梅雨の不調は“カラダの除湿”ですっきり - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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梅雨の不調は
“カラダの除湿”ですっきり

2024.05.21 UPDATE

監修:楊 敏 先生(中医学講師)

しとしとと雨が降り続く梅雨の頃。この時期の雨は植物を育てる自然の恵みでもあるけれど、じっとりと湿気を含んだ空気は体に不調をもたらすことも。なんだかだるい、食が進まない……。そんな症状を感じたら“カラダの除湿”を心がけ、雨の季節をすっきり気持ちよく過ごしましょう。

雨の多い季節は「湿邪」に注意

中医学では、人の体も自然の一部で、自然界の全てのものは互いに影響し合っていると考えます。中でも体が大きな影響を受けるのは、季節や気候の変化。自然界には「風・寒・暑・湿・燥・火」の六つの気(六気)が存在し、体にもそのエネルギーが作用しています。これが体に悪影響を及ぼすほど過剰になると、六淫の邪気「風邪(ふうじゃ)・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・火邪」となって不調や病気を引き起こすようになります。
おわかりのように、梅雨の体調不良の大きな要因となるのは、過剰な湿気による「湿邪」。そのため、体に入り込んだ湿邪をすっきり取り除くことが梅雨の体調管理の基本となります。

「湿邪」は胃腸トラブルを招きやすい

湿邪の影響を受けやすい季節は、雨が多く湿度が高い梅雨から夏。この時期は、体のむくみや重だるさ、皮膚トラブル(湿疹や水虫など)の悪化、食欲不振、消化不良といった不調が起こりやすくなります。その要因は、主に次のような湿邪の性質によるものです。

 

<湿邪の特徴>
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重く、汚れていて、粘りがある
湿邪は、溜まった水のように重く汚れやすく、また粘りがあって停滞しやすい邪気。そのため、頭や体が重い、むくみやすい、排泄物や分泌物が汚れる(粘りのある便、臭いの強いおりものなど)、湿疹や水虫がジュクジュクする、といった症状が現れます。

「脾(胃腸)」を弱らせる
脾(胃腸)は“乾燥を好み、湿気に弱い”臓腑。そのため、湿邪が体に入り込むとダメージを受け、胃が重苦しい、食欲不振、軟便・下痢といった胃腸トラブルが起こりやすくなります。水分代謝も落ちるため、体内の「湿(余分な水分や汚れ)」がさらに溜まりやすくなることも。
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こうした湿邪のダメージを放っておくと、夏になっても胃腸が回復せず、酷暑を乗り切るパワーも不足してしまいます。湿邪に暑邪が重なって夏バテや熱中症、皮膚症状の悪化などを招くことも多いので、梅雨の不調はしっかり改善しておきましょう。

「湿」を取り除いてカラダすっきり!

梅雨の体調管理は「利湿(余分な水分を取り除く)」と「健脾(胃腸の消化吸収機能を高め水分代謝を促す)」が基本。日頃から胃腸が弱い人は特に湿邪のダメージを受けやすいので、積極的なケアを心がけましょう。

 

<湿邪による主な症状>
頭重、手足や体が重だるい、むくみ、ジュクジュクした湿疹や水虫、粘りのある便、尿・便・おりものなどの臭いが強い、胃が重苦しい、食欲不振、消化不良、軟便・下痢、舌苔が白くベタつく

 

<おすすめ食材>
「湿」を取り除き、「脾胃」を健やかに
きゅうり、冬瓜、苦瓜、へちま、枝豆、そら豆、いんげん豆、あずき、緑豆、長芋、大和芋、じゃがいも、はと麦、とうもろこし、わかめ、昆布、ひじき、うなぎ、はも、鶏肉、春雨、もやし、とうもろこしの髭茶、どくだみ茶 など

 

〜おすすめメニュー〜
・さつまいも、はと麦、とうもろこし、ひじき入りの炊き込みご飯
・きゅうりと梅干しの和えもの
・春雨と冬瓜のスープ ☆夏が旬の食用へちまを使うのもおすすめ!

 

[ワンポイント]
汗をかく時期なので水分補給は大切ですが、過剰になると体に湿が溜まる要因に。“水を1日○リットル!”などの美容対策も見かけますが、水分の摂り過ぎで不調を起こさないよう、特に湿度の高い季節は十分注意しましょう。

へちまのスープ

暮らしのポイント

・胃腸に負担をかけない食生活を。暴飲暴食、脂っこいもの・冷たいもの・生もの・塩分の摂り過ぎは避けましょう。

・高温多湿の時期は食中毒にも気をつけて。加熱調理や消毒はもちろん、料理に殺菌作用がある酢や薬味(しょうが、しそ、ねぎ、梅干し、山椒、わさびなど)を使うのもおすすめです。

・睡眠不足や過労は体の「気(エネルギー)」を消耗します。生活リズムを整えて、体力を保つよう心がけて。

・きちんと汗をかくことも湿邪対策に。むくみの解消にもつながるので、適度な運動や入浴で発汗を促しましょう。

 

<おすすめのツボ>
足三里(あしさんり):膝の皿の下・外側の窪みから指4本分下
陰陵泉(いんりょうせん):膝の内側にある骨(脛骨)の下にある窪み

 

[梅雨の豆知識]
国土の広い中国では、梅雨は地域によってあったりなかったり。梅雨があるのは上海や広州などの揚子江(長江)下流域で、概ね日本と同じ5〜7月頃。一方、中国北部の北京や天津などでは、季節に梅雨はありません。
ちなみに“梅雨”という言葉は中国から伝わったとされていて、中国でもこの時期を「黄梅天(フアン メェィ ティェン)」と呼びます。言葉の通り“梅の実が黄色く熟す頃のお天気”ということですね。一方、「霉雨」と呼ぶこともありますが、こちらは“霉(カビ)が生える雨の季節”ということ。漢字は異なりますが、“梅雨”も“霉雨”も「メイユー」と発音するそうです。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。