監修:楊 暁波 先生(中医学講師)
楊暁波先生の中医美容レッスン Vol.60
春に肌荒れしやすいのはなぜ?
ストレスによる「肝」の不調が肌荒れの一因に
中医美容学でも、春の肌荒れの要因は強い風や気温の変化、ストレス、マスク生活などの影響と考えます。
【中医学で考える春の肌荒れ要因】
(1)外的要因:強い風や寒暖差
寒暖差によるストレス、飛散する花粉やウイルスなどの影響で、かゆみ、赤みなどが現れるように。こうした不調は春の風のように動く性質があり、場所が固定せず、症状も出たり消えたりします。また、上半身や顔などに症状が現れやすいという特徴もあります。
症状:かゆみ、赤み、蕁麻疹 など
(2)内的要因:ストレスによる「肝」の不調
自律神経の働きと関わる「肝」は、ストレスのダメージを受けやすい臓器。そのため、ストレスの多い春は肝の不調を招きやすく、自律神経が乱れて肌の状態が不安定に。また、ストレスで肝の「気(エネルギー)」が過剰になり、血圧が上昇して肌トラブルを招くこともあります。
症状:かゆみ、のぼせ、顔の赤み など
(3)マスクの負担:雑菌と瘀血(血行不良)
マスクの中が蒸れて雑菌が繁殖すると、肌の常在菌バランスが乱れて吹き出物やかゆみが出るように。また、マスクの着用で肌の圧迫が続くと、瘀血を起こして色素沈着を起こしたり、皮膚が厚くなったりすることもあります。
症状:赤み、かゆみ、吹き出物、色素沈着、皮膚肥厚
マスク対策も! 春の肌荒れを防ぐスキンケア
スベリヒユ〈五行草の花〉
「肝」のケアで体の中から肌荒れ予防
「肝」を健やかに保つためには、体内の「血」を養い、「気」の巡りをスムーズに保つことが大切。春は過剰なストレスで気の停滞や血不足を招きがちなので、日頃の養生を心がけましょう。
【肝を整える食養生】
[おすすめ食材]
・気の巡りを整える:菜の花、にんじん、かぼちゃ、玉ねぎ、春菊、パクチー、セロリ、柑橘類、びわ など
・血を養う:レバー、ひじき、ほうれん草、小松菜、プルーン、黒きくらげ、卵、鶏肉、豚肉 など
酸味は少なめ、自然の甘味はやや多め、もポイント。
[おすすめ生薬]
龍眼肉(りゅうがんにく)、クコの実、棗(なつめ)、紅花、菊花、バラ、柴胡(さいこ)、紅景天(こうけいてん) など
毎日のお茶に、紅茶に菊花やバラ、クコの実などを加えたブレンドティーもおすすめ。
【ストレスケア】
ストレスは美肌の大敵。肝の働きも落ちてしまうため、日頃のストレスはこまめに発散しましょう。
・アロマオイルで気持ちを穏やかに。柑橘系、ラベンダーなどの香りがおすすめです。
・入浴を習慣にして、心身をリラックス。血行促進にもつながります。
・散歩やウオーキングなど、外に出かけて春の陽気を楽しんで。
[おすすめアイテム]
「瑞花露ボディケア入浴液」、オレンジオイル、ラベンダーオイル、ティーツリーオイル、ユーカリオイル など
この記事を監修された先生
中医学講師楊 暁波 先生
楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など