頭が痛い、なんだかだるい…“カラダの除湿”で梅雨の不調対策 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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頭が痛い、なんだかだるい…
“カラダの除湿”で梅雨の不調対策

2025.06.17 UPDATE

雨の日の頭痛に悩む女性

監修:楊 敏 先生(中医学講師)

こんにちは。中医学講師の楊敏です。
6月に入ると雨の日が増え、季節は梅雨を迎えます。この時期の雨は自然の恵みでもあるけれど、過剰な湿気がダメージとなり、体調不良に悩まされることも少なくありません。梅雨の不調は天気の影響と諦めがちですが、体質を整えることで緩和につながります。日々のケアで“カラダの除湿”を心がけ、湿気を溜めないすっきり体質を目指しましょう。

梅雨の“気象病”は「湿邪」が引き起こす

“気象病”は、気圧、湿度、気温などの変動によって起こる不調のこと。そのメカニズムははっきりとはわかっていませんが、天気の変化に体がうまく対応できず、自律神経のバランスが乱れて不調が起こると考えられています。
特に気をつけたいのは、天気が崩れるときの気圧の変化や、雨の日の湿気。そのため、日本では梅雨や台風の多い時期に、気象病による不調(頭痛、だるさ、めまい、むくみなど)が起こりやすいとされています。
中医学では、こうした雨の季節に起こる不調は「湿邪」が原因と考えます。湿邪のダメージは、体質ケアで改善できるもの。“天気の影響だから……”と諦めがちな気象病の緩和にもつながるので、積極的にケアをして梅雨の不調を乗り切りましょう。

頭痛、むくみ、食欲不振…。「湿邪」が招くさまざまな不調

湿邪は過剰な湿気による邪気で、水のように重く濁る(重濁)、下に流れる(下行)ことが特徴。体に入り込むと体内に「湿」(余分な水分や汚れ)となって停滞し、「気」(エネルギー)の巡りを妨げたり、「陽気」(体を温めるエネルギー)を傷つけたりします。すると、脳のエネルギーとなる陽気がスムーズに上昇できず、頭痛、頭重、めまいといった不調が現れるように。さらに、気が全身に十分巡らないため、だるさ、手足や関節の重だるさを感じることもあります。
一方、湿気に弱い「脾」がダメージを受けると、食欲不振、軟便・下痢といった胃腸トラブルが起こりやすい状態に。そのほか、湿の停滞によるむくみ、ジュクジュクした湿疹、水虫などの症状も起こりやすくなります。

 

<湿邪による主な症状>
□ 頭痛
□ 頭重
□ めまい
□ 体のだるさ
□ 手足や関節の重だるさ
□ むくみ
□ 口のネバつき
□ 食欲不振
□ 下痢、軟便
□ 便の粘り
□ 尿の濁り
□ ジュクジュクした湿疹、水虫
□ 舌苔のベタつき

 

梅雨の時期にこうした不調を感じたら、湿邪が体に入り込んでいるサイン。しっかりケアをして湿を取り除き、体をスッキリ保ちましょう。

食欲不振の女性

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湿邪はベタベタと粘りがあり、取り除くのに時間がかかります。これから夏まで湿度の高い時期が続くので、梅雨に入ったら早めのケアを心がけて。

 

<おすすめ食材>
溜まった湿を取り除き、脾胃を整える食材を。
玄米、とうもろこし、はと麦、じゃがいも、里芋、きゅうり、冬瓜、すいか、かんぴょう、そら豆、枝豆、えんどう豆、白菜、鶏肉、うなぎ、すずき、はも、緑豆春雨、緑豆、黒豆、小豆、れんこん、山椒、胡椒 など
〜おすすめ料理・お茶〜
・山椒入り、冬瓜、そら豆、鶏肉の煮物
・とうもろこしのひげ茶、はと麦茶、黒豆茶

黒豆茶

 

<食生活のポイント>
脾胃の働きが弱くなると、水分代謝が落ちてさらに湿が溜まりやすくなります。脾は“乾燥を好み、湿気に弱い”臓腑。梅雨は特に不調を起こしやすいので、日々の食生活にしっかり気を配りましょう。

〜 避けたいこと 〜
・食べ過ぎ飲み過ぎ
・脂っこいもの、甘いものの摂りすぎ
・冷たい飲食 ☆脾胃は冷えに弱いので気をつけて。
・水分の摂りすぎ ☆汗の量などによって必要な水分は変わるので、適量を意識しましょう。

〜 おすすめ 〜
・飲食は“温かいもの”を。夏の飲み物も、冷やさず常温で。
・塩分控えめ。さっぱりした消化の良い食事を。

暮らしのケア

・除湿機などを上手に使って、過ごしやすい環境づくりを心がけましょう。

・カビの発生を防ぐためにも、水回りはこまめに掃除を。

・運動をして汗をかき、体に溜まった水分を取り除きましょう。特に、むくみやすい人は積極的に体を動かして。気・血・津液の巡りを促すジョギング、ウォーキング、ヨガ、ピラティスなどがおすすめです。

・じめじめした気候にストレスも溜まりがち。気持ちのいい音楽、爽やかな香りなどを上手に取り入れて、気持ちをリラックスさせましょう。

・過労、睡眠不足に気をつけて。高温多湿の時期は疲れも溜まりやすいので、体調を崩さないよう生活リズムを整えましょう。

 

<湿邪対策におすすめのツボ>
● 脾胃の働きを整える
足三里(あしさんり):膝の皿の下、外側の窪みから指4本分下
● 水分代謝を促す
外関(がいかん):手の甲側、手首から指3本分ひじより
● 頭痛、頭重を抑える
合谷(ごうこく):手の甲、人差し指と親指の骨が合流するところ

足三里、合谷、外関の場所の図

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。