監修:楊 敏 先生(中医学講師)
こんにちは。中医学講師の楊敏です。
今回のテーマは「低血圧」の対処法。一般に、血圧は“高いより低い方が良い”と思われがちですが、低過ぎる状態も健康とはいえません。低血圧が続くと疲労感やだるさ、めまいといった症状が現れ、日常生活に支障が出てしまうことも。不調を感じている人は放置せず、体質ケアで整えていきましょう。
「低血圧」ってどんな状態?
「低血圧」は、血圧が正常よりも低い状態のこと。明確な基準はありませんが、収縮期血圧(最高血圧)が100mmHg未満の場合を低血圧とすることが多いようです。血圧が低い状態が続くと、全身に十分な血液を行き渡らせることができず、脳や臓器の血流も不足しがちに。その結果、めまいや疲労感、食欲不振といったさまざまな不調が起こるようになるのです。一方で、血圧が低くても自覚症状がないケースも多く、こうした場合は治療の必要はないことがほとんどです。ただし、中には病気が原因で低血圧を起こしていることもあるので、気になる場合は医療機関に一度相談してみましょう。
症状でチェック!こんな不調は「低血圧」のサインかも
特に病気などの原因がなく下記のような不調が続いていたら、低血圧のサインかもしれません。気になる症状があれば、血圧をチェックしてみましょう。
~低血圧のチェックリスト~
□ 立ちくらみやめまいが起こりやすい
□ 朝起きるのがつらい
□ 頭痛、頭重感がある
□ 体がだるい、慢性的に疲労感がある
□ 集中力がない
□ 肩がこる
□ 少し動いただけで動悸や息切れがする
□ 冷えを感じやすい
□ 食欲不振
□ ときに吐き気がある
体内の不調が血圧低下の要因に
中医学では、低血圧には体内の不調が影響していると考えます。主な要因となるのは、エネルギー不足の「気虚」、血が足りない「血虚」、余分な水分や汚れが溜まる「痰湿」、気の巡りが停滞する「気滞」などの体質です。
<低血圧を招きやすい4つの体質>
● 気虚タイプ
「気」(エネルギー)は「血」の生成に不可欠で、心臓から血を送り出すエネルギー源でもあります。そのため、気が不足すると血やエネルギーの不足を招き、血圧の低下につながります。
● 血虚タイプ
「血」が不足すると、血管を流れる血量が低下し、血圧が下がる要因に。また、血不足で血管を十分養えず、血管力(血液をスムーズに循環させる力)が落ちて低血圧を招くこともあります。
● 痰湿タイプ
体に「痰湿」(余分な水分や汚れ)が溜まると、体内の気や血がスムーズに巡らず低血圧の要因に。特に頭部への血流を阻みやすく、めまいなどが起こりやすくなります。
● 気滞タイプ
過剰なストレスなどで「気」の巡りが停滞すると、自律神経の働きが乱れがちに。自律神経には血圧を調節する機能があるため、気の停滞が続くと低血圧を招く要因となります。
血圧の低い状態にはこうした体質が隠れているため、放っておくとさまざまな他の不調につながることも。低血圧による不調を特に感じていない人も、積極的に体質を整えていきましょう。
「朝から元気」をめざして!タイプ別 低血圧の食養生
重い病気につながりやすい高血圧に比べ、低血圧はそれほど心配のないケースが多い症状です。とはいえ、だるさやめまいといった不調が日常的に続くのはつらいもの。日々を元気に過ごすためにも、体質をしっかり整えていきましょう。
● 気虚タイプ
虚弱体質、胃腸虚弱、過労、睡眠不足の人などによく見られるタイプ。
<気になる症状>
痩せ気味、疲労感、倦怠感、息切れ、めまい、立ちくらみ、冷え、かぜを引きやすい、食が細い、食後に眠くなる、軟便、頻尿、むくみ、舌の色が淡くて腫れぼったい、舌苔が薄く白い
<おすすめ食材>
気を養う:長芋、大和芋、さつまいも、かぼちゃ、キャベツ、牛肉、鶏肉、卵、うなぎ、鯛、すずき、しいたけ、マッシュルーム、いんげん豆、大豆、蓮の実、栗、りんご など
〜おすすめメニュー〜
・栗入りの肉じゃが
● 血虚タイプ
生理中、妊娠中、ダイエット中、慢性的な睡眠不足の人などによく見られるタイプ。
<気になる症状>
めまい、ふらつき、立ちくらみ、動悸、目のかすみ、抜け毛、白髪、月経量が少ない、不正出血、足のしびれ、舌の色が淡い、舌苔が薄く白い
<おすすめ食材>
血を養う:レバー、ほうれん草、小松菜、モロヘイヤ、にんじん、豚肉、卵、うなぎ、まぐろ、ひじき、黒ごま、黒豆、小豆、桃、プルーン、ブルーベリー、なつめ、クコの実、桑の実 など
〜おすすめメニュー〜
・レバニラ炒め
● 痰湿タイプ
飲み過ぎ食べ過ぎ、運動不足、胃腸虚弱の人などによく見られるタイプ。
<気になる症状>
太り気味、めまい、ふらつき、体が重だるい、頭重、痰が多い、吐き気、胃がチャポチャポする、軟便、下痢、むくみ、尿量が少ない、舌苔が厚くベタつく
<おすすめ食材>
余分な水分を取り除く:はと麦、ちんげん菜、白菜、冬瓜、大根、いんげん豆、昆布、わかめ、あさり、しじみ、いわし、さば、えのき、しいたけ、緑豆、しょうが、サンザシ など
〜おすすめメニュー〜
・しょうが入り、冬瓜といんげん豆の炒めもの
● 気滞タイプ
ストレスやプレッシャーが多い人によく見られるタイプ。
<気になる症状>
緊張しやすい、イライラ、精神不安、ため息が多い、血圧が不安定、胸やのどのつかえ、お腹の張り、ゲップやガスが多い、便秘・下痢、PMS、月経痛、寝付きが悪い
<おすすめ食材>
気を巡らせる:春菊、セロリ、せり、苦瓜、大根、かぶ、いか、たこ、柑橘類、梅干し、ミント、ローズ、菊花、サフラン、ラベンダー、カモミール、ジャスミン、陳皮、うこん など
〜おすすめメニュー〜
・セロリ、いか、たこのパエリア
暮らしのケア
・夜ふかしや過労は避けて。睡眠を十分取るよう心がけ、生活リズムを整えましょう。
・栄養バランスのよい食事を意識して、朝食もきちんと摂りましょう。暴飲暴食、偏食、過度なダイエットはNGです。
・ジョギング、水中ウォーキングなどの有酸素運動を習慣にして、体力・筋力アップを。運動初心者の人は無理をせず、少しずつ運動量を増やしていきましょう。
・立ちくらみやめまいが多い人は、睡眠時に頭部を少し高くして。また、急に起きたり立ち上がったりせず、足首を動かして血の巡りを良くしてからゆっくり動くのがおすすめです。
・日常のストレスを上手に発散させて。気持ちを穏やかに保ち、気をスムーズに巡らせましょう。
<低血圧対策のツボ>
虚証(気虚・血虚)の人は“長く軽く”、実証(痰湿、気滞)の人は“短く強く”を意識してマッサージしてみてください。
● 足三里(あしさんり):膝頭の外側の下にできるくぼみから指4本下
● 百会(ひゃくえ):左右の耳の上から結んだ線の中央
この記事を監修された先生
中医学講師楊 敏 先生
楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。
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