ぶつぶつ吹き出物やヒリヒリ…でも手放せない「マスク肌荒れ」対策 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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ぶつぶつ吹き出物やヒリヒリ…
でも手放せない
「マスク肌荒れ」対策

2020.04.07 UPDATE

監修:楊 暁波 先生(中医学講師)

楊暁波先生の中医美容レッスン vol.48

春は風が強く、花粉やホコリ、ウイルスなどの対策でマスクが手放せない時期。毎日長時間マスクを着け続けることで、ヒリヒリしたり、ぶつぶつや吹き出物ができたり、といった肌荒れを起こしてしまうことも少なくありません。これからしばらく続きそうなマスク生活を乗り切るためにも、日々のケアで肌への負担を和らげましょう。

マスク肌荒れってどんな症状?

マスクを長時間着けていると、しゃべったり顔を動かしたりすることで絶えず摩擦が起きています。実感はあまりなくても、この小さな摩擦の継続が大きな刺激となり、肌にダメージを与えてしまいます。また、マスクの中は呼吸によって蒸れているため、雑菌が繁殖して肌荒れを招いてしまうこともあります。

マスク肌荒れの主な症状は、肌がヒリヒリする、赤いブツブツができる、赤みが出てかゆい、といったトラブル。アトピー性皮膚炎などの疾患がある人は、症状が悪化して首や胸まで拡がってしまうこともあるので注意が必要です。

また、脂漏性皮膚炎、酒(しゅ)さ様皮膚炎(赤みを伴う皮膚症状)などの人は、顔の赤みが強くなる、ニキビが増える、鼻周辺にブツブツができる(化膿やかゆみを伴うことも)といった症状が現れることもあります。

中医美容で考える3つの原因

中医美容では、マスクによる摩擦や雑菌、また体内の気血不足などが肌のバリア機能を低下させ、トラブルを引き起こすと考えます。

(1)「邪毒」の増殖
長時間マスクを着けて呼吸をしていると、マスクの中は湿度が高くなります。すると、「邪毒」(雑菌、ウイルス、ダニ、微生物など)が増殖し、肌の常在菌叢(そう)のバランスが崩れるように。その結果、肌のバリア機能が低下し、炎症性のトラブルが起こりやすくなります。

【主な症状】
赤み、ヒリヒリ感、かゆみを伴う湿疹、マラセチア毛包炎、ニキビ など

(2)「衛気」の損傷
「衛気(えき)」は体内の「気」(エネルギー)の一つで、肌表面を守るバリアのような存在。マスクによる圧迫や摩擦が長時間続くと、この衛気がダメージを受けてバリア機能が低下し、肌荒れが起こるようになります。

【主な症状】
・摩擦部分が湿疹や水泡になり、破れた水泡に雑菌が感染するとジュクジュクと悪化してしまうことも。炎症が治まっても痕や色素沈着が残ることもあるので注意が必要です。
・マスクの素材でアレルギー症状が起こり、悪化すると接触性皮膚炎を発症することもあります。

(3)「気血」の不足
体内の「気」(エネルギー)や「血」は、健やかな肌の源です。気血が十分にあれば肌に栄養やエネルギーが行き渡り、バリア機能も強くなります。反対に、気血が不足していると肌のバリア機能が落ちて、肌荒れが起こりやすくなります。

【主な症状】
敏感肌、肌荒れを繰り返しやすく治りにくい、短時間のマスク使用でも肌荒れが起こる

肌バリアを守るデトックススキンケア

マスク肌荒れを予防・改善するためには、邪毒(雑菌やウイルスなど)の増殖を抑え、肌を清潔に保つことが大切。炎症による熱を冷まし、邪毒を取り除く「清熱解毒(せいねつげどく)」のデドックススキンケアで、肌のバリア機能を守りましょう。

【デトックススキンケアの基本】
(1)天然オイルでクレンジング
ホホバオイル、オリーブオイル、ココナッツオイル、米ぬかオイルなどがおすすめ。

(2)保湿成分配合の液体洗顔料で洗顔
クリームタイプや泡タイプもOK。固形石鹸やアルカリ性の洗顔料は避けましょう。

(3)「清熱解毒」成分で肌をデトックス
生薬(五行草、スイカズラ、たんぽぽの葉、牡丹皮 など)を煮出したお湯、濃い緑茶、米のとぎ汁などで、パシャパシャと優しく洗顔するように1〜2分洗い流す。

(4)油性クリームでしっかり保湿
洗顔後は油性のクリームで潤いをキープ。細胞の修復を助ける沙棘オイル、スクワランオイル、ホホバオイルなどを配合したクリーム、タイツコウ軟膏などがおすすめです。

【衛気(肌バリア)の強化につながる生薬】
中医美容では、沙棘オイル、ローズマリーオイル、茴香オイル、紫根オイル、真珠、当帰、刺五加、桑白皮、薬用人参、地黄、薏苡仁などの生薬がよく使用されます。保湿クリーム選びの参考にしてくださいね。

マスクの上手な選び方・使い方

マスクの素材や着け方も、肌荒れを防ぐ大切なポイントです。ちょっとした気配りで肌への負担を軽くできるので、ぜひ取り入れてみてください。

【マスクのポイント】
・素材は、肌に優しいシルクやガーゼがおすすめです。
・使い捨ての不織布マスクは、内側にシルクやガーゼの布を当てて摩擦ケア
・スプレーケアでデトックスを(1〜2時間に1回程度)
・解毒抗炎症作用の生薬を配合したスプレー(瑞花露薬用保湿ローションなど)や、五行草、スイカズラなどを煮出した手作りスプレーを携帯し、こまめな塗布を心がけて。
・マスクのひもを調節して、肌が圧迫されないように。
・マスクが肌に当たる部分は、油性クリームやワセリンを塗って保護。ゴムをかける耳の後ろも忘れずに。

食養生で、体の中から肌バリアを強化!

マスク肌荒れを防ぐためには、肌バリアの基本となる体内の「気」「血」を充実させることも大切。胃腸を健やかに保ち、しっかり栄養を取って気血を養いましょう。

【積極的に摂り入れたいもの】
きのこ類、豆腐、トマト、きゅうり、白菜、大根、小松菜、レタス、適量の果物、はと麦、緑茶 など

【控えたいもの】
アルコール、糖分の多い清涼飲料水、スナック菓子、炒ったナッツ類、刺激の強い香辛料、油っこい食事、冷たい飲食 など

その他、睡眠不足も肌バリアを低下させる要因となります。十分な睡眠を取って、マスクのダメージに負けない健やかな肌を保つよう心がけましょう。

※ケアしても肌荒れが治らない、湿疹が首や胸まで広がっている、といった場合は、一度皮膚科を受診することをおすすめします。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 暁波 先生

楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など