漢方の知恵袋
監修:菅沼 栄先生(中医学講師)
反対に脾胃の働きが弱くなると、体内の気血は不足しがちに。エネルギーや栄養が身体に十分巡らず、慢性疲労、めまい、貧血、免疫力の低下など、全身のさまざまな不調につながります。脾胃の不調を招く大きな要因となるのは「食の不摂生」です。この時期、特に気をつけたいのは冷たいものや水分の摂り過ぎなどによる「湿」(余分な水分や汚れ)の停滞。消化吸収を担う「脾(ひ)」は“湿を嫌い、燥を好む”臓器なので、体内に湿が溜まるとその働きが落ちてしまいます。また、暴飲暴食、油っこい食事、激辛料理なども脾胃の負担となるので注意しましょう。
元気な脾胃でしっかり栄養を摂ることは健康の基本です。夏の暑さを乗り切るためにも、脾胃の元気を保つよう積極的に養生しましょう。
吐き気、胃の膨満感、胃のムカつき、げっぷ、下痢、軟便、舌の苔が多い
脾胃の働きを整え、湿を取り除く食材を:
サンザシ、麦芽、カルダモン、梅干し、しそ、陳皮茶(ちんぴちゃ)、はと麦、お焦げ など
胃痛、腹痛、下痢、お腹の冷え、身体の冷え、顔色が白い
冷えた身体を温めるものを:
しょうが、ねぎ、にんにく、にら、山椒の実、八角、シナモン、ナツメグ、みょうが、フェンネル など
食欲不振、慢性的な胃腸不調、全身の疲労感、息切れ、めまい、かぜをひきやすい
脾胃の働きを良くして、体力を養う食材を:
白米、もち米、いんげん豆、山芋、じゃがいも、キャベツ、大豆製品、りんご、豚肉 など
食事は1日3食が基本ですが、胃腸の不調を感じたらムリはしないこと。まず脾胃をゆっくり休ませて、調子を整えることが大切です。月刊誌『チャイナビュー』(イスクラ産業発行)より掲載
この記事を監修された先生
中医学講師/菅沼 栄先生
1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。
症状一覧
CHECK!
TYPEA
エネルギーとなる気が不足しています。
疲れやすくカラダがだるい、やる気が出ない、かぜをひきやすいなど、思い当たりませんか?
TYPEB
気の巡りが滞っています。
イライラして怒りっぽい、生理不順、お腹が張ってガスがでるなど、思い当たりませんか?
TYPEC
カラダの栄養となる血が不足。
冷えやめまい、立ちくらみ、抜け毛、爪が割れやすいなどの悩みはありませんか?
TYPED
全身の血の巡りが滞った状態です。
目の下のクマ、シミ、頭痛、がんこな肩こり、つらい生理痛で悩んでいませんか?
TYPEE
カラダの潤いが不足しています。
のぼせ、ほてり、寝汗、肌の乾燥やかゆみ、経血量が少ないなど、気になりませんか?
TYPEF
水分代謝が落ちた状態です。
太りやすい、むくみ、ニキビ、一日中眠気が取れないなどで悩んでいませんか?
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