監修:楊 紅娜(中医学講師)
楊紅娜先生のBeauty & Relax Vol.21
なにかと忙しい現代社会では、心身の健康を保つことはとても重要。健康維持のため、運動や食養生を日課にしている人も多いのでは。そんな健康習慣のひとつにツボマッサージを取り入れてみてはいかがでしょうか。ツボマッサージはとにかく手軽で、いつでもどこでも行えるのが最大の魅力。日々の体調ケアにはもちろん、不調がある場合にもツボケアはおすすめです。
「いつでもどこでも! 簡単マッサージ~上半身ケア編~」も併せてご覧ください。
「経絡」はツボが集まる「気血」の通り道
ツボ療法は二千年の歴史を持つ中国の伝統医学。その効果はWHO(世界保健機関)にも認められています。ツボは「経穴」とも呼ばれ、気血が流れる「経絡」というルート上にあるポイントのこと。ツボを刺激することで、体内の気血の流れを良くし、不調を改善すると考えられています。今回は、急な不調や慢性化している不調にも役立つ、知っておくだけで心強い手の経絡上のツボをご紹介します。
ツボ押し棒、かっさ板(楊紅娜中医学講師の私物)
つらい症状にレスキューツボ押し
病院に行くほどではないけれど、なんだか不調が続いていてつらい……。そんな時には、症状の緩和につながるツボのマッサージを。今回ご紹介するのは、いずれも手にあるツボ。外出先でも手軽にツボ押しできるので、気になるものは覚えておいて。
<手のひら側(三陰経)のツボ>
● 不眠、うつ、不安感などのメンタル不調に
神門(しんもん):手首のしわの小指側端、手首をそらすとくぼむところ
● 胃腸トラブル、心の不調など全ての内臓不調に
内関(ないかん):手のひら側、手首から指3本分肘より
● 咳や息切れなど呼吸器系のトラブルに
太淵(たいえん):手のひら側。手首の親指近くの窪み
● 心身の疲労、ストレスなどに
労宮(ろうきゅう):手のひらで、手を握ったときに中指が当たるところ
● 動悸、息切れ、胸痛などに
少府(しょうふ):手のひらで、手を握ったときに小指の先が当たるところ
● 頭痛、首の痛みに
列欠(れっけつ):太淵から親指1.5本分肘よりのところ
<手の甲側(三陽経)のツボ>
● 各種の痛み、特に顔面部の症状に
合谷(ごうこく):人差し指と親指の骨が合流するところ
● 目の充血、耳鳴り、鼻炎、歯の痛みなどに
陽渓(ようけい):手を大きく開くとできる、親指のつけ根のくぼみ
※体内の熱を冷まし、精神を安定させる効果も。
● 難聴、耳鳴り、目の痛み・かゆみなどに
陽池(ようち):手の甲側、手首の中央からやや小指より
☆血流がよくなるので、肌荒れ改善などの美容効果も
● 腰痛、首の痛み、メンタル不調などに
後渓(こうけい):手の側面、小指の付け根から1.5cmほど手首より
● かぜなどの感染症、頭、目、耳の不調に
外関(がいかん):手の甲側、手首から指3本分肘より
● 老眼、難聴、上肢の関節痛などの老化症状に
養老(ようろう):手の甲側の小指下、手首の突起した骨の下にあるくぼみ
<経絡上にはないツボ(奇穴)>
● 首の寝違えに
落枕(らくちん):手の甲側、人差し指と中指の骨が交わる手前のくぼみ
● 腰痛、ぎっくり腰に
腰痛点(ようつうてん):手の甲に2点。人差し指と中指の骨、薬指と小指の骨がそれぞれ交わるところ
● 高熱、ほてり、イライラなどに
十宣(じゅっせん):手の指全ての先端
<ツボ押しグッズも上手に使って>
ツボは指で押すのが一番手軽だけれど、長く押していると指が痛くなってしまうことも。ツボ押し棒やかっさ板などを上手に使えばラクにできるので、使いやすいグッズを見つけてみて。夏はひんやりする石、冬は温かみのある木など、季節や気分で素材を使い分けるのもおすすめです。
この記事を監修された先生
中医学講師楊 紅娜
楊紅娜(よう こうな)中医学講師。 登録販売者。鍼灸師。 2006年遼寧中医薬大学修士号取得。 2006年~2016年、大連市にて精神科臨床医として10年間勤務。 「中国摂食障害の防治指南」の編集委員担当。 2016年来日。日本にて登録販売者、鍼灸師取得。