トイレで毎日健康チェック!便編|便秘・下痢は心と体のストレスサイン - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

中医学の基礎

トイレで毎日健康チェック!
便編|便秘・下痢は心と体のストレスサイン

2026.06.16 UPDATE

トイレに座る女性

監修:楊 敏 先生(中医学講師)

こんにちは。中医学講師の楊敏です。
今回から2回シリーズでお届けするのは、「便」と「尿」から知る体質のこと。排泄物は健康状態を教えてくれる身近なバロメーターで、“体からのお便り”ともいわれます。だからこそ、“いらないもの”とすぐに流してしまうのはもったいない!便と尿のチェックを習慣にして、日々のトイレを体調管理に役立てましょう。
1回目のテーマは「便」。便の状態から知る中医学の体質と、そのケア方法をご紹介します。

「理想の便」ってどんな便?

快食・快便・快眠は健康の秘訣。中でも「快便」は、代謝の良い体づくりにつながる大切なポイントです。快便は、単に便が出るだけでなく、色、形状、におい、量などが良い状態であることが大切。体に不調があると、便秘や下痢、コロコロ便といった状態で現れるので、便をこまめにチェックする習慣をつけましょう。

 

<理想の便の目安>
理想の便とは、腸内環境が整い、スムーズに排出される健康的な便のこと。“バナナのような状態で、いきまずスルっと出る便”が目安となります。

・便の形状:バナナ状で適度なやわらかさがある
・便の色:明るい茶色〜黄土色
・便の量:1日あたり100〜200g程度(バナナ1〜2本分が目安)
・便のにおい:強すぎず、不快感が少ない
・排便:1日1〜2回程度が目安。無理なくすっきり排便でき、残便感がない

(※薬物や飲食物により、便の色や匂いが変わることもあります。)

 

排便回数には個人差があり、1日3回から1週間に3回の範囲内であれば正常とされています。残便感なくすっきり排便できていれば、毎日出なくても問題はありません。

お腹に手を当てる女性

排便の状態から体質を知る 〜中医学の便チェック〜

中医学では、便と尿を「二便(にべん)」(大便・小便)といいます。その状態を観察することは古くから重視され、古典の医学書にも「病を治すには、必ず二便を観察せよ」と説かれています。
便の不調は大きく分けて「便秘」「軟便・下痢」の二つ。それぞれ便の状態に原因となる体質のヒントがあるので、便秘や下痢がある人はしっかりチェックしてみましょう。

 

【便秘】
便が腸内に長く滞り、排便回数が減ったり、便がスムーズに出なくなったりする状態。排便があっても、便が硬くて量が少ない、残便感がある場合などは便秘とされます。

便秘タイプ表

 

 

【軟便・下痢】
便に含まれる水分量が増え、やわらかい便や水様便が出る状態。腹痛を伴うことが多く、排便の回数も増えます。

軟便・下痢のタイプ表

「理想の便」が出るように! 体質ケア~便秘編~

便秘、軟便・下痢体質の改善につながる食養生をご紹介します。日々の食事でしっかり体を整え、理想の便が出る“快便体質”を目指しましょう。

 

●「熱盛傷津」タイプ
発熱、熱感、口の渇き、口臭、舌が紅く舌苔が黄色い、などの症状が見られます。体内の過剰な熱を冷まし、潤いを守ることを心がけて。通便すると、熱も冷めやすくなります。
<おすすめ食材>
苦瓜、大根、きゅうり、すいか、アロエ、どくだみ茶、ハブ茶 など

 

●「脾胃気虚」タイプ
疲れやすい、食欲不振、痩せ気味、舌の色が淡く歯痕がある、などの症状が見られます。消化の良い食事でしっかり栄養を摂り、飲食は温かいものを。過労にも気をつけましょう。
<おすすめ食材>
長芋、じゃがいも、にんじん、キャベツ、卵、鶏肉、牛肉、りんご、蓮の実、なつめ など

 

●「津液・陰血不足」タイプ
めまい、口の渇き、乾燥肌、舌が紅く舌苔が少ない、などの症状が見られ、高齢者や女性に多いタイプ。体内の津液と血を十分養い、腸の潤いを保ちましょう。
<おすすめ食材>
牛乳、レバー、ほうれん草、ごま、梨、桃、プルーン、松の実、はちみつ など

 

●「陽虚内寒」タイプ
食欲不振、疲労感、冷え、足腰が弱い、舌の色が淡く歯痕がある、などの症状が見られ、高齢者に多いタイプ。温性の食材を積極的に摂り、体をしっかり温めることが大切です。
<おすすめ食材>
しょうが、ねぎ、にら、長芋、さつまいも、鶏肉、牛肉、シナモン、こしょう など

 

●「肝鬱気滞」タイプ
イライラ、憂うつ感、不安感、PMS、舌辺が紅い、などの症状が見られます。日頃のストレスを上手に解消して、気の巡りをスムーズに保ちましょう。
<おすすめ食材>
春菊、セロリ、苦瓜、いか、たこ、柑橘類、ミント、ジャスミン など

「理想の便」が出るように! 体質ケア~軟便・下痢編~

●「食滞」タイプ
暴飲暴食をしたときに起こりやすく、胃の張り・痛み、食欲不振、舌苔が厚くベタつく、などの症状が見られます。疲れた胃腸を整え、日頃から胃腸に負担をかけない食生活を心がけて。
<おすすめ食材>
そば、大根、かぶ、しそ、パクチー、梅、サンザシ など

 

●「脾胃気虚」タイプ
~便秘編~の同タイプを参照

 

●「肝鬱乗脾」タイプ
イライラ、怒りっぽい、腹部の膨満感、ガスやゲップが多い、などの症状が見られます。なるべくストレスを溜めず、胃腸の働きを整えることが大切です。
<おすすめ食材>
春菊、パクチー、柑橘類、ミント、ジャスミン、大根、にんじん など

 

●「腎陽虚」タイプ
冷え、足腰が弱い、耳鳴り、むくみ、舌の色が淡く腫れぼったい、などの症状が見られ、高齢者に多いタイプ。冬の寒さ、夏のクーラーに気をつけ、しっかり体を温めましょう。
<おすすめ食材>
長芋、かぼちゃ、しいたけ、えび、うなぎ、黒豆、くるみ、シナモン、八角 など

便秘、軟便・下痢対策におすすめのツボ

~便秘に~
● 支溝(しこう):手の甲の手首から指4本分下
→やや強めに押すのがおすすめ

 

~軟便・下痢に~
● 足三里(あしさんり):膝の皿の下、外側の窪みから指4本分下
→気持ちいいと感じる強さでゆっくりマッサージ  ツボの位置

 

<こんなときは病院へ!>
・タール状の黒色便で胃痛がある
・腹痛、テネスムス(しぶり腹)、膿血便、排便後の肛門の灼熱感がある
これらの場合は胃腸の病気、感染症などの可能性があるため、早めに医療機関を受診してください。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。