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顔の痙攣(けいれん)まぶたや口の不快なぴくぴくの改善方法と対策

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

目のまわりや口角などがピクピクと動く顔の「痙攣(けいれん)」。多くの場合は一過性のものですが、その症状はとても不快で、繰り返すと精神的な負担につながることも。放置すると症状が重くなる心配もあるので、しっかり身体を整えて、痙攣を起こしにくい体質づくりを目指しましょう。

ストレスや血のトラブルが痙攣の要因に

「痙攣」は、自分の意思とは関係なく筋・筋肉の収縮が続く状態のこと。顔に起こる痙攣には、目のまわりがピクピクと動き、目がしょぼしょぼしたり、まばたきが増えたりする「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」、顔の片側の目元や口元などが痙攣する「片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)」といった症状があります。
眼瞼痙攣は、目の使い過ぎや疲れ、ドライアイなどが主な原因に。片側顔面痙攣は、主に動脈硬化によって蛇行した血管に、神経が圧迫されることで起こると考えられています。また、いずれの症状も、ストレスや睡眠不足、過労などが深く関わっています。
一方、中医学でも、痙攣は精神的なストレスや血のトラブル(血不足や血行不良)によって起こる症状と考えます。繰り返す痙攣を改善するためには、こうした体内の不調をしっかり取り除くことが大切。症状を一時的に抑えるだけでなく、体質を根本から整えて痙攣を起こしにくい体づくりを心がけましょう。
痙攣自体は大きな病気ではありませんが、放っておくと症状が重くなり、人前に出にくくなったり、日常生活に支障をきたしたりすることも。疲れると目がピクピクする、といった不調を感じている人は、症状が軽いうちに改善するよう心がけてください。

check!タイプ別・顔の「痙攣」対策

痙攣対策の基本となる「肝(かん)」(肝臓)のケアや「血虚(けっきょ)」、「瘀血(おけつ)」(血行不良)の改善は、心身を健やかに整え、脳血管疾患を予防することにもつながります。痙攣の症状が気になる人は、積極的な養生で体質を改善していきましょう。

1 ストレスが多い「肝うつ」タイプ

気になる症状

痙攣の症状:まぶたや口角の痙攣、顔面の痙攣、ストレスで痙攣の症状が重くなる
その他の症状:憂うつ、情緒不安定、イライラしやすい、怒りっぽい

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改善ポイント
精神的なストレスは、痙攣を誘発する大きな要因に。中医学では、ストレスを発散させるのは五臓の「肝(かん)」(肝臓)の働きと考えます。そのため、過剰なストレスで肝がダメージを受けると、ストレスを上手く発散できず、痙攣が起こりやすくなるのです。
また、筋・筋肉は肝が蓄える「血(けつ)」の栄養によって養われるため、肝の機能が低下すると、筋や筋肉の状態が悪くなり痙攣を起こすこともあります。
肝を健やかに保つためには、ストレスを溜め込まず、気の巡りをスムーズに保つことが大切。あまり細かいことは気に病まず、ストレスをこまめに発散して気持ちを穏やかに保つよう心がけましょう。
摂り入れたい食材

気の巡りを良くして、肝の働きを整える:
金針菜、ミント、キンモクセイの花、たけのこ、玫瑰花茶(まいかいかちゃ)、パクチー、菊花、ジャスミン茶、セロリ など

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2 疲れやすい「血虚」(血不足)タイプ

気になる症状

痙攣の症状:体の疲れ・精神的疲労がある時に痙攣が起こる
その他の症状:疲労、食欲不振、動悸、不眠、不安、多夢、めまい、脱毛、顔色が白い、舌の色が淡い

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改善ポイント
痙攣は、無意識に筋・筋肉の収縮が続いてしまう状態。そのため、筋や筋肉がしっかり養われていれば、こうした不調も起こりにくくなります。ところが、筋や筋肉は「血」の栄養によって養われているため、体内の血が不足すると筋や筋肉の状態も悪化しがちに。その結果、痙攣の症状が起こりやすくなるのです。
また、血には気持ちを落ち着かせる「鎮静」の働きがあります。そのため、血が不足すると精神の昂りを抑えにくくなり、イライラやストレスから痙攣を起こしやすくなることも。
このタイプは身体が疲れやすく、疲労が溜まると痙攣が起こりやすいことが特徴です。日頃
から「脾胃(ひい)」(胃腸)の調子を整え、しっかり栄養を取って不足しがちな血を養いましょう。
摂り入れたい食材

甘味・温性の食材で「気」「血」を養う:
大豆製品、松の実、なつめ、鶏レバー、ほうれん草、卵、百合根、竜眼肉、鶏ハツ、にんじん、黒ごま、小麦、クコの実、小松菜、黒糖 など

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3 頭痛を伴う「瘀血」(血行不良)タイプ

気になる症状

痙攣の症状:痙攣の慢性化、頭痛を伴う、温めると症状が緩和する
その他の症状:冷え、痛みが起きやすい(頭痛、生理痛、関節痛など)、顔色が暗い、舌の色が暗い、舌に瘀点・瘀斑がある(黒い点やあざ)

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改善ポイント
顔の痙攣は、動脈硬化によって蛇行した血管に、顔面神経が圧迫されて起こることもあります。中医学では、こうした動脈硬化につながる主な要因を「瘀血(おけつ)」と考えます。
瘀血は、食の不摂生によるドロドロ血、また過剰なストレス、極度の疲労などが原因になることも。血流を良くするためにも、まずは日頃の食生活を整えてサラサラ血を保つよう心がけましょう。しっかり休息を取って、ストレスや疲れを溜めないことも大切です。
このタイプは痙攣が慢性化していることも多いので、悪化する前に積極的な養生を。痙攣を頻繁に繰り返し、症状が重くなっている場合は、早めに医師の診察を受けましょう。
摂り入れたい食材

血行を改善し、血管を柔らかく:
紅花、よもぎ、アジ、少量のアルコール、玉ねぎ、へちま、酢、らっきょう、サバ、海藻類(昆布、わかめなど) など

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point!暮らしのポイント

・睡眠を十分とって疲れを取り心身を元気に保ちましょう
・ストレスを溜めないよう上手に気分転換を
・適度な運動は筋肉の緊張を和らげてくれます
・入浴で体全体を温め血行を良く、蒸しタオルで顔や首まわりを温めるのもおすすめ
・ビタミンやミネラルを多く含む食材(大豆、緑黄色野菜、貝類など)を積極的に取りましょう

月刊誌『チャイナビュー』(イスクラ産業発行)より掲載

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この記事を監修された先生

中医学講師/菅沼 栄先生

1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。

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