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月経痛月経痛の改善・対処方法

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

女性は人生のほぼ半分を月経(生理)と関わって過ごします。だからこそ、快適で心地いい生活を送るためには、月経と上手に付き合っていくことが大切ですよね。

そのためにこの記事では、中国の伝統医学である中医学をもとに、つらい月経痛をやわらげる方法をわかりやすく説明します。

痛みはないのが当たり前

中医学では、女性の身体は7年ごとに節目を迎え、変化が現れると考えます。7歳ごろに歯が生え変わり、14歳ごろに初潮、21歳ごろに成熟期を迎えます。月経のリズムも同じように「7」の倍数が基本。個人差はありますが、健康な月経の日数は7日前後、月経の周期は28日(7の4倍)前後が一般的です。

 

経血の量は多すぎず(多い日の日中2時間をロングナプキンで過ごせる程度)、色は赤色で粘り気や大きな塊がないようなら問題はないでしょう。また、中医学では痛みのある月経を「痛経(つうけい)」と呼び、「月経痛」は“ない”のが正常な状態と考えます。

 

このような“健康的な生理”の基本を踏まえると、月経痛がある、周期や日数が乱れる、量や色が気にかかる、といった場合は要チェック。月経の諸症状は、さまざまな要因で体内の「気」「血(けつ」の働きが乱れることで起こるものなので、自分の体質や体調を見直し、根本的に改善していくことが大切です。

 

多くの女性を悩ませる月経痛も、少量の鎮痛剤を服用して治まる程度の痛みであれば、日常生活の工夫や中医学の対策でやわらげることができます。身体全体の不調を改善していくきっかけにもなるので、症状が軽い人も積極的な養生を心がけましょう。

 

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check! 月経のタイプで体質&対策をチェック

月経痛は仕方のないものとあきらめている人も多いと思いますが、体質を見直し、対策することで根本から改善することができます。ただし、月経痛が我慢できないほどつらい場合は、子宮内膜症などの病気が原因となっている場合もあるので、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

1 気・血の流れが悪い「気滞血瘀(きたいけつお)」タイプ

気になる症状

・月経痛の特徴:月経前、月経中の下腹部の張り、痛み、胸の両脇の張り、痛み、情緒の変動によって、痛みが変化する
・月経の特徴:経血の色が暗い、経血に塊が見られる、その他の症状、生活にストレスが多い、イライラしやすい

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改善ポイント

【ストレスが原因の月経痛】

血液の貯蔵庫といわれる五臓の「肝(かん)」は、月経にも大きく影響する女性に関わりの深い臓器です。この肝は情緒を安定させる働きを持つため、ストレスの影響を受けやすいことが特徴。強いストレスを受けると、気の流れが滞り(気滞:きたい)、月経時に腹部の張り、軽い月経痛といった症状が現れます。

また、気滞の状態が長く続くと、血の流れが悪くなる「血瘀(けつお)」を引き起こし、重い月経痛につながることも。症状が軽くても軽視せず、気滞のうちに改善するよう心がけましょう。

摂り入れたい食材

ストレスをためないように、発散の方法も考えて。ストレスを発散して気・血の流れをスムーズに。
・気滞の改善:ジャスミン茶、ラベンダー茶、ウコン、金針菜 など
・血行の改善:黒きくらげ、なす、黒豆(煮汁)、小豆 など

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2 冷えが原因「寒邪(かんじゃ)」タイプ

気になる症状

・月経痛の特徴:月経前・月経中の下腹部の冷え、痛み。冷えると痛みが強くなる。温めると痛みが緩和する。
・月経の特徴:経血の色が暗い。黒ずんだ血塊がある。経血がすっきりと出ない。
・その他の症状:手足が冷える。むくみやすい。顔色が白っぽい。

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改善ポイント

【 子宮を冷やす冷えに注意】

冷房や冬の寒さなど、外から体内に入ってくる冷え。食事や服装の不注意、陽気(ようき:身体を温めるエネルギー)不足などによる身体の内の冷え。2つの冷えが寒邪(かんじゃ)となって長く体内に留まると、子宮が冷えて血の流れが悪くなり、月経痛の原因となります。

このタイプの月経痛は、とにかく身体を温めることが大切。外から入る冷えを発散し、体内、特に子宮を温めて血の流れを良くすることで痛みをやわらげます。月経期間中は、身体を冷やすとさらに痛みが強くなってしまうので注意しましょう。

摂り入れたい食材

温性の食材、辛味のある食材を選び、身体の冷えを改善するよう心がけてください。
よもぎ、紅花、シナモン、しょうが、ねぎ、フェンネル、山椒の実、八角 など

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3 エネルギー不足の「気血虚弱(きけつきょじゃく)」タイプ

気になる症状

・月経痛の特徴:月経の後半に痛みが強くなる。比較的弱い痛みが長く続く。
・月経の特徴:月経の周期が長い。経血の色が薄い。経血の量が少ない。
・その他の症状:疲労感、めまい

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改善ポイント

【体内の陽気・栄養を十分に】

生命のエネルギーである「気」。身体をめぐって栄養を運ぶ「血(けつ)」。虚弱体質や慢性疾患、過度のダイエットによる栄養不足などが原因で、この気・血が不足すると、月経で血を排出した子宮に十分なエネルギーが行き渡らず、月経痛が起こります。

比較的多く見られるこのタイプの月経痛は、月経期間の後半から月経後の2〜3日にわたって続くことが特徴。また、血が不足するため経血の色が薄く、量も少なめになります。エネルギー不足で月経中は特に疲れやすく、倦怠感を強く感じるため、まずはしっかりと栄養を摂ることが大切です

摂り入れたい食材

甘味のある食材で、身体を温めながら血を補いましょう。
黒砂糖、クコの実、ナツメ、鶏肉、豚肉、卵、にんじん、ほうれん草、山芋 など

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point!生活習慣を見直して、身体を根本から整える

月経のタイプによって中心となる対策は異なりますが、ここでは月経痛をやわらげる基本の養生をご紹介しましょう。

・月経前:なるべくストレスを溜めないように。睡眠をたっぷり取ることも大切です。

・月経中:身体を冷やさないよう、食事や飲み物、服装、冷房などに気を配りましょう。

・月経後:滋養のある物、特に血を補う食事を。鶏のスープは身体が温まるのでおすすめです。

・その他:普段気付いたときに、女性の健康に関わるツボ「三陰交(さんいんこう)」を指圧するようにしましょう。

 

現代の便利な生活では、冷房で身体が冷える環境も多く、運動をする機会も少ないため陽気も不足しがちです。食事も油っこいものが増え、血流が悪くなる心配も。こうした生活習慣を見直すことも、月経痛の改善につながります。月経の時だけでなく、女性の身体を根本から整えることにもつながるので、普段の暮らしの中でぜひ意識してみてください。

【月経痛に効くツボ】
・三陰交(さんいんこう):内くるぶしの指4本分上の骨の後ろ。冷え、むくみ、月経痛を緩和します。
・血海(けっかい):ひざの皿の内側、指三本分上のところ。血を補い、巡りを促します。

月刊誌『チャイナビュー』(イスクラ産業発行)より掲載

月経痛に効くツボ

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この記事を監修された先生

中医学講師/菅沼 栄先生

1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。

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気滞(きたい)

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