あなたの体に必要な食べ物は? 体質別「食養生」アドバイス 〜実証編〜 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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あなたの体に必要な食べ物は?
体質別「食養生」アドバイス
〜実証編〜

2022.09.20 UPDATE

監修:楊 敏 先生(中医学講師)

日々口にする食べ物は、私たちの体をつくり、健康を保つ基本。だからこそ、ただ食べるだけでなく“自分の体に必要なもの”を意識することがとても大切です。食で体を整える「食養生」の体質別アドバイス。今回は「実証」体質の食養生についてご紹介するので、当てはまる体質があればぜひ参考にしてください。

「実証」体質は生活習慣病に要注意

前回ご紹介した「虚証」は、体内の「気(エネルギー)」「血」「津液」が不足している虚弱気味な体質。反対に「実証」は気・血・津液が過剰だったり、巡りが滞ったりしているタイプです。基本的には気・血が十分あって元気な印象ですが、気のエネルギーが停滞してイライラしがちになったり、余分な水分や汚れが溜まって肥満気味になったりと、不調も起こりやすいので要注意。特に「瘀血」や「痰湿」などの体質は生活習慣病を招く要因にもなるので、気になる症状があれば積極的に改善することが大切です。

体質別の「食養生」〜実証編〜

①イライラしやすい「気滞」体質
過剰なストレスなどで「気(エネルギー)」の巡りが停滞しているタイプ。イライラ、怒りっぽい、憂うつ、不安感、ため息、のどの詰まり、片頭痛、乳房や脇の張り、胃や腹部の張り、ガスやゲップが出やすい、下利と便秘を繰り返す、不眠、口の苦み、PMS(月経前症候群)、生理不順、といった症状が現れます。
[おすすめ食材]
春菊、三つ葉、せり、セロリ、大葉、パクチー、いか、たこ、しじみ、あさり、オレンジ、デコポン、レモン、グレープフルーツ、ゆず、ミント、ローズ、ラベンダー、カモミール など
☆生薬:薄荷(ミント)
自律神経のバランスを整え、気の巡りを促す作用があります。不安感やイライラなどを感じるときは、ミントティーでリラックスするのもおすすめ。
●おすすめメニュー
・イカとセロリの炒めもの
★セロリは鎮静や血圧降下の作用も。葉っぱも捨てずに使って!
・オレンジのデザート、ミント添え
★柑橘類やミントには気を巡らせる作用があります
②頭痛や肩こり「瘀血」体質
「血」の巡りが悪くなり、血行不良を起こしているタイプ。唇色が紫色、しみやそばかすが多い、慢性的な肩こりや頭痛、関節痛、動悸、不整脈、手足の冷え、冷えのぼせ、下肢静脈瘤、痔、強い生理痛、月経血が黒っぽく血塊が多い、舌に瘀点・瘀斑がある、といった症状が現れます。
[おすすめ食材]
しょうが、ねぎ、玉ねぎ、にんにく、なす、黒きくらげ、かに、たこ、いわし、さば、さんま、あじ、山査子、桃、さくらんぼ、シナモン、紅花、サフラン、ウコン、山椒、茴香、黒酢 など
☆生薬:紅花
血行促進、鎮痛などの作用があります。生理痛がつらい時は、温かい紅花茶(一つまみの紅花に熱湯を注ぐ)を。紅茶やウーロン茶とブレンドするのもおすすめです。
●おすすめメニュー
・なすと玉ねぎと黒きくらげの炒めもの
★なすは“体を冷やす”食材なので、体を温めるしょうがやねぎと一緒に。
・さばの味噌煮
★青魚にはDHA・EPAなどの血液サラサラ成分が多く含まれます。
③むくみやすい「痰湿」体質
食べ過ぎ飲み過ぎなどの影響で、体内に「湿(余分な水分や汚れ)」が溜まっているタイプ。肥満気味(水太り)、オイリー肌、頭重、体が重だるい、むくみ、痰が多い、軟便・下痢、体脂肪率が高い、血中コレステロールや中性脂肪が多い、舌のむくみ、舌の色が淡い、舌苔が厚くベタつく、といった症状が現れます。
[おすすめ食材]
雑穀(玄米、粟など)、はと麦、そば、海藻類、あさり、しじみ、こんにゃく、寒天、いわし、さんま、さば、あじ、きのこ類、竹の子、ごぼう、大根、かぶ、にんじん、冬瓜、バナナ、山査子、ウーロン茶・プーアル茶 など
☆生薬:山査子
消化を促し、脂肪を分解する作用がある生薬。肉料理などをたくさん食べた時は、山査子のデザートやお茶をいただくのが中国の定番です。
●おすすめメニュー
・ごぼう、大根、にんじんのきんぴら
・冬瓜のスープ
★冬瓜は低カロリーで、利尿作用のある食材。水太りやむくみが気になる人におすすめです。
④体臭が強い「湿熱」体質
「湿(余分な水分や汚れ)」の停滞が長期化し、熱が発生しているタイプ。「痰湿」体質の症状に加え、顔色が赤い、にきびが化膿しやすい、口臭や体臭が強い、排泄物(痰、尿、便、おりものなど)の色が濃く臭いが強い、舌の色が赤い、舌苔が黄色くベタついている、といった症状が現れます。
[おすすめ食材]
「痰湿」体質の食材+苦瓜、緑豆、もやし、春雨、スベリヒユ(五行草)、どくだみ茶、はぶ茶 など
☆生薬:魚腥草(どくだみ)
清熱、殺菌、利尿などの作用がある生薬。便秘気味の人、赤みのあるオイリーな肌でにきびが化膿しやすい人などは、どくだみ茶がおすすめです。
●おすすめメニュー
・もやし、春雨、きゅうりの前菜
・苦瓜と卵の炒めもの

生活習慣のポイント

・偏食をせず、栄養バランスの整った食事を心がけて。
・暴飲暴食、冷たい飲食、激辛料理などは、胃腸の負担になるので避けましょう。
・過労や睡眠不足は体質バランスが崩れる要因。夜更かしなどは避け、正しい生活リズムを。
・適度な運動を習慣にして、体力、筋肉をしっかりつけましょう。
・過剰なストレスは心身のダメージに。日々の生活でこまめに発散するよう心がけましょう。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。