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アトピー性皮膚炎肌を健やかに保つ
~皮膚の養生法~

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

気温が上がる春は、皮膚のトラブルが起こりやすくなります。痛みや痒みはもちろん、見た目にも影響する皮膚の症状はつらいもの。健やかな肌を保つよう、積極的に体質を整えましょう。

体質改善で肌を健やかに

春は新陳代謝が活発になる時期。溜まっていた老廃物が排泄され、皮膚トラブルが起こりやすくなります。また皮膚トラブルは、気候やアレルゲンといった「外因」と、身体の不調、アレルギー体質などの「内因」によって現れると中医学では考えます。

かゆみの症状は、自然界の邪気「風邪(ふうじゃ)」の侵入が主な原因に。身体の防衛力や皮膚の状態と深く関わる「肺」を健やかに保ち、皮膚を健やかに整えましょう。ジュクジュクした症状は「湿邪(しつじゃ)」が原因となるため、水分代謝を担う「脾胃」の養生を。また、炎症は体内にこもった「熱」が原因になるため、イライラやストレスに注意して、気持ちを穏やかに保つことも大切です。

check!春から夏の皮膚トラブル対処法

これからの季節、気温はぐんぐん上がります。梅雨には湿気も多くなり、皮膚のトラブルが悪化しやすい時期。気候の変化に応じて症状別の食養生を参考に体質改善を心がけ、つらい症状をなるべく抑えるようにしましょう。

1 身体のあちこちに痒み「風(ふう)」タイプ

気になる症状

あちこちが痒くなる、上半身に症状が出やすい、症状の変化が多い

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改善ポイント

【風邪が原因の初期症状】

皮膚トラブルの多くは、「風邪(ふうじゃ)」が引き起こすものと中医学では考えます。自然界から風邪が侵入すると、身体表面の機能が低下し、皮膚の「気・血」の流れが悪くなることでトラブルが現れます。

動く性質を持つ「風邪」による症状は、身体のあちこちに痒みがある、上半身に症状が出やすい、発疹が出たり治まったり症状の変化が多い、などが特徴。皮膚トラブルの初期段階でもあるので、風邪の発散を心がけ、慢性化しないよう早めに対応してください

摂り入れたい食材

香りの良いもの、辛味のある食材で、風邪の発散を心がけましょう。油っこい食事はなるべく控えるようにしてください。
スイカズラの花(金銀花)、薄荷、菊花、しそ、三つ葉、香菜

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2 ジュクジュクするのは 「湿(しつ)」タイプ

気になる症状

ジュクジュクした症状、下半身の症状が多い、慢性化しやすい、食欲不振、口がネバネバ、軟便

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改善ポイント

【身体に溜まった余分な水分が原因】

梅雨から夏にかけては湿気が増え、「湿邪(しつじゃ)」となって皮膚の症状を悪化させる大きな原因となります。

体内の水分を調節する「脾胃(ひい)」の機能が低下していると、「湿邪」が身体に入り込んでも、水分を十分に排泄することができません。そのため「湿」が皮膚に溜まってしまい、皮膚トラブルを引き起こすのです。

主な症状の特徴は、ジュクジュクする、下半身の症状が多い、慢性化しやすい、など。また、湿が溜まると消化器系のトラブルも増えるため、食欲不振、口がネバネバする、軟便、といった症状も現れます。

摂り入れたい食材

淡い味の食材、利水作用のあるものを中心に選んでください。甘いものの食べ過ぎに注意しましょう。
はと麦、どくだみ、おおばこ、冬瓜、小豆、もやし、緑豆、緑豆春雨

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3 赤みや熱感のある 「熱(ねつ)」タイプ

気になる症状

皮膚の熱感・赤み・痛み・炎症、化膿しやすい(ニキビなど)、口の乾き、尿が黄色い、便秘気味

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改善ポイント

【夏の暑さで、症状が悪化】

初夏から夏までの暑い時期は「熱邪(ねつじゃ)」による皮膚への刺激に注意が必要です。また、外気の暑さだけでなく、イライラやストレスなどで体内に熱が発生しないようにすることも大切。

熱が皮膚の表面に滞ると、皮膚トラブルを引き起すばかりでなく、症状が悪化する原因にもなります。身体の熱を取り除き、症状をなるべく抑えるよう心がけましょう。

主な症状は、皮膚の熱感や赤み、痛み、炎症、化膿など。また、熱によって、口の乾き、尿が黄色い、便秘といった症状を伴うこともあります。

摂り入れたい食材

苦み、涼性、利水作用のある食材で、身体の熱を取り除きましょう。刺激のある辛い食事はなるべく避けるようにしてください。
ごぼう、苦瓜、レタス、すいか、豆腐、緑茶、タンポポ茶

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4 乾燥からくる痒み 「燥(そう)」タイプ

気になる症状

皮膚の乾燥・乾燥による痒み、口や鼻の乾燥・から咳、便秘気味

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改善ポイント

【体内の潤い不足で、皮膚が乾燥】

潤いは、皮膚を守る大切な要素。秋は空気が乾燥し、皮膚表面ばかりでなく体内も潤い不足になりがちです。慢性的な皮膚トラブルがある場合は、皮膚が弱く乾燥しやすい状態になっているので、特に気を付けましょう。

乾燥の症状は、体内の「血(けつ)」と「水(すい)」が不足し、皮膚の潤いや栄養が足りなくなることが原因。毎日の食事で十分に栄養を摂り、身体の中の潤いを保つよう心がけてください。

摂り入れたい食材

潤いを与える食材、コラーゲンを豊富に含むものなどを選びましょう。しっかり食べて栄養を摂るようにしてください。
ほうれん草、大根、りんご、なつめ、蜂蜜、豚の皮、白きくらげ

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point!暮らしの工夫で、良い肌状態を保ちましょう

皮膚を良い状態に保つためには、まず外からのトラブル要因を取り除くことがポイント。

・ホコリやペットの毛などが室内に溜まらないよう、こまめな掃除、換気を。

・入浴で皮膚を清潔に保つことも大切。石けんは低刺激で保湿性の高いものを。

・スキンケアも大切。潤い成分として、高麗人蔘や当帰、紫根などの植物性エキスにビタミンE、ヒアルロン酸などが配合されたクリームなどで。

・衣服は肌に優しい綿素材を選ぶ、アクセサリーは素材選びやつけ方に注意する、お化粧は控えめに。

・洗濯用洗剤も自分に合うものを選び、衣類に残らないよう少量を。

・バランスの良い食生活を。体内に毒素が溜まらないよう食物繊維を多く摂り、便秘にならないように。

・甘いもの、油っこいもの、コーヒー、アルコール、タバコなどは控えめに。

月刊誌『チャイナビュー』(イスクラ産業発行)より掲載

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この記事を監修された先生

中医学講師/菅沼 栄先生

1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。

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