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「おりもの」は女性の健康バロメーター

2023.06.20 UPDATE

監修:楊 敏 先生(中医学講師)

下着が汚れる、ベタついて気持ち悪い、においが気になる……。そんなマイナスイメージを持たれがちな「おりもの」ですが、女性の体にとっては必要なもの。その状態の変化は体調を現すサインでもあるので、正しい知識を身につけて、おりものから自分の体調をチェックする習慣をつけましょう。

「おりもの」から知る体の変化

「おりもの」は子宮や膣から出る分泌物で、成熟した女性なら誰にでもあるもの。その役割は女性にとって大切なもので、主に次のような働きがあります。
[おりものの役割]
・膣内の潤いを保ち、粘膜を守る。
・汚れを排出して膣内を清浄に保つ。
・細菌の侵入を防ぐ。
・排卵期に精子を受け入れやすくする。
正常なおりものの目安は半透明か乳白色。排卵期から月経前はトロっと粘りがあり、月経後はサラっとしています。酸性の液体なので、少し酸っぱいにおいがすることも特徴。また、女性ホルモンの影響で状態や量が変化するため、月経が近いな、そろそろ排卵日かな、など体の周期を知る目安にもなります。
[体の周期とおりもの変化]
・卵胞期:月経後で、量が少なくサラっとしている。
・排卵期:量がもっとも多い時期。透明でトロッとしている。
・黄体期:量は少しずつ減り、粘りのある白濁した状態になる。
・月経前:量が少し増え、粘りのある白濁した状態でにおいが強くなる。
     経血が混ざって茶色っぽくなることも。
また、おりものの量は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量に比例しているため、年齢によっても量の変化があります。20〜30代はもっとも分泌量の多い時期。その後40代からは徐々に減り、更年期・閉経後は急激に少なくなります。
おりものの量や状態は個人差の大きいものですが、量が多過ぎたり、色やにおいに異常を感じたりする場合は、体内に病気があることも。異常な状態が続くときは、早めに婦人科を受診することが大切です。

「腎・脾胃・肝」の不調がおりものに現れる

中医学では、おりものは体内の「気(エネルギー)」「血」「津液」によって生み出されるものと考えます。そのため、気・血・津液の源となる「腎(じん)」と「脾胃(胃腸)」、巡りをコントロールする「肝(かん)」の働きが整っていれば、おりものも正常な状態に。反対に、これらの臓器に不調があると、おりものにも異常が現れるようになります。おりものの異常は「帯下病(たいげびょう)」と呼ばれ、その特徴から「白帯」「黄帯」「赤帯」に分けられます
【白帯】白く水っぽいおりものが常に多く出て、生臭さがあることも。腎と脾胃の「陽気(体を温めるエネルギー)」不足から起こります。
【黄帯】濃い黄色か黄緑色で、豆腐かすやカッテージチーズのような状態に。嫌なにおいがして陰部にかゆみがあり、体内に「湿(余分な水分や汚れ)」や熱が溜まることで現れます。
【赤帯】血の混じったにおいの強いおりものが頻繁に出て、陰部のかゆみや痛みを伴うことも。肝・腎の不調で体に過剰な熱がこもることが要因に。
このように、異常なおりものには体内の不調が現れるため、女性にとっては大切な健康のバロメーターに。わずらわしく思いがちなおりものですが、自分の体調をきちんと知るためにもこまめなチェックを心がけましょう。

体質ケアでおりものトラブルを改善!

白帯、黄帯、赤帯のおりものに気付いたら、体内に不調があるサイン。しっかり体質を整えて、不快なおりものを改善しましょう。
●白帯が多い:腎と脾胃の陽気不足
白く水っぽいおりものが常に多く出る、倦怠感、冷え、食欲不振、軟便・下痢、頻尿、舌の色が淡く舌苔が白い、舌に歯の痕がつく、などの症状が特徴。弱った脾胃を元気にして、腎を温めることがポイントです。
【 おすすめ食材 】
山芋、じゃがいも、かぼちゃ、にんじん、キャベツ、豆類、しょうが、ねぎ、きのこ類、鶏肉、豚肉、うなぎ、卵、くるみ、ごま、りんご、棗、枸杞の実、シナモン など
〜おすすめメニュー〜
・長芋、蓮の実、棗、鶏肉のスープ
・銀杏、枸杞の実入りのよもぎ饅頭
・黒豆杜仲茶
●黄帯:湿が溜まり、熱が過剰に
濃い黄色で豆腐カスのようなおりもの、下腹部痛、尿の色が濃い、軟便・便秘、口の苦み、のどの乾き、舌が紅い、舌苔が黄色くベタつく、などの症状が特徴。過剰な熱を冷まし、溜まった「湿(過剰な水分や汚れ)を取り除くことを心がけて。
【 おすすめ食材 】
そば、はと麦、大根、ごぼう、きゅうり、苦瓜、なす、青梗菜、海藻類、しじみ、あさり、緑豆、春雨、もやし、緑茶、おおばこ茶、どくだみ茶 など
〜おすすめメニュー〜
・苦瓜、春雨、海藻のサラダ
・大根とわかめのみそ汁
・おおばこ&どくだみ茶
●赤帯:肝と腎の潤い不足・気の停滞による熱
血のまじったにおいの強いおりもの、のぼせ、ほてり、偏頭痛、めまい、イライラ、怒りっぽい、生理前の腹部の張り・痛み、舌の両側が赤い、などの症状が特徴。体内の潤いを養い、過剰な熱を冷ますこと、ストレスを解消して気を巡らせることが大切です。
【 おすすめ食材 】
セロリ、春菊、三つ葉、香菜、苦瓜、あさり、しじみ、いか、たこ、柑橘類、ミント、陳皮、菊花、カモミール、ジャスミン、田七人参、うこん など
〜おすすめメニュー〜
・セロリといかの炒めもの
・オレンジやグレープフルーツ入りの菓子
・田七人参茶

生活習慣のポイント

・デリゲートゾーンはいつも清潔に保って。
・おりものシートを使って、毎日チェックを習慣に。
・飲み過ぎ食べ過ぎ、冷たい飲食、甘いものの取り過ぎはNGです。
・栄養バランスの良い食事、規則正しい生活リズムを心がけましょう。
・ストレスを溜めないよう、毎日こまめに発散を。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。