監修:楊 暁波 先生(中医学講師)
楊暁波先生の中医美容レッスン vol.29
初秋を迎えると、残暑も落ち着き過ごしやすい気候に。ようやく体はラクになりますが、この時期は夏の疲れや紫外線ダメージなどが影響し、髪のトラブルが目立つことも。
イキイキとした髪を育てるためには、ヘアケアはもちろん、頭皮や体の健康を保つことも大切です。抜け毛が増えた、髪に元気がない…。そんなヘアトラブルが気になる人は、この機会にしっかりケアをして、健やか美髪をキープしましょう。
知っておくべき「髪」と「抜け毛」の基本
抜け毛の悩みは、女性にとっても男性にとっても深刻なもの。とはいえ、髪は自然に“抜けて生える”を繰り返しているので、必要以上に心配することはありません。まずはヘアサイクルや抜け毛の要因を知り、自分の髪の状態を見直すことから始めましょう。
(1)ヘアサイクルを知る
髪は、新しい髪が育つ「成長期(2〜5年)」、成長が止まる「退行期(2〜3週間)」を経て、「休止期(数ヶ月)」に入ります。休止期に入ると、新たに成長を始めた髪に押し出されるように、古い髪が抜け落ちます。この周期を「ヘアサイクル」と言います。
ヘアサイクルは1本ずつ異なるため、一度にまとめて髪が抜けることはありません。平均的には毎日70〜80本ほどの髪が抜けるため、個人差はありますが、1日100本程度の抜け毛であれば正常の範囲と考えます。
ただし、正常なサイクルで抜けるのは、しっかりと成長した髪。“細く短い抜け毛”が多い場合は、ヘアサイクルが乱れているサインと考えましょう。
(2)頭皮のトラブルは抜け毛の要因に
健やかな髪を育てるためには、毛根のある「頭皮」の健康を守ることが大切です。
頭皮は、基本的には皮膚と同じ構造ですが、皮脂腺や汗腺が多いため汚れやすいことが特徴。また、保湿機能が低いため、乾燥しやすいという弱点もあります。こうした汚れ、ベタつき、乾燥といった頭皮の状態が、抜け毛を招く要因となります。
(3)秋は抜け毛の季節
一般的に、秋は抜け毛が増える季節と言われます。これは、夏バテによる栄養不足や疲労、紫外線ダメージ、秋の乾燥などの影響によるもの。体調や頭皮の状態が良くなれば自然と改善しますが、夏のうちからしっかり頭皮ケアをすることも大切です。
頭皮と体調でみる抜け毛体質チェック
気づかないうちに抜け毛が増えていませんか?頭皮や体調をチェックして以下の条件に当てはまっていると感じたら、美くしい髪をめざして養生していきましょう。□頭皮が固い
頭皮を指で動かし、おでこと同じように動けば大丈夫。動きが悪い場合は、頭皮が固くなっているサイン。
□頭皮が乾燥している
□頭皮が脂っぽい
□フケが多い
□睡眠時間が短い
□原因不明の腰痛、重だるい
□貧血気味
□睡眠時間が短い
□原因不明の腰痛、重だるい
□貧血気味
※その他、妊娠・出産後の人も抜け毛が増えやすくなりますが、多くの場合は自然に改善します。
美髪を育てる漢方ケア
漢方では、髪は「血の余り」「腎の華」と言われます。これは、体内の「血(けつ)」と「腎精」(生命エネルギーの源)が十分にあれば、髪が健やかに育つということ。また、血を生む源となる「気」(エネルギー)を充実させることも大切です。
このように、元気な髪は体の中からつくられるもの。抜け毛を防いで健やかヘアを保つためにも、髪の状態と深く関わる「気」「血」「腎精」を積極的に養うよう心がけましょう。【毛髪を育てる】
・おすすめ食材
肉類、黒ごま、くるみ、セロリ、お茶、ザクロ など
肉類、黒ごま、くるみ、セロリ、お茶、ザクロ など
・おすすめ生薬
沙棘(サージ)、何首烏(カシュウ)、紫河車(プラセンタ)、早蓮草(カンレンソウ)、女貞子(ジョテイシ) など
沙棘(サージ)、何首烏(カシュウ)、紫河車(プラセンタ)、早蓮草(カンレンソウ)、女貞子(ジョテイシ) など
【「気・血」を養う】
・おすすめ食材
ほうれん草、にんじん、じゃがいも、きのこ類、大豆、卵、きくらげ、干しぶどう、落花生、なつめ、栗、キャベツ など
ほうれん草、にんじん、じゃがいも、きのこ類、大豆、卵、きくらげ、干しぶどう、落花生、なつめ、栗、キャベツ など
・おすすめ生薬
当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、阿膠(アキョウ)、地黄(ジオウ)、茯苓(ブクリョウ) など
当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、阿膠(アキョウ)、地黄(ジオウ)、茯苓(ブクリョウ) など
【「腎精」を養う】
・おすすめ食材
くるみ、松の実、桑の実、黒ごま、黒豆、黒きくらげ、山芋、銀杏、えび、うなぎ、豚足、羊肉、牛肉 など
くるみ、松の実、桑の実、黒ごま、黒豆、黒きくらげ、山芋、銀杏、えび、うなぎ、豚足、羊肉、牛肉 など
・おすすめ生薬
亀板(キバン)、鼈甲(ベッコウ)、鹿角(ロクジョウ) など
亀板(キバン)、鼈甲(ベッコウ)、鹿角(ロクジョウ) など
頭皮マッサージで抜け毛予防
抜け毛を防いで健康な髪を保つためには、毎日のケアも欠かせません。ケアの基本は、潤いを守り、気血を巡らせて、頭皮を健やかに整えること。汚れやベタつきを防ぐために、洗い方やケア用品にも気を配りましょう。
【美髪ケア・3つのポイント】
(1)マッサージで頭皮をやわらかく保ち、気血の巡りを良く。生薬配合のローションなどを使うと効果的です。
(2)髪と頭皮の潤い対策で、乾燥を防ぎましょう。オリーブオイル、ホホバオイルなどを使うのもおすすめです。
(3)シャンプーは、季節や肌質に合った頻度で。
・ヘアワックスなどを使っている人は、毎日きちんと洗い流して清潔に。
・ヘアワックスなどを使っている人は、毎日きちんと洗い流して清潔に。
・抜け毛が気になるノーマル肌の人は、2日に1回程度でOK。夏の汗が気になる時は、毎日お湯洗いを。
・脂性肌の人は、毎日シャンプーを。ただし、シャンプーは洗浄力の穏やかなものを選んで。
【ぜひ試して!漢方ヘアケア】
(1)「瑞花露薬用ソープ」を用いて毛髪を洗い、その後お湯で流します。
(1)「瑞花露薬用ソープ」を用いて毛髪を洗い、その後お湯で流します。
(2)30ccのお湯に「瑞花露ボディケア入浴液」をキャップ1/3程度入れ、頭皮にかけてマッサージ。洗い流さず、仕上げに軽くふき取って。
「瑞花露薬用ソープ」と「瑞花露ボディケア入浴液」には、ヘアケアにもぴったりの生薬が配合されています。ボディケアはもちろん、皮膚の一部である頭皮のケアにもおすすめです。
この記事を監修された先生
中医学講師楊 暁波 先生
楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など