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糖尿病糖尿病は予防が肝心!原因と予防方法について

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

普段からよく耳にする「糖尿病」。

自分は大丈夫と思っていませんか?ほとんど自覚症状がないにも関わらず、放っておくと重い合併症を引き起こすこともある怖い病気なんです。
一度患うと完治は難しいため、何より「予防」が肝心です。

そのためにこの記事では、中国の伝統医学である中医学をもとに、糖尿病対策について分かりやすく説明します。

生活習慣の乱れが大きな原因に

糖尿病は、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の分泌や働き不十分で、血液中のブドウ糖濃度が上昇してしまう病気。高血糖の状態が長く続くと、三大症状と言われる多飲、多食、多尿のほか、全身の倦怠感や体重の減少といった特徴的な症状が現れます。

中医学では”身体の消耗が激しく、喉の渇きが強い”という症状の特徴から「消渇(しょうかつ)」と呼ばれ、遺伝的素因のほか、飲食の不摂生やストレス、血液の停滞、「脾胃(ひい)」(消化器系)・「腎」の虚弱などが主な原因と考えられています。
その症状は、病気の進行状態から、口が渇き多飲になる「上消(じょうしょう)」(軽度・肺の症状)、食欲が過剰で多食になる「中消(ちゅうしょう)」(中度・胃の症状)、尿量が異常に多くなる「下消(げしょう)」(重度・腎の症状)の三消に区別され、約一千年前からそれぞれに応じた治療が行われてきました。

糖尿病で怖いのは、初期には自覚症状がほとんどないということ。そのため、気づかないうちに症状が進行してしまうことも少なくありません。
糖尿病が進行すると、腎症や網膜症、神経障害のほか、心筋梗塞、狭心症、脳卒中などの重い合併症を引き起こすこともあり、ときには失明や生命の危険にも至ります。
一度糖尿病を患うと完治することは難しいため、とにかく予防が大切。バランスのとれた食事、適度な運動を心がけるなど、日頃の生活から糖尿病を予防しましょう。

check!体質別・糖尿病の予防法

糖尿病には1型(インスリン依存型)と2型(インスリン非依存型)があります。近年多く見られるのは2型の糖尿病で、肥満や運動不足、過度のストレスなどが大きな原因に。自分の体質に合った対策を知り、生活習慣の改善で糖尿病を防ぎましょう。

1 肥満の方は要注意「痰濁(たんだく)」タイプ

気になる症状

肥満、痰が多い、手足が重くむくみやすい、食欲旺盛、頭痛、顔色が赤い、舌の苔が多い

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改善ポイント

【溜まった汚れは早めに取り除く!】

「痰濁(たんだく)」は、血中に溜まった汚れ(余分な水分や脂肪、糖分など)のこと。脂っぽい食事や食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足などが原因で発生し、中医学では糖尿病の原因の一つと考えます。
肥満はこの痰濁が溜まった状態と考えられるため、太り気味かな、と思ったら要注意。痰濁はドロドロ血になる前の段階で、比較的改善しやすい症状です。
体型がそれほど気にならない人も、気になる症状があれば日頃の生活習慣をしっかり見直し、溜まった汚れを早めに取り除くよう心がけてください。

摂り入れたい食材

尿を出すことで痰濁を取り除くことができるので、利尿作用のあるものを。:
とうがん、苦瓜、たけのこ、もやし、春雨、はと麦、みかんの皮、びわの葉、オオバコの葉、柿の葉、こんにゃく、とうもろこしの髭茶(ひげちゃ)

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2 血流がとどこおった「瘀血(おけつ)」タイプ

気になる症状

顔色が暗い、しみが多い、痛みが多い(頭痛、胃痛、腹痛、生理痛、胸痛、関節痛、神経痛など)、手足のしびれ、舌の色が暗い、舌に瘀点や瘀班(黒い点やしみ)がある

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改善ポイント

【血流を改善して、代謝機能をアップ】

血の流れが滞ってしまう「瘀血(おけつ)」。その原因は冷えや過労などさまざまですが、糖尿病で気を付けたいのは、食事の不摂生などが原因で血に汚れが溜まって、血流がとどこおること。
血は全身を巡って“細胞に栄養素や代謝に必要な物質を届け、不要な物質を回収する”という役割を担っていますが、瘀血になるとこの働きが低下してしまいます。こうした状態が続くと体内の脂肪や糖分が代謝されず、老廃物などが排出されないため、糖尿病や高血圧といった病気にもかかりやすくなってしまいます。
バランスの取れた食事、適度な運動などを心がけ、血をサラサラにする習慣を身につけましょう。

摂り入れたい食材

辛みや酸味のあるもの、海産物など、血の循環を改善し血管を強くする食材を。:
玉ねぎ、ピーマン、なす、もずく、ひじき、昆布、ウコン、酢、さんざし、そば、紹興酒(少量)、玫瑰茶(まいかいちゃ)、ひまわりの種

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3 消耗しやすい「虚弱」タイプ

気になる症状

息切れ、疲労感、汗をかく、風邪をひきやすく治りにくい、感染症にかかりやすい、痩せ、冷え性、腰痛、舌の色が淡い、舌苔が白い

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改善ポイント

【体力をつけて、身体の機能を高める】

糖尿病になると、食べ過ぎなどから体内に熱が発生し、身体に必要な水分を消耗してしまいます。こうした状態を「陰虚(いんきょ)」といいますが、虚弱体質の人は陰虚になりやすいタイプと考えられるため、改善するよう心がけましょう。
また、加齢で身体の機能が低下し、糖の代謝が落ちることもあります。糖尿病の症状と関わりの深い「肺」、「脾胃(ひい)」(消化器系)、「腎」(腎臓)をバランスよく整えながら、基本的な体力をしっかり養うようにしてください。

摂り入れたい食材

体力を養うことがポイント。良質なタンパク質、新鮮な野菜などでバランスよく栄養を。:
キノコ類、山芋、かぼちゃ、くるみ、ごま、松の実、なつめ、クコの実、かぼちゃの種、落花生、兎肉、鶏肉、どじょう、鮎、はまぐり

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point!糖尿病を防ぐ暮らしの習慣を

生活習慣病の代表格である糖尿病は、食事や運動、睡眠などに気を配ることがとても大切。日頃から意識して、バランスのとれた生活を送るよう心がけましょう。

<暮らしのポイント>内臓脂肪に要注意

■食事
・バランスの良い食事を
・野菜はたっぷり、青身の魚を
・甘いもの、脂っこいもの、酒類は控えめに

■運動
・無理のない軽い運動(有酸素運動)を
・駅ではなるべく階段を使う
・歩くときは大またで少し早めに

■その他
・入浴で代謝をよくする。40℃のお湯に10分くらい
・「一日一便」便通をよくする
・ストレスはこまめに発散

月刊誌『チャイナビュー』(イスクラ産業発行)より掲載

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この記事を監修された先生

中医学講師/菅沼 栄先生

1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。

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まずは中医学の視点から
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TYPEA

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気虚(ききょ)

エネルギーとなる気が不足しています。
疲れやすくカラダがだるい、やる気が出ない、かぜをひきやすいなど、思い当たりませんか?

TYPEB

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気滞(きたい)

気の巡りが滞っています。
イライラして怒りっぽい、生理不順、お腹が張ってガスがでるなど、思い当たりませんか?

TYPEC

「血液の不足」タイプ
血虚(けっきょ)

カラダの栄養となる血が不足。
冷えやめまい、立ちくらみ、抜け毛、爪が割れやすいなどの悩みはありませんか?

TYPED

「血液ドロドロ」タイプ
瘀血(おけつ)

全身の血の巡りが滞った状態です。
目の下のクマ、シミ、頭痛、がんこな肩こり、つらい生理痛で悩んでいませんか?

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陰虚(いんきょ)

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痰湿(たんしつ)

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太りやすい、むくみ、ニキビ、一日中眠気が取れないなどで悩んでいませんか?

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