漢方の知恵袋
監修:菅沼 栄先生(中医学講師)
かぜの症状は、悪寒や頭痛などが特徴の寒(かん)、熱やのどの痛みなどが特徴の熱(ねつ)、吐き気や下痢などが特徴の湿(しつ)、咳などが特徴の燥(そう)の4つのタイプがあります。
それぞれの症状には特徴があるので、そのタイプに合った対処法を知ることが大切。今かぜをひいている方は、自分自身がどんな症状なのかを念頭におきながら読んでみてください。
それでは、中医学の知恵を活かした食と暮らしの養生法(ようじょうほう。健康を維持するための方法)を症状別にご紹介します。
「寒」のかぜは、ぞくぞくっとする悪寒や頭痛、関節の痛み、肩コリ、透明な鼻水などが特徴です。かぜの初期にあたる症状で、熱の自覚症状は軽く、汗もあまりかきません。
三白湯(白菜、大根、ネギ)、ショウガ、香草(三つ葉など)、ニンニク
「熱」のかぜは、発病したときから熱が高く、のどの腫れや痛み、黄色く粘りのある鼻水や痰、のどの渇きといった症状が現れます。
ゴボウのみそ汁、菊茶、ミントティー、板藍茶
「湿」のかぜは、胃のムカつきや吐き気、痛み、下痢、食欲不振など、消化器系の症状が現れる胃腸型のかぜ。
シソ、ショウガ、ニンニク、八角、山椒の実
「燥」のかぜは咳が強く、痰がからんで胸に重苦しさを感じることも。呼吸器系の弱い人に多く見られる、治りかけの時期の症状です。
梨(皮ごと蒸して)、銀杏入りの茶碗蒸し、百合根のみそ汁、杏仁豆腐
また、冬のかぜを予防するには、寒さから身体を守ることも大切です。外出する際は手袋やマフラーなどを用意し、なるべく暖かな服装を心がけてください。寝る前にお風呂に入り、よく体を温めるのも良いですね。お風呂は、ぬるめのお湯に長くつかることがポイントです。あつあつの鍋料理や、ネギ、ニンニク、ショウガなどは、身体を温めて発汗を促す効果があるので、上手にとり入れてみてください。月刊誌『チャイナビュー』(イスクラ産業発行)より掲載
この記事を監修された先生
中医学講師/菅沼 栄先生
1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。
症状一覧
CHECK!
TYPEA
エネルギーとなる気が不足しています。
疲れやすくカラダがだるい、やる気が出ない、かぜをひきやすいなど、思い当たりませんか?
TYPEB
気の巡りが滞っています。
イライラして怒りっぽい、生理不順、お腹が張ってガスがでるなど、思い当たりませんか?
TYPEC
カラダの栄養となる血が不足。
冷えやめまい、立ちくらみ、抜け毛、爪が割れやすいなどの悩みはありませんか?
TYPED
全身の血の巡りが滞った状態です。
目の下のクマ、シミ、頭痛、がんこな肩こり、つらい生理痛で悩んでいませんか?
TYPEE
カラダの潤いが不足しています。
のぼせ、ほてり、寝汗、肌の乾燥やかゆみ、経血量が少ないなど、気になりませんか?
TYPEF
水分代謝が落ちた状態です。
太りやすい、むくみ、ニキビ、一日中眠気が取れないなどで悩んでいませんか?
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