潤して、ととのえる「いちじくゼリー」のレシピご紹介 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

COOKING薬膳レシピ

潤して、ととのえる
「いちじくゼリー」のレシピご紹介

2025.09.09 UPDATE

いちじくゼリー

監修:和田 暁 先生(一般社団法人薬膳アカデミア理事長)

【難易度★☆☆】
いちじくは、胃もたれやのどの腫れ、排便の不調を整えます

いちじく

いちじく 平性(涼性)/甘味・酸味 消化のサポート、体の潤いを補う、便秘や下痢などの排便不調を整える など

いちじくは7世紀頃にペルシャから中国に伝わり、古くから食用・薬用として用いられてきました。古典文献にもその効用が記されており、『食物本草』では「開胃」(食欲を高める)、「止泄痢」(下痢を止める)と紹介されています。また『本草綱目』には「治五痔、咽喉痛」(さまざまなタイプの痔の症状や咽喉の痛みを治す)、『随息居飲食譜』には「清熱、潤腸」(熱を冷まし、腸を潤す)と記述され、伝統的に幅広い用途で用いられてきたことが伺えます。中医学では、肺・胃・大腸の経絡に働きかけるとされ、肺を潤し、呼吸器系の乾燥による咽喉の渇きや腫れ、痛み、咳嗽を和らげます。さらに、消化酵素であるフィシンが豊富で、タンパク質の消化を助けることから、古くから“いちじくの煮豚”などの料理にも用いられてきました。また、いちじくはペクチンを豊富に含み、お腹の調子を整えたいときや、便通リズムが気になる際にもおすすめの食材です。ただし、胃腸が冷えやすい体質の方は多食を控えましょう。
参考:『中薬大辞典』

プリント

いちじくゼリー
レシピ

いちじく

こんにちは。一般社団法人薬膳アカデミア理事長の和田暁です。

季節は仲秋を迎え、乾燥した気候の影響で、体内の潤いが不足しがちになります。特に肺(鼻、咽喉、気管支、肺、皮膚を含む)などの呼吸器系にトラブルが起こりやすく、のどや鼻の乾燥、腫れや痛み、空咳、乾いた痰などの不調を感じる方が増えてきます。また、消化器系も潤いを失いやすく、粘膜が乾燥することで胃のもたれや便秘、痔などに悩まされることも少なくありません。体内が乾燥すると炎症が起こりやすくなり、いわゆる“デトックス”の働きもスムーズに行われにくくなります。

そんな季節におすすめしたいのが、「いちじくゼリー」です。体を潤すとされるいちじくに、同じく潤す働きが期待できるレモン汁・ゼラチン・オリゴ糖を使った、簡単で身体にやさしい薬膳デザートです。乾燥の季節に起こりやすい呼吸器系・消化器系の不調ケアに、ぜひお役立てください。

編集部からのコメント
いちじく特有のプチプチとした食感も程よく残り、食べ応えもありながら軽やかな「いちじくゼリー」。やさしい甘さとほんのり酸味のある風味が絶妙で、口に入れた瞬間ふわっととろけるような食感が印象的でした。乾燥の季節にうれしい、身体にやさしい薬膳スイーツを、ぜひお試しください!

調理時間10分

材料

(調理時間に冷やし固める時間は含まない)

【2人分】

いちじく・・・・・・・・・・・・・・・2
レモン汁・・・・・・・・・・・・・・・大さじ1
オリゴ糖・・・・・・・・・・・・・・・大さじ1
ゼラチン・・・・・・・・・・・・・・・5g
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ2

作り方

  1. 1いちじくを裏ごしする。
  2. 2①で裏ごししたいちじくを計量し、水(分量外)を加え250gにする。
  3. 3②を鍋に入れ、レモン汁とオリゴ糖を加え、よく混ぜ、体温程度(約36〜40℃)に温める。
  4. 4ゼラチンを大さじ2の水で溶き、③の鍋に入れ、混ぜる。
  5. 5④を器に入れ、冷蔵庫で冷やし固める。
  6. 6お好みで、切ったいちじくを上にかざる。

料理のポイント

  • point! 工程①で、いちじくは柔らかく水分が多いため、裏ごしが簡単にできます。 また、工程③でレモン汁を加えることで、いちじくの色が変わりにくく、鮮やかな状態を保つことができます。
  • point! 工程③では、いちじくの消化酵素の働きを損なわないよう、短時間・低温で加熱します。
  • point! 工程⑤で液体をしっかりゼリー状に固めることで、糖分を控えても甘みがしっかり感じられます。

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この記事を監修された先生

一般社団法人薬膳アカデミア理事長和田 暁 先生

和田 暁(わだ しゃお)
上海中医薬大学中医学部卒、同大学付属病院勤務。昭和大学研修中、日本医食同源第一提唱者の新居裕久教授と出会い、中医学を毎日の食卓へ届けることを目指し、薬膳普及の道へ進む。
2015年、世界中医薬学会連合会より世界初の高級中医薬膳伝授師称号を授与。現在、一般社団法人薬膳アカデミア理事長・世界中医薬学会連合会常務理事、日本国際中医薬膳管理師会会長、上海中医薬大学日本校教授、東京栄養士薬膳研究会顧問。
主な著書に『薬膳で治す』(時事書房・共著)『まいにち養生ごはん』(学陽書房・監修)『中医婦人科学』(上海科技出版社・共著)雑誌『助産雑誌』連載執筆など。