監修:和田 暁 先生(一般社団法人薬膳アカデミア理事長)
【難易度★☆☆】
里芋は、胃腸虚弱や体力低下をサポートします

里芋 平性/甘味・辛味 体力アップ、腸内環境を整える、水分や血をめぐらせる など
里芋は中医学において、脾胃経に属し、さまざまな健康効果があるとされています。具体的には、胃腸の消化吸収機能を活性化し体力を向上させる「健脾補虚」の作用、血行を促進し冷えや血行不良を改善する「活血」の作用、体全体に水分を巡らせる作用、さらに火傷やいぼ、皮膚の腫れ、頸部のしこりを解消する「散結解毒」の作用が挙げられます。
また、里芋は芋類の中でも特にカロリーが低く、さつまいもの約半分程度とされています。ただし、食べ過ぎると胃腸にガスが溜まりやすくなり、お腹が張ることがあります。そのため、1人あたり1日2個(約100g)を目安にし、多くても4個までに抑えることをおすすめします。もしカロリーが気になる場合は、里芋を食べる際に同量の米を減らすことで調整すると良いでしょう。
参考:『中薬大辞典』『中華本草』
里芋のピリ辛スープ
RECIPE

春節が過ぎ、立春を迎えましたが、3月の春分まではまだ寒さが厳しく、風邪を引きやすい時期が続きます。正月の食べ過ぎや新年の忙しさで、体力が低下したり、胃腸の調子が悪くなったりすることもあるでしょう。また、インフルエンザなどの感染症も気になる時期です。そんな時におすすめなのが、体を温め、胃腸の調子を整え、体力をアップさせる「里芋のピリ辛スープ」です。里芋は芋類の中でも特にカロリーが低く、胃に優しい食材です。さらに、水分や血の巡りを良くし、体の冷えや胃の弱り、体力低下、下痢や便秘の改善にも役立ちます。
スープには以下のような具材を加え、さらに効果的なレシピに仕上げました。
ねぎ・しょうが・玉ねぎ:体を温め、冷えタイプの風邪やゾクゾクする寒気に効果的です。
玉ねぎ:血行を良くし、冷えの改善をサポートします。
しいたけ・味噌・にんじん・油抜きした油揚げ:気力を高め、胃腸の機能を健やかに保ちます。
唐辛子・しょうが・ねぎ:体をしっかり温め、冷えを改善します。
こんにゃく:水分代謝を促進し、肥満予防にも役立つため、食べ過ぎの心配がありません。
晩冬から早春にかけての健康維持に、ぜひこの「里芋のピリ辛スープ」を試してみてください。
調理時間20分
材料
【2人分】
里芋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4個(約200g)
こんにゃく・・・・・・・・・・・・・・・100g
玉ねぎ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/2個
にんじん・・・・・・・・・・・・・・・・・1/2本
しいたけ・・・・・・・・・・・・・・・・・2枚
油揚げ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1枚
ねぎ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/2本
しょうが(みじん切り)・・・15g
かつおだし汁・・・・・・・・・・・・・2カップ
しょうゆ・・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ1と1/2
みりん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ1と1/2
味噌・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ1
塩麹・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々
粉唐辛子・・・・・・・・・・・・・・・・・少々
COOKING
- 1玉ねぎをくし切りに、にんじんは角切りにする。里芋は皮を剥き、角切りにする。
- 2しいたけは石づきを取り角切りに、ねぎは輪切りにする。油揚げは茹でて、油抜きし、角切りにする。
- 3こんにゃくを角切りにし、お湯で茹で、あく抜きする。
- 4鍋にかつおだし汁、しょうゆ、みりんを入れ、ねぎとしょうが以外の食材を入れ、15分ほど加熱する。
- 5④に塩麹、味噌を溶きいれ、ねぎとしょうがを加え、さっと煮る。
- 6器に盛りつけ、好みで粉唐辛子を振る。
料理のポイント
- point! 具だくさんのスープなので、たっぷり作っておけば朝食や軽食にもぴったりです。忙しい朝でも手軽に栄養を摂れるのでおすすめです!
- point! 作り置きをする場合は、④の工程まで作っておき、⑤と⑥は食べる前に調理するとよいでしょう。
- point! 里芋の皮には栄養分がたくさん含まれるので、厚く剥きすぎないようにしましょう。
この記事を監修された先生

一般社団法人薬膳アカデミア理事長和田 暁 先生
和田 暁(わだ しゃお)
上海中医薬大学中医学部卒、同大学付属病院勤務。昭和大学研修中、日本医食同源第一提唱者の新居裕久教授と出会い、中医学を毎日の食卓へ届けることを目指し、薬膳普及の道へ進む。
2015年、世界中医薬学会連合会より世界初の高級中医薬膳伝授師称号を授与。現在、一般社団法人薬膳アカデミア理事長・世界中医薬学会連合会常務理事、日本国際中医薬膳管理師会会長、上海中医薬大学日本校教授、東京栄養士薬膳研究会顧問。
主な著書に『薬膳で治す』(時事書房・共著)『まいにち養生ごはん』(学陽書房・監修)『中医婦人科学』(上海科技出版社・共著)雑誌『助産雑誌』連載執筆など。