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中医学の基礎

仕事のパフォーマンスを上げる!
体質から整える「集中力」アップ術

2026.05.19 UPDATE

女性オフィスワーカー

監修:楊 敏 先生(中医学講師)

こんにちは。中医学講師の楊敏です。
やるべきことがあるのに、なかなか集中できない、捗らない……。そんな状況にもどかしさを感じることはありませんか。今回は、こうした“集中力の低下”を体質から改善していく養生法をご紹介します。忙しさに追われる毎日、仕事も家事も気持ちよくこなせるよう、体質ケアで集中力を上げていきましょう。

集中できない原因は“脳の疲れ”

「集中力」は、特定のものごとに意識を向け続ける能力のこと。その状態を長く保つことは難しく、集中力を維持できる時間は一般に45〜90分程度とされています。
集中力が低下する大きな要因となるのは、脳の疲労です。脳はその活動に多くのエネルギーを使うため、必要な栄養が不足したり、睡眠不足や過労が続いたりすると働きが鈍くなります。また、気が散りやすい環境、過度なストレスなども脳疲労を招き、集中を妨げる要因となります。
こうした状態が続くと、仕事や家事が思うように進まず、さらなるストレスを生むことに。ミスの増加やモチベーションの低下にもつながるので、しっかり対処して“集中できる状態”を保つことが大切です。

数人の会社員が働くオフィス

「心」「脾胃」「腎」の虚弱が、集中力の低下を招く

中医学では、脳の働きは「心(しん)」、「脾胃」(胃腸)、「腎」と深く関わっていると考えます。心は“神明を司る”とされ、精神や思考といった脳の働きに関わる臓腑。脾胃は飲食物から脳に必要なエネルギーを生み、「精」(生命エネルギーの源)を蓄える腎は、集中を保つ持続力や精神力と関わっています。また、脳を養う「髄」の生成も、腎が担っています。そのため、心、脾胃、腎の働きが弱くなると、脳の働きに影響して集中力を保ちにくくなってしまうのです。

 

<集中力の低下を招きやすい3つの体質>
[1]脾胃気虚
消化吸収の働きが弱く、体内の気(エネルギー)を十分に生み出せません。その結果、体が疲れやすく、脳のエネルギーも不足して、集中力を保ちにくくなります。
[2]心血虚
「血」には精神を落ち着かせる作用があり、心に十分な血があることで精神は安定します。そのため、心の血が不足すると精神疲労や睡眠トラブルを招き、脳が疲れて集中力が低下しやすくなります。
[3]腎虚
腎は生命活動の根本を支える臓腑。加齢や過労などの影響でその働きが弱くなると、疲れやすく持続力も落ちてしまいます。その結果、脳の元気もなくなって、集中力が低下しがちになります。

集中力アップ!体質ケアで脳の働きを健やかに

脳の機能は、さまざまな臓腑の働きによって支えられています。集中力の低下を感じたら、体からのサインと捉えてしっかり体質を整えていきましょう。

 

●「脾胃気虚」タイプ
暴飲暴食、冷たいものの摂り過ぎなどは脾胃の負担になるので気をつけて。食生活を整えて脾胃を健やかに保ち、脳のエネルギーとなる気をしっかり養いましょう。

<主な症状>
疲れやすい、元気がない、少食、胃腸が弱い、軟便・下痢をしやすい、食後に眠くなる、手足の冷え、舌の色が淡く縁に歯痕がつきやすい

<おすすめ食材>
米類、芋類、キャベツ、かぼちゃ、にんじん、鶏肉、牛肉、うなぎ、卵、大豆、グリーンピース、りんご、なつめ、蓮の実、山査子(サンザシ)、シナモン など
〜おすすめ料理〜
*にんじん、グリーンピース入り卵チャーハン
*牛肉の赤ワイン煮込み

 

●「心血虚」タイプ
血を補う食材を積極的に。心の働きを健やかに保ち、精神を安定させましょう。睡眠不足、過労、目の酷使などは血の消耗につながるので、しっかり休息を取ることも大切です。

<主な症状>
不安感、焦燥感、物忘れ、眠りが浅い、夢が多い、目が覚めやすい、朝から疲れを感じる、動悸、舌の色が淡く舌先が紅い

<おすすめ食材>
小麦、ほうれん草、トマト、レバー、鶏肉、鶏のハツ、卵、いちご、レーズン、プルーン、竜眼肉、なつめ、百合根、カモミール など
〜おすすめ料理〜
*竜眼肉、レーズン入り蒸しパン ☆なつめでもOK
*なつめ入りカモミールティー ☆菊花、クコの実などを入れるのもおすすめ

 

●「腎虚」タイプ
腎虚は中高年に多いタイプですが、過労、過度なダイエットなどで若い人にも見られるので油断は禁物。無理をせず、休息、食事をきちんと取ることを心がけて。腎は冷えに弱いので、体を冷やさないことも大切です。

<主な症状>
疲労感、持久力の低下、集中が続かない、物忘れ、腰痛、腰がだるい、耳鳴り、頻尿、夜間頻尿、むくみ、舌の色が淡い、舌がむくんで縁に歯痕がつきやすい

<おすすめ食材>
芋類、かぼちゃ、ブロッコリー、カリフラワー、えび、豚肉、牛肉、うなぎ、栗、くるみ、黒豆、黒ごま、松の実、カシューナッツ、クコの実 など
〜おすすめ料理〜
*長芋、ブロッコリー、えびの炒めもの
*くるみ、黒豆入りの和菓子

暮らしのケア

●「子午流注」(臓腑が活発に働く時間帯の考え方)を意識して、脳の働きを健やかに。
・7~9時:胃の消化吸収が活発になる時間。温かい朝食をしっかり食べて、一日のエネルギーを養って。

・11~13時:脳の働きと関わる「心」が旺盛になる時間。昼食後は15分ほどの仮眠で脳を休ませ、心を整えて午後の集中力を高めましょう。

・23時〜:夜は「陰」にあたり、体を休めてエネルギーを回復する時間。しっかり休息を取ることで「腎」も守られるので、23時前の就寝がおすすめです。

子午流注の図

● 睡眠を改善すると、仕事や勉強の効率が20~30%アップするともいわれます。次のポイントを意識して、良質な睡眠を取るよう心がけて。
・就寝前の入浴で体を温める。
・就寝30分前からはテレビやスマートフォンを見ない。
・やさしい音楽、アロマテラピーなどで気持ちをリラックス。
・寝つきが良くない人は、午後の飲み物をカフェインレスに。

● 1時間ほど集中したら、少し休憩を取ってメリハリを。目を休めて血の消耗を防ぎ、体を動かして気・血を巡らせましょう。

● ストレスが溜まると気が滞り、エネルギーが脳にうまく流れません。集中力や思考力も低下してしまうため、日頃のストレスはこまめに発散を。おすすめは、ミントティーや菊花茶で気持ちを落ち着かせること。また、深呼吸やストレッチで気・血を巡らせるのも効果的です。

 

<集中力を上げたいときのおすすめツボ>
● 合谷(ごうこく):手の甲、人差し指と親指の骨が合流するところ
→5秒押す × 5回

● 百会(ひゃくえ):左右の耳の上から結んだ線の中央
→ツボの周囲を、30秒ほどを目安に指でトントン叩く

合谷と百会のツボ位置

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。