「陽明経」は美肌の味方!美容鍼灸で体も肌も健やかに - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

中医美容と養生

「陽明経」は美肌の味方!
美容鍼灸で体も肌も健やかに

2026.11.03 UPDATE

脚のセルフケアをする女性

監修:張 成龍(中医学講師)

張成龍先生の中医美容探訪Vol.6

こんにちは。鍼灸師の張成龍です。
中医学の考え方を生かした「美容鍼灸」。馴染みのない人も多いと思いますが、体質から肌を整える鍼灸は、健やかな美肌づくりの強い味方です。今回のコラムでは、そんな美容鍼灸の要となる経絡「陽明経(ようめいけい)」についてお話します。肌と体の関係を知り、ケアのポイントを押さえて、ぜひ日々のセルフケアに役立ててみてください。

肌には“体内の状態”が現れる

“美容”というと、私たちはスキンケアやメイクで外見を整えることを考えがちです。ところが、丁寧なスキンケアを続けていても、睡眠不足やストレス、食生活の乱れなどが続けば、肌は美しさを保つことができません。これは、肌が単に表面だけのものではなく、体全体と深く関わっているということです。
中医学では「内にあるものは、必ず外に現れる」「肌は内臓を映す鏡」とされ、体の内側の状態が顔色や肌質に現れると考えます。これは、中医美容の美肌づくりの基本。だからこそ、肌表面をケアするだけでなく、体を内側から整えることを大切にするのです。

イキイキ肌は「気」と「血」の充実がカギ

肌の状態と密接に関わるのは、体内の「気」と「血」です。気は体の活動のエネルギーで、血は臓腑や組織に栄養と潤いを与えるもの。そのため、気・血が十分に巡っていれば、肌にもエネルギーや栄養が行き届き、ハリ・ツヤのある健やかな肌が保たれると考えます。
この気・血を充実させる上で大切なのが、「脾胃」(胃腸)の働きです。脾胃は飲食物を消化・吸収し、気・血を生む源となる臓腑。そのため、働きが弱くなると気・血の不足を招き、肌の元気も失われてしまいます。その結果、くすみやシミ、乾燥、たるみといったトラブルに悩まされるようになるのです。

肌を気にする女性

美容鍼灸の要! 気・血を巡らせる「陽明経」

経絡とは、全身に気・血を巡らせる通り道のこと。鍼灸では、経絡上にあるツボを刺激することで、気・血の巡りや体の働きを整えていきます。
主要な経絡は全身に14本とされますが、中でも美容鍼灸で重視されるのは次の2つの「陽明経」です。

 

・手の陽明大腸経:手の人差し指から始まり、腕の外側を上って顔の鼻の脇までつながる経絡
・足の陽明胃経:目の下から始まり、首、胸、腹部、脚を通って足の人差し指へつながる経絡

 

どちらも顔を通っていて、鼻の周りや口元、目元、頬、額など顔全体と関わるため、美容を考える上で重要な経絡とされています。
また、陽明経は気と血が豊富な「多気多血」の経絡でもあります。なかでも足の陽明胃経は、その名の通り“脾胃の働き”と深く関わっていることもポイント。この経絡上のツボを刺激することは、脾胃の働きを整え、気・血の生成を支えることにつながります。
このように、陽明経は顔とのつながりに加え、気・血の状態とも密接に関わることから、美容鍼灸の要として重視されています。

陽明経の図

※図は、経絡の主な走行を模式的に示したものです。経絡は身体の左右両側にありますが、図では片側のみを示しています。

「陽明経」から見る年齢と肌の変化

中医学では、女性の体は「7の倍数の年齢」を節目に変化が訪れると考えます。この変化は陽明経の盛衰とも関わっていて、衰えが見えはじめるのは35歳ごろ。この年齢に差し掛かると陽明経の気・血が衰え始め、肌はツヤを失い、髪も抜けやすい状態に。さらに、42歳、49歳と年齢を重ねるにつれて、顔全体のくすみやたるみ、抜け毛、白髪といった症状が現れるようになります。
実際の変化には個人差がありますが、肌や体は年齢とともに衰えていくもの。少しずつ進むその変化に備え、老化を緩やかにするためにも、“陽明経のケア”を含めて日々の養生を心がけることが大切です。

女性7の倍数のグラフ

※中医学に基づく、女性の成長や変化の節目を模式的に示した図です。節目を迎える年齢や身体の変化には個人差があります。

実践! 健やか美肌のツボケア

美容鍼灸では、顔だけでなく手や足のツボも刺激します。これは、顔に現れる肌悩みも、その原因が顔だけにあるとは限らないから。ここまでお伝えしたように、肌にとって気・血はとても大切なもの。そのため、全身を巡る陽明経上のツボを刺激し、気・血をしっかり巡らせることで、体全体を整えながら肌にアプローチしていくのです。
ここでは、まず押さえておきたい陽明経の4つのツボをご紹介します。本格的な鍼灸は専門家の施術が必要ですが、日常のケアならツボ押しでOK。いつでも手軽にできるので、ぜひ日々のスキンケアの一つとして習慣にしてみてください。

 

<陽明経・4つのおすすめツボ>
~足の陽明胃経にあるツボ~
● 人迎(じんげい):のどぼとけから指2本分外側 ※強く押さないように十分気をつけて
頭部への気・血の巡りを促します。顔全体の血行が良くなり、くすみやむくみ、たるみなどの緩和が期待できます。

● 足三里(あしさんり):膝の皿の下、外側の窪みから指4本分下
脾胃の働きを整えます。気・血を充実させることで、くすみやたるみ、血色の悪さなどの緩和につながります。

~手の陽明大腸経にあるツボ~
● 合谷(ごうこく):手の甲、人差し指と親指の骨が合流するところ
大腸の働きや気の巡りを整え、便通のケアに。また、気・血の巡りを整え、くすみがちで疲れた肌を健やかに整えます。

● 曲池(きょくち):ひじを曲げたときにできる、シワの終わるところ
こちらも大腸の働きを整えるツボです。便秘による肌不調に。また、血行を良くするため、シミやくすみが気になるときにもおすすめです。

ツボの位置

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この記事を監修された先生

中医学講師張 成龍

張 成龍(ちょう せいりゅう)中医学講師。鍼灸師。中国・遼寧中医薬大学 国医堂にて、叢法滋、陳以国ら名医・名師のもとで6年間研鑽を積み、鍼灸および内科領域における高度な臨床技術を習得。中国では鍼灸内科を中心に、循環器内科・皮膚科・糖尿病内科・リウマチ内科・腫瘍内科など多岐にわたる診療科にて従事。北京紫禁城国医館では総合診療も経験。2017年に来日後は、「イスクラ産業株式会社」および「イスクラ中医鍼灸院」にて臨床と研究を継続し、日本における中医学の発展に寄与している。日本にて鍼灸師取得。