ツボ押しで「PMS(月経前症候群)」の不調を改善 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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ツボ押しで
「PMS(月経前症候群)」の不調を改善

2023.11.07 UPDATE

監修:楊 紅娜(中医学講師)

楊紅娜先生のBeauty & Relax Vol.12

イライラ、肌荒れ、下腹部や乳房の張り・痛み……。こうした「PMS(月経前症候群)」による心身の不調は、多くの女性が抱える悩み。症状が重くなると日常生活に支障が出てしまうこともありますが、“生理だから仕方がない”と諦めている人も少なくないと思います。今回は、そんなPMSの不調を和らげる体質別のツボをご紹介します。生理は毎月、数十年と続くもの。体をきちんとケアして不快な症状を改善し、生理と上手に付き合っていきましょう。

ココロとカラダにさまざまな不調

「PMS(月経前症候群)」は、生理(月経)の3〜10日ほど前から起こる心身の不調のこと。生理が始まると症状が軽くなり、やがて消えていくことが特徴です。PMSが起こるメカニズムはまだはっきりとはわかっていませんが、主な原因とされているのは「黄体期(排卵後、月経までの期間)」に分泌される女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の急激な変動。そのほか、脳内の神経遺伝物質(ガンマアミノ酪酸やセロトニン)、自律神経の乱れなど、PMSには多くの要因が関わっていると考えられています。

 

[PMSの代表的な症状]
●精神症状
情緒不安定、イライラ、憂うつ、気分の落ち込み、不安感、集中力の低下、眠気、不眠 など

 

●身体症状
乳房の張り・痛み、下腹部の張り・痛み、頭痛、腰痛、腹痛、便秘、疲労感、めまい、のぼせ、過食、食欲不振、むくみ、肌荒れ など

「肝」「脾胃」「腎」の不調がPMSの要因に

中医学では、PMSの症状は体内の「気(エネルギー)」「血」「津液(潤い)」のバランスが乱れて起こる症状と考えます。その要因となるのは、主に「肝」「脾胃(胃腸)」「腎」の不調です。

 

●肝の不調→「気滞」「血瘀(血行不良)」
肝は血を貯蔵し、月経の量や周期を調節する臓器。また。気の巡りを整え、情緒の安定を保つ働きもあります。そのため、過剰なストレスなどで肝がダメージを受けると、気の巡りが停滞し(気滞)、イライラや不安感、乳房の張り・痛みといった不調が現れるように。さらに、気が停滞すると血の巡りも悪化しやすく(血瘀)、腹痛、頭痛、肩こりなどを招くこともあります。

 

●脾胃の不調→「気虚」「痰湿(余分な水分や汚れ)」「湿熱」
脾胃の働きが弱いと、食事の栄養から気・血を十分に生み出せず(気虚)、エネルギーや栄養の不足から疲労感、情緒不安定、めまいなどの不調が現れます。また、水分代謝が落ちて痰湿が溜まると、むくみ、食欲不振、吐き気などが現れるように。さらに、痰湿が長く停滞して熱がこもると(湿熱)、にきびや湿疹といった肌荒れも起こりやすくなります。

 

●腎の不調→「陽虚」「陰虚」
腎は生命活動の根本を支える臓器で、体内の「陽気(体を温めるエネルギー)」「陰液(津液などの潤い)」の源でもあります。そのため、加齢などの影響で腎が衰えると陽気や陰液の不足を招き、陽虚による冷えや眠気、陰虚による便秘、ほてり、乾燥肌といった症状が現れやすくなります。

 

イライラ、情緒不安定、乳房の張り・痛み、疲労感といったPMSの代表症状を招く気虚と気滞の体質は、PMSに悩む女性に特に多く見られます。不調がある人はこの機会に体質をチェックして、積極的に体を整えていきましょう。

PMSの体質チェック

今回は、特にPMSになりやすい7つの体質についてご紹介します。体質はいくつか重なっていることも多いので、あてはまる症状からチェックしてみてください。

 

症状から体質を知る
●気虚(気の不足)
情緒不安定、疲れやすい、めまい、汗をかきやすい、かぜを引きやすい、舌が腫れぼったい、舌の色が淡い

 

●気滞(気の停滞)
イライラ、憂うつ、不安感、乳房の張り・痛み、肋骨下部の張り・痛み、腹部の膨満感、睡眠が浅い、食欲不振

 

●陽虚(陽気の不足)
眠気、冷え、集中力の低下、下痢、腰痛、むくみ、舌の色が淡い

 

●血瘀(血行不良)
腹痛、頭痛、肌の乾燥、シミ、抜け毛、舌の色が暗く瘀点・瘀斑がある

 

●陰虚(潤い不良)
ほてり、熱っぽい、便秘気味、目・鼻・口・皮膚などの乾燥、シワが多い、舌が紅く乾燥している、舌苔が少ない

 

●痰湿(痰湿の停滞)
むくみ、太り気味、無気力、疲労感、 口のネバつき、吐き気や食欲不振、舌苔が白くベタつく

 

●湿熱(痰湿と熱の停滞)
繰り返すニキビ、湿疹、口臭が強い、舌苔が黄色くベタつく

体質別・不調をラクにする“ツボ”

つぼ押しは、気・血の流れをスムーズにし、つぼとつながる臓器を活性化する作用があります。手軽にできてPMSの不調緩和にも効果が期待できるので、日々のケアにぜひ取り入れてみてください。

 

気虚タイプ
【ツボ】
① 百会(ひゃくえ):頭のてっぺん
② 膻中(だんちゅう):左右の乳頭の中間
③ 気海(きかい):おへそから指2本分下
④ 中脘(ちゅうかん):みぞおちとおへそを結んだ線の中間
⑤ 足三里(あしさんり):膝の皿の下・外側の窪みから指4本分下

 

気滞タイプ
【ツボ】
⑥ 太衝(たいしょう):足の親指と人差し指の骨が交わるところの窪み
⑦ 期門(きもん):乳頭からまっすぐ下がった肋骨の下端
⑧ 肝兪(かんゆ):膈兪から指3本分下

 

陽虚タイプ
【ツボ】
⑨ 大椎(だいつい):首を下に曲げると首の骨が盛り上がるところ
⑩ 命門(めいもん):左右の腎兪の中間、背骨の上
⑪ 腎兪(じんゆ):ウエスト位置、背骨から指2本分外側
⑫ 関元(かんげん):おへそから指4本分下
⑬ 神闕(しんけつ):へそ

 

血瘀タイプ
【ツボ】
⑧肝兪
⑭ 膈兪(かくゆ):肩甲骨の下、背骨から指2本分外側
⑮ 血海(けっかい):ひざの内側、皿から指3本分上
⑥太衝
⑯ 陽陵泉(ようりょうせん):膝の外側にある骨(腓骨)の下にある窪み

 

陰虚タイプ
【ツボ】
⑰ 印堂(いんどう):眉間の中央部分
⑱ 陰交(いんこう):おへそから親指1本分下
⑲ 志室(ししつ):ウエスト位置で背骨から指約4本分
⑳ 太谿(たいけい):くるぶしの内側、アキレス腱の真ん中
㉑ 復溜(ふくりゅう):内くるぶし上から指3本分上

 

痰湿タイプ
【ツボ】
④中脘
⑤足三里
㉒陰陵泉(いんりょうせん):膝の内側にある骨(脛骨)の下にある窪み
㉓豊隆(ほうりゅう):すねのやや外側、足首と膝の中間あたり
㉔水分(すいぶん):へそより指1本分上

 

湿熱タイプ
【ツボ】
㉕上脘(じょうかん):中脘の上
㉖曲池(きょくち):ひじを曲げてできるシワの外側
⑯陽陵泉(ようりょうせん):膝の外側にある骨(腓骨)の下にある窪み
㉓豊隆
㉗丘墟(きゅうきょ):外くるぶしの前方先端部分

 

【暮らしのポイント】
・ストレスはこまめに解消して、気の巡りをスムーズに。
アロマテラピーやハーブティーなど、香りの効果でリラックスするのもおすすめです。
・食事は1日3食、規則的に。バランスよく栄養を取って、気・血を十分養いましょう。
・冷たいものは脾胃の負担に。季節を問わず温かい飲食を心がけて。
・適度に体を動かす習慣を。ストレスの発散や血行促進につながります。
・睡眠を十分取って、心身の疲れをしっかり回復しましょう。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 紅娜

楊紅娜(よう こうな)中医学講師。 登録販売者。鍼灸師。 2006年遼寧中医薬大学修士号取得。 2006年~2016年、大連市にて精神科臨床医として10年間勤務。 「中国摂食障害の防治指南」の編集委員担当。 2016年来日。日本にて登録販売者、鍼灸師取得。