漢方の知恵袋
監修:菅沼 栄先生(中医学講師)
冬の寒さが厳しくなると、身体の芯まで冷えこむ寒さに関節痛や腰痛、神経痛など痛みの症状が悪化しやすくなります。つらい痛みを少しでもやわらげて、寒い冬も元気に過ごしたいですよね。そこでこの記事では、中国の伝統医学である中医学をもとに、冬の痛みの対処法を分かりやすく説明します。
冬の痛み対策の基本は、身体の冷えで滞った「気・血・水」の流れをスムーズにすること。常に保温を心がけ、体内の代謝をアップしましょう。
寒くなると関節・筋肉・神経などが痛む、関節の動きが悪い、関節がこわばる・腫れる、足腰が重い・だるい、舌の苔が白い
邪気を発散する食材や水はけを良くする食材を:
葛湯、しょうが、ねぎ、ニンニク、フェンネル、山椒の実、ハト麦、ザーサイ、うど など
香辛料入りの鍋や煮込み料理もオススメです。
いつも同じところが痛む、刺すような強い痛みがある、温めると痛みが和らぐ、生理痛がひどい、舌の色が暗く紫色の点が見られる
身体を温め、血行を良くする効果のある食材を:
紅花(こうか)、焼酎・木瓜酒(ぼけしゅ)などの酒、よもぎ、サフラン、たまねぎ、シナモン、ウコン、田七人参茶(でんしちにんじんちゃ) など
手足や腰の冷え、慢性の関節痛、足腰の衰え、夜間の頻尿、めまい、耳鳴り、物忘れ、舌の色が薄い
もともと腎が弱く冷え性の人や、高齢の人は冬場は特に注意し、日頃から腎を強化しましょう。腎の陽気は食事で補うことができます。水分の摂り過ぎに注意し、生野菜や冷えた飲料は控えめに。
体内の陽気の源「腎の陽気」を補う:
くるみ、松の実、山芋、海老、ニラ、そら豆、黒豆、鶏湯(スープ)、テールスープ など
つらい痛みを改善するためには、日ごろの生活習慣を見直すことも大切です。適度な運動や毎日の入浴など、患部の保温、冷え予防の習慣をしっかり身につけて、寒さに負けない身体づくりを目指しましょう。
この記事を監修された先生
中医学講師/菅沼 栄先生
1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。
症状一覧
CHECK!
TYPEA
エネルギーとなる気が不足しています。
疲れやすくカラダがだるい、やる気が出ない、かぜをひきやすいなど、思い当たりませんか?
TYPEB
気の巡りが滞っています。
イライラして怒りっぽい、生理不順、お腹が張ってガスがでるなど、思い当たりませんか?
TYPEC
カラダの栄養となる血が不足。
冷えやめまい、立ちくらみ、抜け毛、爪が割れやすいなどの悩みはありませんか?
TYPED
全身の血の巡りが滞った状態です。
目の下のクマ、シミ、頭痛、がんこな肩こり、つらい生理痛で悩んでいませんか?
TYPEE
カラダの潤いが不足しています。
のぼせ、ほてり、寝汗、肌の乾燥やかゆみ、経血量が少ないなど、気になりませんか?
TYPEF
水分代謝が落ちた状態です。
太りやすい、むくみ、ニキビ、一日中眠気が取れないなどで悩んでいませんか?
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