ひじのザラつき、ニットのチクチク……。 おしゃれを邪魔する冬の肌悩み対策 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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ひじのザラつき、ニットのチクチク……。
おしゃれを邪魔する冬の肌悩み対策

2022.01.04 UPDATE

監修:楊 暁波 先生(中医学講師)

楊暁波先生の中医美容レッスン Vol.69

気づくと進んでいるひじ・ひざのザラつきや黒ずみ、服を着た時のチクチク感など、今回はおしゃれの邪魔をする肌悩みの対策をご紹介します。空気が乾燥する冬は、こうした肌の不調が起こりやすい時期。日頃からきちんとお手入れをして、すべすべ素肌で気持ちよくおしゃれを楽しみましょう。

ザラつき・黒ずみ、チクチク感はどうして起こる?

ひじをついたり、ひざをついたり、洋服で擦れたり。ひじ・ひざはこうした摩擦や圧迫の刺激を日常的に受けています。そのため、肌を守ろうと角質が厚く硬くなり、乾燥が進んでザラつきや黒ずみを起こすようになります。
また、ひじ・ひざは皮脂腺が少なく、そもそも乾燥しやすいパーツ。そこに空気の乾燥や寒さによる血行不良が重なるため、冬は症状が悪化しやすくなるのです。
一方、ニットなどを着たときに感じるチクチク感は、敏感肌の人に起こりやすい症状。冬は気温の低下や乾燥のダメージで肌の潤いが失われ、バリア機能も低下してしまいます。その結果、繊維が触れる刺激にも肌が敏感に反応し、チクチクとした痛みを感じるようになるのです。
こうした状態が続くと炎症や肌荒れを起こすこともあるので、きちんとケアをして肌を守ることが大切です。

「腠理」と「腎」の不調が肌トラブルの要因に

中医美容学では、ひじ・ひざのザラつき、敏感肌などのトラブルは、肌の“腠理力(バリア機能や保湿力、解毒力)”の低下や体質にも要因があると考えます。
「腠理(主に表皮から真皮までの組織)」の力は、肌の栄養となる「気(エネルギー)」「血」「津液(潤い)」によって保たれています。そのため、寒さで血行不良を起こしたり、乾燥で津液を消耗したりすると、腠理に必要な栄養や潤いが不足するように。その結果、バリア機能の低下や乾燥を招き、ひじ・ひざのザラつき、敏感肌などの不調が起こりやすくなります。
また、「腎」の働きが弱い人も、こうした肌トラブルを起こしやすい体質といえます。腎は生命力の源で、生殖や成長、遺伝などと関わる臓腑。また、全身の潤いの源でもあり、体の水分代謝も担っています。そのため、腎が弱いと体全体の力が衰え、肌の元気や潤いも不足して、乾燥肌や敏感肌といった不調を招きやすくなるのです。
冬は肌にとってダメージの大きい季節。スキンケアと合わせて内側から体質改善をすることで、寒さや乾燥に負けない健やかな肌をつくりましょう。

ひじ・ひざのザラつき、黒ずみ対策

ザラついたひじ・ひざは、乾燥も原因の一つ。だからこそ、肌を出さない冬の間もサボらずケアを心がけて。
【スキンケア】
軟化させて、硬くなった角質をオフ
・湯船で皮膚を柔らかくして、タオルでやさしく洗いましょう。日々のケアで余分な角質が溜まるのを防ぎます。湯船の熱すぎ、長風呂には要注意!
・皮脂の少ないひじ・ひざは保湿も念入りに。山査子、沙棘オイルなどを配合したクリームもおすすめ。
・頑固な角質はサリチル酸(角質軟化作用)配合のクリームなどでケアを。
〈おすすめ商品〉
【体質ケア】
軟化を促し、血流を良くする食材を積極的に
海藻類、かに、えび、すっぽん、いわし、桃、杏仁、黒きくらげ など
〈おすすめ生薬〉
亀板(きばん)、鼈甲(べっこう)、牡丹皮、丹参、紅花 など
【暮らしのケア】
頬杖、正座といった日常の摩擦や圧迫を減らすことがポイント。肌が擦れるぴったりした服装も避けた方がベターです。

ニットのチクチク。敏感肌対策

敏感肌の人は、生まれつきの体質で乾燥やアレルギーを起こしやすくなっていることも。スキンケアと合わせて「腎」を養生し、体質から敏感肌を改善していきましょう

 

【スキンケア】

・入浴中は肌の潤いが流出しがち。保湿効果のある入浴剤を使い、ゴシゴシ洗いは避けましょう。

・冬の保湿は“たっぷり・重ねて・こまめに”を心がけて。

・炎症があるときは、紫根(しこん)、アロエ、アラントイン、沙棘(サージ)などを配合したスキンケア用品を。

 

【体質ケア】

まずは体質チェック。こんな人は「腎」の養生を。

・月経不順、妊娠しにくい

・腰痛、ひざの痛み

・脱毛、白髪

・サメ肌、乾燥肌、敏感肌

・アレルギー体質

・小児喘息の既往歴

 

腎を養い、潤いをアップする食材を意識して!

魚、鶏肉などの身が白い肉、鹿肉、なまこ、すっぽん、豆腐、山芋、里芋、白きくらげ、ごま、くるみ、松の実 など

 

おすすめ生薬

プラセンタ、冬虫夏草、哈士蟆油(はしまゆ)、大棗(たいそう)、麦門冬、沙参(しゃじん)、地黄 など

 

【暮らしのケア】

・服の素材は自分の肌に合うものを。保湿性の高いシルクは刺激も少なくおすすめです。

・ニットの下には肌触りの良いインナーを。不快なチクチクを防いでくれます。

・暖房や電気カーペットは肌を乾燥させるので、適度な使用を心がけて。

五行相関図

ザラザラも、チクチクも。基本のケアで健やか肌に

肌の栄養や潤いとなる「気・血・津液」を補うことは、肌トラブルの根本的な予防・改善につながります。食事でバランスよく栄養を取る、気・血・津液を補ってくれるスキンケア用品を選ぶなど、体の内外からケアをして体も肌も“元気でキレイ”をめざしましょう。
【中医美容スキンケア】
気・血・津液を補う生薬
人参、刺五加(しごか)、沙棘、当帰、珍珠(ちんじゅ) など
〈おすすめ商品〉
●中医美容の美肌、体質ケアのご紹介●
「三白湯(さんぱくとう)」を習慣に
生薬(白芍、白朮、白茯苓、甘草)を水から煮出し、温かいうちに服用を。胃腸を整え気・血を補う作用があり、美白効果も期待できます。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 暁波 先生

楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など