おいしく食べて太らない! 体質ケアで“秋太り”予防 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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おいしく食べて太らない!
体質ケアで“秋太り”予防

2023.11.21 UPDATE

監修:楊 敏 先生(中医学講師)

脂の乗った魚、ほくほくの栗にさつまいも……。秋はおいしいものがたくさん出回り、ついつい食べ過ぎてしまいがち。気付くとウエスト周りがふっくらして、ボタンやファスナーが閉まりにくい! なんていうことも少なくないのでは? おいしく食べることは良いことですが、できれば過剰に太るのは避けたいもの。中医学のケアで太りやすい体質を改善し、適性体重をキープしながら秋の味覚を思いっきり楽しみましょう。

秋に太ってしまうのはなぜ?

体が太る基本的な要因は、摂取カロリーが消費カロリーを上回ってしまうこと。暴飲暴食、油っこい料理や甘いものの取り過ぎ、不規則な食事、運動不足といった生活習慣が、その主な原因となります。また、内分泌系(ホルモンバランス)の異常、加齢による代謝の低下などが体重の増加に関わることもあります。

 

一方、秋は夏バテ気味だった胃腸が回復し、食事もたくさん食べられるように。加えて、秋冬は体温を上げようと基礎代謝が上がるため、空腹を感じやすく、食欲が増す傾向にあります。このように、食欲がアップしたタイミングでおいしいものが出回るようになるため、秋はつい食べ過ぎて太りがちになってしまうのです。

“太りやすい体質”になっていることも

中医学では、“食べ過ぎると「脾胃(胃腸)」を壊す”“太っている人は「痰湿(余分な水分や汚れ)」が多い”と言われます。これは、暴飲暴食で脾胃の働きが弱くなると、水分代謝も落ちて痰湿が溜まりやすくなるということ。痰湿の停滞はむくみや脂肪の蓄積につながるため、体が太ってしまうのです。

 

また、「瘀血(血行不良)」の状態も、むくみを招いて太る要因に。瘀血にはさまざまな原因がありますが、中でもストレスで「気(エネルギー)」「血」の流れが滞る「気滞血瘀」の体質には要注意。強いストレスが過食や過度なアルコール摂取を招き、瘀血+食べ過ぎ飲み過ぎで、さらに太りやすくなってしまいます。食生活の改善や運動はもちろん、こうした体内の不調を整えていくことも“秋太り”予防のカギ。日々のケアで体質を改善し、余分なものを溜め込まない体づくりをめざしましょう。

上手に食べて、しっかり動く。

“秋太り”を予防するためには、まず食事や生活習慣を整えることがポイント。無理な食事制限などはせず、上手に食べてしっかり体を動かすことを意識しましょう。

 

【 太らない!食事・生活8つのポイント 】
1. 食べ過ぎない、飲み過ぎない!の基本を徹底。
2. 雑穀、大豆製品、海藻、きのこ、根菜などを積極的に取りましょう。
3. 塩分、糖分、肉類、脂肪などは控えめを心がけて。
4. “蒸す、茹でる”でカロリーオフ。“揚げる、炒める”は少なめに。
5. 食事は“野菜から食べる”“一口20回噛む”を習慣に。よく噛むと満腹中枢が刺激されます。
6. 夕食は夜9時までに食べ、腹八分目を心がけて。
7. ストレスを上手に発散し、過食や過度な飲酒をしないように。柑橘類やハーブなど、香りの効果で気持ちを落ち着かせるのもおすすめです。
8. 運動を習慣にして体の代謝をアップ。ジョギング、エアロビクスなど、軽く汗をかく程度の有酸素運動が効果的です。

体質改善で“秋太り”しない体に!

気になる症状を参考に自分の体質をチェック。太りやすい体になっていたら、日々の食養生で体質を改善していきましょう。

 

●胃腸が弱い「痰湿」タイプ
暴飲暴食などで脾胃の機能が低下し、水分代謝も落ちて痰湿が溜まっているタイプ。脾胃に負担をかけない食生活を心がけ、痰湿をすっきり取り除きましょう。

【 気になる症状 】
水太り、むくみ、倦怠感、めまい、体が重だるい、痰が多い、冷え、胃痛・腹痛、過食または少食、軟便・下痢、頻尿、舌の色が淡く腫れぼったい、舌苔がベタつく

【 おすすめ食材 】
長芋、里芋、じゃがいも、大豆、大根、にんじん、きゅうり、冬瓜、はと麦、海藻類、緑豆、いんげん豆、青魚、きのこ類、栗、銀杏、れんこん、山査子、ウーロン茶、プ―アール茶 など
〜おすすめメニュー〜
・栗、銀杏、黒豆入り松茸ごはん
・さばの味噌煮
・はと麦入りウーロン茶烏龍茶

 

●肥満気味の「痰熱」タイプ
痰湿の停滞が長期化し、体に熱がこもっているタイプ。過剰な熱を冷まし、胃腸の働きを整えながら滞った痰湿を取り除いていきましょう。

【 気になる症状 】
肥満気味、むくみ、オイリー肌、にきびや吹き出物の化膿、過度な飲酒、過食、便秘または軟便、尿の色が濃い、体臭が強い、舌の色が紅く腫れぼったい、舌苔が黄色くベタつく

【 おすすめ食材 】
玄米、粟、そば、とうもろこし、はと麦、大根、ごぼう、ちんげん菜、白菜、こんにゃく、きゅうり、苦瓜、冬瓜、海藻類、緑豆、青魚、柿、みかん、陳皮、山査子、ハブ茶、どくだみ茶、ウーロン茶、プ―アール茶 など
〜おすすめメニュー〜
・もやし、苦瓜、黒きくらげのサラダ
・ちんげん菜入り麻婆春雨
・陳皮入りどくだみ茶

 

●ストレスが多い「気滞血瘀」タイプ
過剰なストレスなどで「気」の巡りが滞り、その影響で瘀血を招いているタイプ。ストレスをこまめに発散し、気持ちを穏やかに保って気・血をスムーズに巡らせましょう。

【 気になる症状 】
イライラ、憂うつ、不安感、ストレスによる過食、慢性頭痛・肩こり、動悸、胃や腹部の張り、ガスが多い、PMS、月経不順、月経痛、更年期障害、舌の色が暗く瘀点・瘀斑がある

【 おすすめ食材 】
セロリ、みょうが、香菜、山椒、玉ねぎ、しょうが、ねぎ、なす、青魚、あさり、かに、いか、黒きくらげ、柑橘類、ミント、ローズ、陳皮、紅花、うこん、黒酢、ジャスミン茶 など
〜おすすめメニュー〜
・アジの干物ときのこのレモン蒸し焼き(アルミホイルに包んで焼くだけ!)
・蒸しなすの山椒ソースあえ、みょうが添え
・玉ねぎのみそ汁

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。