“気持ちも明るく、軽やかに” 春のメンタルケア~実践編~ - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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“気持ちも明るく、軽やかに”
春のメンタルケア~実践編~

2025.03.04 UPDATE

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監修:楊 紅娜(中医学講師)

楊紅娜先生のBeauty & Relax Vol.28

春は季節の変わり目で気候が安定せず、生活環境が変わることも多いもの。こうした変化が心身のストレスとなり、メンタルの不調を起こしてしまうことが少なくありません。今回の「実践編」では、春の季節に応じた中医学的メンタルケアをご紹介します。日々の食事や生活に取り入れられる身近なケアなので、ぜひ意識して過ごしてみてください。

基本は「陰陽五行」の考え方。「陽」を養い、「肝」を守る

「陰陽説」と「五行説」は、中医学の基本。自然界の全てのものを「陰・陽」、「木・火・土・金・水」の要素に分けて捉える考え方です。
季節に当てはめると、春は「陽」が活発に。そのため、メンタルケアも外に出て太陽の光を浴びたり、積極的に体を動かしたり、「陽」を意識して元気に過ごすことがポイントになります。一方、五行では、春は「肝」(五臓)や「怒」(五志)にあたる季節。肝は春の木々のようにのびのびとした状態を好むため、怒ったりストレスを溜めたりせず、心身をリラックスさせることが大切です。
詳しくはVol.27「“気持ちも明るく、軽やかに”春のメンタルケア~基礎編~」をチェックしてください。

活発に。寛容に。春のメンタルケアのポイント

<「陽気」を盛んに>
自然界と同じように、春は体内の陽気を充実させることがポイント。陽気は“動く”ことで盛んになり、巡りもよくなるので、この時期はとにかく自然に親しみ、体を活発に動かしましょう。

 

<「肝」の働きを守る>
肝はのびのびした状態を好むため、ストレスのダメージをなるべく減らすことが大切です。そのためにも、次の4つを意識して過ごしてみて。

● 惜しまず“与える”ことを心がけて。自分にも他人にも、“罰する”ことではなく、多くの称賛とご褒美を与えましょう。

● 腹立たしいことも悲しいことも、すべてを受け入れ、寛容に。
とても難しいけれど、そう意識することでなるべく気持ちをおおらかに保ちましょう。

● イライラしない。怒らない。“怒り”は肝を傷つけます。

● 自分をいつもご機嫌に。楽しいこと、気分が良くなることを見つけ、上手にストレスを解消しましょう。

今日からできる! 暮らしのおすすめ養生法

[ 運動 ]気持ちよく体を動かして
やさしい運動で心身をリラックスさせ、体内の陽気を巡らせて。散歩をして花や緑を楽しんだり、ヨガやラジオ体操で体をのびのびほぐしたり、“気持ちいいな”と感じられる運動がおすすめです。

 

[ 食事 ]酸味は控えめ、甘味を多めに
「酸味」は肝の働きを助けますが、この時期は控えめに。春は冬に溜め込んだものを発散させる時期なので、酸味の収斂(しゅうれん:中のものが漏れ出ないようにする)作用がその妨げになります。積極的に摂りたいのは「甘味」の食材で、米、じゃがいも、にんじん、とうもろこし、豆腐、くるみ、バナナなど。「脾胃」(胃腸)の働きを助け、陽気の元となる「気」(エネルギー)を養います。また、旬の食材を積極的に摂り、脂っこい料理を控えめにすることも心がけて。

 

[ 服装 ]暖かく、ゆったりしたものを
気温が上がる時期ですが、すぐに薄着になるのはNG。体が冷えて、陽気が損なわれてしまいます。また、体を締め付けると陽気の巡りが悪くなるため、春は“暖かく、ゆったり”した服装を心がけることが大切です。

 

[ 睡眠 ]遅寝・早起き
冬よりも遅めに寝て、早く起きることを意識して。自然に合わせて、太陽が出たら早めに活動を始めましょう。

“気持ちも明るく、軽やかに”<br> 春のメンタルケア~実践編~

ちょっと意外な風習も? 中国流、春の過ごし方

気持ちよく体を動かして、おいしく栄養を摂って。暮らしの養生が根付いた中国では、そんな春の過ごし方がさまざまな習慣に。中でもポピュラーな遊びや料理をご紹介するので、気になるものがあればぜひ取り入れてみて!

 

<踏青(とうせい)>
文字通り、“青い若草を踏む”春のピクニック。4月の清明節のころ、緑豊かな公園や郊外に遊びに出かけ、ゆっくりと散歩を楽しみます。日本のお花見のように、中国では春といえば「踏青」が定番なのだそう。お弁当を持って出かける人も多いそうですよ。

 

<凧揚げ>
日本ではお正月の風物詩となっていますが、中国では春! ちょっと意外な気もしますが、春は暖かくて風も強いので、外で凧揚げを楽しむには最適なシーズンなのです。揚げた凧は糸を切って空に放ち、厄祓い(不運を大空に散らす)をすることもあるそうです。
ちなみに、中国の凧は“ツバメの形にコウモリ模様”が伝統的。コウモリは、中国ではとても縁起のいい動物なのです。
※日本では凧揚げが禁止されている場所があるので、遊ぶときには必ず確認を。

 

<春餅>
クレープのような皮に具材を包んで食べる、立春のお祝い料理。新しい一年を健康で幸福に過ごせるよう願い、この日に春餅を食べるそうです。具材は、にら、もやし、豚肉など家庭によってさまざま。また、皮が薄くカリッとしていたり、厚めでモチっとしていたり、地域によっても特徴があるそうです。作るときは、皮も具材も自分の好みを探求してみると楽しそうですね。

“気持ちも明るく、軽やかに”<br> 春のメンタルケア~実践編~

“ツバメの形にコウモリ模様”の中国の凧(イメージ)

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 紅娜

楊紅娜(よう こうな)中医学講師。 登録販売者。鍼灸師。 2006年遼寧中医薬大学修士号取得。 2006年~2016年、大連市にて精神科臨床医として10年間勤務。 「中国摂食障害の防治指南」の編集委員担当。 2016年来日。日本にて登録販売者、鍼灸師取得。