監修:和田 暁 先生(一般社団法人薬膳アカデミア理事長)
【難易度★★☆】甜杏仁は、長引く咳、乾燥による咳を和らげます
甜杏仁 平性/甘味 呼吸気道を潤し、咳を和らげる 便通をスムーズにする など
杏仁(きょうにん)は、あんずの種子の中の核を取り出したもので、苦杏仁(くきょうにん)と甜杏仁(てんきょうにん)の2種類に分けられます。薬用に使われる苦杏仁は苦味が強く、瀉(デトックス)の作用に優れ、主に急性の喘息、咳痰の解消に使われます。甜杏仁はまろやかな甘味で、肺経と大腸経に働き、肺を潤し咳を和らげ、腸を潤し便通をスムーズにします。呼吸気道を潤す働きに優れ、乾燥による長引く咳などによく使われます。杏仁粉(甜杏仁粉)は、ドリンクやデザート作りに使いやすく、呼吸気道にトラブルがある人の食養生に取り入れやすい薬膳素材と言えるでしょう。
参考:『中薬大辞典』
梨入り杏仁豆腐
RECIPE
立冬(りっとう)を迎える11月は、枯れ葉が地面に落ち、空気が乾燥する季節です。乾いた空気によって、呼吸気道が乾燥し、乾いた咳が出る、痰が出にくい、口が渇くなどの症状に悩む人も少なくありません。そんな時にセルフケアの味方になるのは、中医学において身体を潤すと考えられている白色食材です。今回ご紹介する「梨入り杏仁豆腐」では、甜杏仁、梨、白練りごまなどの白色食材を使用します。甜杏仁は平性であり、体を温めたり冷やしたりすることなく乾燥から呼吸気道を守り、咳や息苦しさを解消します。レモン汁で煮た梨を加えることで、のどの渇きや粘り強い痰の解消に役立ちます。山楂子は温性であり、梨の涼性を抑えながら、胃腸の調子を整えます。豆乳は消化吸収機能を高め、滋養効果のある白練りごまを加えることで、スローエイジングにも期待できます。乾燥による呼吸気道のトラブル解消や、滋養強壮に、今回のレシピをぜひお試しください。
調理時間15分
材料
【2人分】
梨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100~120g
甜杏仁粉・・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ2
豆乳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・250ml
はちみつ・・・・・・・・・・・・・・・・・20ml
ゼラチン・・・・・・・・・・・・・・・・・5g
白練りごま・・・・・・・・・・・・・・・小さじ1/2
レモン汁・・・・・・・・・・・・・・・・・小さじ1
ソース:
山楂子(シロップ漬け)・・・4個
オリゴ糖・・・・・・・・・・・・・・・・・少々
ミント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・適量
COOKING
- 1梨を1㎝程度の角切りにする。鍋に梨とレモン汁を入れ、中火で火を通す。
- 2鍋に豆乳と白練りごまを入れ、よく溶かし、甜杏仁粉とはちみつを加える。混ぜながら、人肌程度に温める。
- 3ゼラチンは大さじ2の水(分量外)で溶いてふやかし、②に溶かし入れる。
- 4③に①の梨を入れ、よく混ぜて器に流し入れ、冷蔵庫で冷やし固める。
- 5ソースを作る。シロップ漬けの山楂子を粗くみじん切りにする。山楂子とオリゴ糖少々を鍋に入れ、中火でとろとろになるまで3分ほど煮て、粗熱を取る。
- 6④に⑤のソースをかけ、ミントを散らす。
料理のポイント
- point! シロップ漬けの山楂子が手に入らない場合は、乾燥山楂子を水で戻し細かく切り、はちみつとレモン汁を混ぜたもので代用可能です。
- point! ソースを作るときは、シロップ漬けの山楂子の甘さに応じて、オリゴ糖の量を調整しましょう。
- point! 梨100~120gは、大玉1/3個に相当します。
おすすめ
関連記事
この記事を監修された先生
一般社団法人薬膳アカデミア理事長和田 暁 先生
和田 暁(わだ しゃお)
上海中医薬大学中医学部卒、同大学付属病院勤務。昭和大学研修中、日本医食同源第一提唱者の新居裕久教授と出会い、中医学を毎日の食卓へ届けることを目指し、薬膳普及の道へ進む。
2015年、世界中医薬学会連合会より世界初の高級中医薬膳伝授師称号を授与。現在、一般社団法人薬膳アカデミア理事長・世界中医薬学会連合会常務理事、日本国際中医薬膳管理師会会長、上海中医薬大学日本校教授、東京栄養士薬膳研究会顧問。
主な著書に『薬膳で治す』(時事書房・共著)『まいにち養生ごはん』(学陽書房・監修)『中医婦人科学』(上海科技出版社・共著)雑誌『助産雑誌』連載執筆など。