに発散を

月刊誌『チャイナビュー』(イスクラ産業発行)より掲載

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この記事を監修された先生

中医学講師/菅沼 栄先生

1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。

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気滞(きたい)

気の巡りが滞っています。
イライラして怒りっぽい、生理不順、お腹が張ってガスがでるなど、思い当たりませんか?

TYPEC

「血液の不足」タイプ
血虚(けっきょ)

カラダの栄養となる血が不足。
冷えやめまい、立ちくらみ、抜け毛、爪が割れやすいなどの悩みはありませんか?

TYPED

「血液ドロドロ」タイプ
瘀血(おけつ)

全身の血の巡りが滞った状態です。
目の下のクマ、シミ、頭痛、がんこな肩こり、つらい生理痛で悩んでいませんか?

TYPEE

「潤い不足」タイプ
陰虚(いんきょ)

カラダの潤いが不足しています。
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