漢方の知恵袋
監修:菅沼 栄先生(中医学講師)
季節の変わり目で体調を崩しやすい時期に、かぜや花粉症などの影響から咳や喘息の症状に悩まされることがありませんか?
なかなか止まらない咳や喘息は、慢性化すると体力を消耗し、身体全体の不調にもつながります。
そこでこの記事では、中国の伝統医学である中医学をもとに、咳や喘息の対処法を分かりやすく説明します。
咳や喘息の養生は、「肺」を健やかに保つことが基本。身体の冷えや熱、ストレスといった原因を取り除きながら、肺の機能を高めるよう心がけましょう。また、「脾胃(ひい)」(胃腸)や「腎」の不調も肺の機能低下につながるため、自分の体質や症状を見極めながら適切に対応することが大切です。
咳、喘息、痰が薄い、悪寒、発熱、頭痛、汗は少ない、顔色が白い、舌の苔が薄く白い
体内の冷えを発散する食材を:
ねぎ、しょうが、シナモン、しそ など
咳、喘息、呼吸が荒い、汗をかく、痰が濃い、胸痛、口の渇き、発熱、顔色が紅い、尿の色が濃い、便秘気味、舌が紅い、舌の苔が黄色い
体内の熱を冷ます食材を:
葛、菊花、桑葉、竹の葉、ごぼう、びわの葉、梨、大根 など
咳、喘息、胸が苦しい、強いストレスで発作が起きる、イライラしやすい、怒りっぽい
強いストレスなどを受けて精神が不安定になると、全身を巡る「気」の流れが悪くなって咳や喘息の症状が悪化しやすくなります。ストレスで症状が強く出る人、普段からイライラしやすい人は、気分を穏やかに保つよう心がけることが大切。ストレスを上手に発散して、気の流れをスムーズに保ちましょう。
ストレスを発散する香りの良いものを:
ハッカ、しその実、みかんの皮、ゆずの皮、花茶 など
咳、喘息、痰が多い、胸苦しい、悪心、食欲不振、舌の苔が厚い
余分な水分や汚れを取り除き、気の流れをスムーズに:
杏仁、銀杏、くらげ、海苔、桔梗の根 など
長期化した咳、喘息、夜間の咳が強い、息切れ、疲労感、汗が出る(自汗)、かぜを引きやすい、食欲不振、舌の色が淡い
肺・脾胃・腎を補い、身体を養う食材を:
白きくらげ、蜂蜜、レモン、くるみ、百合根、山芋、かぼちゃ、クコの実 など
咳や喘息は繰り返しやすい症状です。一時の症状緩和だけでなく、再発しないよう体質を根本から整えることがとても大切。ストレスを溜めない、食生活を見直す、睡眠を十分にとるなど、体力が十分にある健康な身体をつくるよう、生活習慣の改善を心がけましょう。
【健康的な暮らしのポイント】
この記事を監修された先生
中医学講師/菅沼 栄先生
1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。
症状一覧
CHECK!
TYPEA
エネルギーとなる気が不足しています。
疲れやすくカラダがだるい、やる気が出ない、かぜをひきやすいなど、思い当たりませんか?
TYPEB
気の巡りが滞っています。
イライラして怒りっぽい、生理不順、お腹が張ってガスがでるなど、思い当たりませんか?
TYPEC
カラダの栄養となる血が不足。
冷えやめまい、立ちくらみ、抜け毛、爪が割れやすいなどの悩みはありませんか?
TYPED
全身の血の巡りが滞った状態です。
目の下のクマ、シミ、頭痛、がんこな肩こり、つらい生理痛で悩んでいませんか?
TYPEE
カラダの潤いが不足しています。
のぼせ、ほてり、寝汗、肌の乾燥やかゆみ、経血量が少ないなど、気になりませんか?
TYPEF
水分代謝が落ちた状態です。
太りやすい、むくみ、ニキビ、一日中眠気が取れないなどで悩んでいませんか?
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こころとカラダのこと、
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中医学はあなたの体調・体質に合わせて、つらい症状に対処し、元気とキレイを提案します。私たちは日々様々なストレスにさらされ、気づかないうちにこころもカラダも疲れています。病気ではないけれどなんとなく調子が悪い、改善されない不調がある。そんな方に、中医学の考え方をご紹介します。