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ドライシンドローム乾燥症状を改善するには?中医学で潤い体質に!

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

空気が乾燥していると、肌はもちろん、目や口、腸など、体のさまざまな乾燥症状が起こりやすくなります。
漢方ケアで身体の中から潤う体質づくりを心がけ、秋冬の乾燥シーズンを乗り切りましょう!

「腎(じん)」の衰えが潤い不足の要因に

カサカサの乾燥肌(ドライスキン)、目の乾燥(ドライアイ)、口の乾燥(ドライマウス)、鼻の乾燥(ドライノーズ)…。こうしたさまざまな症状を、最近では乾燥によって起こる一連の症候群「ドライシンドローム」として捉えるようになっています。その要因は、エアコンの使用、パソコンやテレビ、高カロリーな食事、口呼吸、睡眠不足など、多岐にわたる生活環境の問題と考えられていて、秋や冬の乾燥する季節は特に症状が起こりやすくなります。
中医学では、乾燥の症状は、体の潤い成分である「津液(しんえき)」や「血(けつ)」が不足することで起こると考えます。また、体の潤いの源となる要素「腎陰(じんいん)」の不足も乾燥を招く要因に。「腎」は加齢とともに衰え、腎陰も不足しがちになるため、年齢を重ねると体の潤いは減少していきます。高齢の人は特に意識して、腎をケアするよう心がけましょう。
体の乾燥が続くと、喉や鼻の粘膜が乾いて免疫力が落ち、かぜを引きやすくなったり、感染症にかかりやすくなったりする心配も。また、アトピー性皮膚炎の悪化や咳、便秘といったさまざまな不調にもつながるので、しっかりケアをして乾燥知らずの“潤い体質”をめざしましょう。

check!カラダの中から乾燥対策!

体の乾燥対策の基本は、五臓の「腎」の働きを整えて、潤いの源となる「腎陰」を充実させること。また、乾燥の症状に合わせて、「肺」、「脾胃(ひい)」(胃腸)、「肝(かん)」(肝臓)などをケアすることも大切です。

1 基本のケア「腎」の養生

気になる症状

乾燥症状、ほてり、めまい、耳鳴り、髪が抜けやすい、白髪、記憶力の低下、腰痛、冷え、頻尿、舌の色が淡い、舌苔が少ない

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改善ポイント
五臓の「腎」にある「腎陰(じんいん)」(水や血などの体を潤す要素)は、“全身の潤いの源”と考えられています。そのため、腎の働きが健やかで腎陰がしっかりあれば、体の根本的な潤いを保つことができるのです。
腎は生殖、成長、発育などの働きを持つ臓器ですが、加齢とともにその機能が徐々に衰えがちに。同時に、腎陰も加齢に伴い減少し、年を取ると体全体の潤いが不足してしまうのです。
“潤い体質”を保つためには、まず腎の働きを整えることが基本。高齢の人、慢性疾患のある人などは特に腎の機能が衰えがちなので、しっかり養生するよう心がけましょう。
摂り入れたい食材

腎を養い、潤いをアップする:
【豆類・種実類】くるみ、銀杏、松の実、クコの実、蓮の実、黒豆、黒ごま
【野菜類】山芋、よもぎにら、黒きくらげ
【魚介類】えび、牡蠣、なまこ、海藻類
【肉類】牛肉、羊肉
【香辛料】シナモン

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2 症状別のケア(1)口の乾燥(ドライマウス)

気になる症状

口や喉の乾燥、味覚障害、口内炎になりやすい、舌が乾く
※糖尿病、シェーグレン症候群、過食、ストレスなどの症状にも注意

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改善ポイント
唾液の分泌が減り、口の中が乾燥する症状。ストレスや暴飲暴食などで「脾胃(ひい)」(胃腸)に負担がかかると、脾胃の潤いが不足して唾液も少なくなってしまいます。口や喉の乾燥を感じる人は、脾胃の働きを健やかに整え、潤いを養うよう心がけましょう。
摂り入れたい食材

胃腸の潤いを養う:
大根、百合根、りんご、豆腐、れんこん など

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3 症状別のケア(2)鼻の乾燥(ドライノーズ)

気になる症状

鼻の乾燥感、鼻の中のかさぶた、鼻血、空咳、かぜを引きやすい、味覚の減退、舌の乾燥
※慢性的な鼻炎、気管支炎、喘息などの症状にも注意

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改善ポイント
鼻の状態は「肺」と関わりが深く、肺の潤いが不足すると、鼻の粘膜も乾燥しやすくなります。鼻や喉の粘膜が乾いていると、免疫力が落ちてかぜを引きやすくなる心配も。鼻の乾燥感やムズムズ感が気になる人は、肺の潤いをしっかり養うよう心がけましょう。
摂り入れたい食材

肺の潤いを養う:
梨、百合根、オレンジ、はちみつ、枇杷の葉、葛、白きくらげ、杏仁 など

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4 症状別のケア(3)目の乾燥(ドライアイ)

気になる症状

目の乾燥・ゴロゴロ感、目薬の使用回数が多い、視力減退、目のかすみ・痛み、舌の色が淡く乾いている
※目の疾患、シェーグレン症候群などの症状にも注意

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改善ポイント
目は「血(けつ)」が運ぶ栄養や潤いによって健やかに保たれています。そのため、血を十分に養い、血を蓄える「肝(かん)」(肝臓)の働きを整えることがドライアイ対策の基本に。また、目の酷使は血の消耗につながるため、長時間のスマホ使用などにも注意しましょう。
摂り入れたい食材

血を養い目の働きを整える:
菊花、クコの実、ほうれん草、桑の実、ブルーベリー、ぶどう、桑の葉、にんじん など

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5 症状別のケア(4)肌の乾燥(ドライスキン)

気になる症状

皮膚の乾燥(カサカサ感)、皮膚のかゆみ、化粧ノリが悪い、舌の乾燥
※日焼け、エアコン、慢性疾患、乾皮症、アトピー性皮膚炎などが原因になることも

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改善ポイント
肌の状態は「肺」と深く関係しています。ところが、肺は乾燥に弱いため、空気が乾燥する時期は肺の働きが低下しやすく、乾燥肌やかゆみなどを起こしやすくなるのです。潤い肌を保つためにも、体内の潤いをしっかり養い、肺の働きを健やかに保つよう心がけましょう。
摂り入れたい食材

肺の潤いを養い、皮膚の潤いを守る:
鶏の手羽先、玄米、豚足、はちみつ、オリーブオイル、鶏スープ など

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6 症状別のケア(5)腸の乾燥(便秘)

気になる症状

便秘気味、排便時間が長い、便がコロコロしている、舌の乾燥
※慢性疾患による潤いの消耗、痔、加齢などが原因になることも

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改善ポイント
体内の潤いが不足して「腸」が乾燥すると、便も乾いて固くなり、便秘を起こしやすくなります。また、腸と肺は深く関係しているため、肺が乾燥のダメージを受けると、腸の潤いも不足しがちに。秋は特に乾燥の影響を受けやすいので、腸と肺の潤いを十分保つよう心がけましょう。
摂り入れたい食材

腸と肺の潤いを養い、通便を良く:
いちじく、キウイフルーツ、バナナ、パパイヤ、りんご、マンゴー、プルーン、白菜 など

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point!暮らしの潤い対策

・睡眠は十分に!体内の潤いを守ります
・水分をたくさん取るよりも潤いの多い食材選びを
・ローションやクリームを塗って肌の乾燥対策を
・目の使い過ぎはNG!血を消耗し、ドライアイの原因になります

・辛いもの、塩分の取り過ぎに注意して月刊誌『チャイナビュー』(イスクラ産業発行)より掲載

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この記事を監修された先生

中医学講師/菅沼 栄先生

1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。

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