「瘀血」を改善。 サラサラ血流で元気&キレイに! - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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「瘀血」を改善。
サラサラ血流で元気&キレイに!

2023.02.21 UPDATE

監修:楊 敏 先生(中医学講師)

血流が滞った「瘀血(血行不良)おけつ」の状態は、元気とキレイの大敵。放っておくと、慢性的な頭痛や肩こり、生理痛、顔色のくすみ、シミといったさまざまな不調を招いてしまいます。冬は寒さで体が冷え、瘀血を招きやすい時期。体質だからと諦めがちな症状ですが、毎日を気持ちよく過ごすためにも積極的なケアで血流アップをめざしましょう。

スムーズな血流は健康維持のカギ

体内を流れる血液は、全身を巡って酸素や栄養を体のすみずみまで届けています。また、不要になった老廃物や二酸化炭素を回収し、処理器官(腎臓や肝臓など)に運ぶ働きも担っています。血液がスムーズに流れていればこの働きがしっかり保たれ、体は元気、肌や髪も健やかな状態に。反対に、血流が悪くなると酸素や栄養が身体に十分行き届かず、老廃物も蓄積されて、頭痛や肩こり、生理痛、冷え、シミ、くすみといったさまざまな不調が現れるようになります。こうした状態が進行すると、脳血管疾患や心血管疾患などの大きな病気につながる可能性もあるので注意が必要です。スムーズな血流を保つことは、健康維持に深く関わる重要なカギ。血行不良を改善すれば諦めていたさまざま不調の緩和も期待できるので、気になる症状があれば積極的に対処しましょう。

瘀血は“未病”。病気の一歩手前

中医学では、ドロドロ血で血流が滞った状態を「瘀血」と言います。主な要因は、食べ過ぎ飲み過ぎ、冷たい飲食、過剰なストレス、運動不足といった生活習慣。こうした生活を続けていると、コレステロールや中性脂肪による脂質異常を引き起し、ドロドロ血や血管の硬化を招いてしまうのです。また、脂肪細胞から放出される炎症性物質で血管の内壁が傷つくと、血中細胞が集まって血管がだんだんと塞がってしまうことも。その結果、粘度の高い血液と血管の詰まりで、瘀血を招いてしまうのです。瘀血は「未病」の状態で、健康とは言い切れない“病気の一歩手前”の体質。放っておくとさまざまな病気を引き起こす可能性があるため、不調に気づいたら早めに改善することが大切です。
[ワンポイント]
病気になる前に“未病を治す”という考え方は、中医学の基本。忙しい日常の中、ちょっとした不調はつい見逃しがちですが、早めに対処をすれば病気を防ぐことにつながります。調子が悪いなと感じたら、放置せずにきちんと自分の体と向き合う習慣をつけましょう。
【 瘀血をチェック 】
✓の項目は瘀血の重要なサイン。1つでも当てはまれば瘀血の可能性があります。それ以外の項目も、2つ以上当てはまれば瘀血と考えて対処しましょう。
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□慢性の痛み(関節痛、頭痛など)、慢性の肩こり ✓
□生理痛がひどい、月経血に黒い血塊がある ✓
□顔や唇の色が暗い、紫っぽい ✓
□シミ、そばかすが多い
□胸痛、動悸、不整脈がある ✓
□手足の冷え、または冷えのぼせ  ✓
□足の静脈瘤が目立つ
□毛細血管が浮き出ている
□体内に腫塊がある(子宮筋腫、血管腫、腫瘍など) ✓
□舌の色が暗く、黒い斑点がある。舌裏の静脈が太い ✓
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※チェックの数が多いほど症状が重いと考えて。

食養生でサラサラ血流に!

さまざまな不調や病気を招く「瘀血」は、“万病のもと”とも言われます。元気とキレイを保つためにも日々の食事や生活習慣に気を配り、サラサラ血流をキープしましょう
< 血流を良くする食材 >
玉ねぎ、ねぎ、しょうが、らっきょう、にんにく、なす、くわい、いわし、さんま、さば、あじ、かに、どじょう、黒きくらげ、山椒、黒酢、桃、さくらんぼ、山楂子、シナモン、紅花、サフラン、ローズ、ウコン、田七人参、丹参 など
<おすすめ生薬 >
田七人参:
血行を促す作用、止血、打撲などの腫れや痛みを解消する作用などがあります。スライスや粉末の田七人参をお湯に入れ、薬茶にするのもおすすめです。
丹参:
血行を促し、血を補う作用があります。おすすめは丹参の薬酒。ホワイトリカーや焼酎(1リットル)に丹参(10〜15グラム)を入れ、3カ月ほど漬ければ飲み頃に。毎日少しずつ飲めば血行促進の効果が期待できます。
<おすすめメニュー>
・玉ねぎ、なす、黒きくらげの炒めもの
・さんまの山椒煮
・しょうが、はちみつ入り田七人参茶(ウコン茶でもOK)☆生理痛がつらい時におすすめ。
<ワンポイント>
過剰な塩分は瘀血を進行させてしまうので、塩やしょうゆは控えめに。代わりに「酢」をプラスすると料理のアクセントになり、物足りなさも感じにくくなります。

生活習慣のポイント

・暴飲暴食、冷たい飲食、過度の飲酒、喫煙などの習慣はしっかり改善を。
・過労も瘀血の要因に。睡眠を十分取って疲れを回復しましょう。
・早寝早起きを心がけ、生活リズムを整えることも大切です。
・適度な運動、入浴などを習慣に。体が温まり、血行が良くなります。
・ストレスも血行を悪くする一因。日々のストレスを溜め込まず、上手に発散する工夫を。
・季節を問わず身体を冷えから守る習慣を。特に冬の寒さは瘀血の大きな要因となります。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。