子どものデリケート肌を健やかに【幼児・小児編】〈二十四節気の中医美容学:啓蟄・春分〉 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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子どものデリケート肌を健やかに
【幼児・小児編】
〈二十四節気の中医美容学:啓蟄・春分〉

2021.03.02 UPDATE

監修:楊 暁波 先生(中医学講師)

楊暁波先生の中医美容レッスン Vol.59

3月の節気(※)は「啓蟄」と「春分」。春本番を迎えて虫たちが動き出し、これから昼の時間が少しずつ長くなっていきます。うららかな陽気が気持ちのいい季節ですが、春は風が強く、空気中に舞うほこりや花粉、微生物(細菌やウイルス等)などの影響で肌トラブルが起こりやすい時期。また、外遊びの時間が増えると、紫外線のダメージにも注意が必要です。

今回お届けするのは、子どもの肌ケア「幼児・小児編」。デリケートな子どもの肌を春のダメージから守るためにも、“きちんとケア”を心がけましょう。

※二十四節気:1年の気候変化を24に分けて表したもの

乾燥しやすい幼児・小児の肌

子どもの肌は、大人と比べて皮脂の分泌が少なく潤いが失われがち。「角質層」も薄いため、乾燥しやすくバリア機能も十分に働きません。こうした肌の“乾燥期”は、生後3〜6カ月から10歳くらいまで続くとされています

この“乾燥期”にもっとも起こりやすい肌トラブルは、「かゆみ」や「湿疹」です。主な要因は乾燥ですが、乾燥によって肌のバリア機能が低下することで、ハウスダストやダニ、花粉といった外部刺激も受けやすくなってしまうのです。また、バリア機能の弱い肌はウイルスや細菌などにも感染しやすいため、感染性の肌トラブルも起こりやすくなります

子どもの乾燥肌は、アレルギー体質であれば、放っておくとアトピー性皮膚炎などの発症につながることも。かゆみがあるだけでもストレスになってしまうので、日頃の保湿ケアなど、大人がきちんと対処してあげましょう。

【起こりやすいトラブル】
・ウイルス感染:突発性発疹症(赤い斑点)、リンゴ病、手足口病、風疹、麻疹 など
・細菌感染:猩紅熱(しょうこうねつ)、伝染性膿痂疹(とびひ)、丹毒(皮膚の化膿性炎症)、感染 など
ウイルス感染や細菌感染の症状は、いずれも発熱を伴うことが特徴です。

参考:最新皮膚科学体系特別巻1

かゆみの悪循環に気をつけて

かゆみが起こった時に気をつけたいのは、「イッチ・スクラッチサイクル」。かゆみを感じて肌をかくと、その刺激でヒスタミン(かゆみを引き起こす物質)などの分泌が促され、肌は傷ついて炎症を起こします。すると、さらにかゆみが強くなり、またかいて症状が悪化する、という悪循環を招いてしまうのです。
かゆみがあると、子どもは無意識にかきむしってしまうもの。症状の悪化を防ぐためにも、患部を保護する、爪を切っておくなど、きちんと対策をしてあげることが大切です。

参考:「なぜ皮膚はかゆくなるのか」菊池新著

バリア機能は「気」「血」「津液」の充実がカギ

中医美容学では、肌のバリア機能は主に「腠理(そうり)」が担っていると考えます。腠理は、主に皮膚表面から筋肉の間(表皮から真皮まで)の組織のこと。ここに体の働きを支える「気」(エネルギー)、「血」、「津液」(潤い)が十分に巡ることで、肌が健やかに保たれ、バリア機能が備わるのです。また、皮膚表面を覆う「衛気(えき)」(体の抵抗力となるエネルギー)も、外邪(ウイルスや花粉など)の侵入を防ぐバリア機能として働いています。

このように、健康な肌を保つためには気・血・津液の充実が不可欠です。ところが、子どもはまだ「脾胃」(胃腸)の働きが未熟で栄養を十分に取ることができず、気・血・津液も不足しがちに。そのため、肌が乾燥しがちでバリア機能も弱く、かゆみや感染症などのトラブルが起こりやすくなるのです。

「保湿」+「きちんと栄養」を心がけて

幼児・小児の肌ケアは保湿が基本ですが、体の中から健やかな肌づくりを意識することも大切。毎日の食事でバランスよく栄養を取り、健やか肌の成分となる「気・血・津液」をしっかり養いましょう

 

〜「乾燥肌」セルフチェック〜

肩、背中、腕の皮膚をしっかり観察して、手で触れてみましょう。鳥肌のような小さいブツブツがあったり、粉がふいていたりしたら、乾燥肌体質と考えてしっかりケアを。

 

【幼児・小児のスキンケア】

① 保湿+デトックス+栄養補給を意識して

潤いを守る「保湿」+雑菌の増加を抑える「デトックス」のスキンケアで、乾燥や感染症トラブルを防ぎましょう。また、健やか肌の成分「気・血・津液」を補うこともポイントです。

スキンケア用品は子どもの肌にもやさしい成分を選び、毎日のこまめなケアを心がけてください

 

おすすめ中医美容成分

・保湿・肌の栄養補給に:沙棘(サージ)、当帰(とうき)、人参、地黄(じおう)、薏苡仁(ヨクイニン) など

・デトックス(肌荒れ)に:紫根(しこん)、山椒、五行草、黄柏(おうばく)、茵蔯(いんちん)、茶木(ちゃき) など

 

おすすめアイテム

瑞花露薬用保湿クリーム」「瑞花露薬用保湿ローション」「瑞花露薬用ソープ」「瑞花露ボディケア入浴液」など

 

② 紫外線対策のポイント

春から夏の時期は、紫外線対策も忘れずに。子どもの肌にもやさしい日焼け止めを選び、顔と首をしっかり保護しましょう。手足はあまり気にせず、カルシウムの代謝を促すためにも1日30分程度は日光を浴びるのがおすすめです

【肌を養う食養生】

タンパク質(肉類、豆類など)を多めに、穀類や野菜もバランス良く取りましょう。子どもは「脾胃」の働きが弱いため、冷たいもの、刺激のあるもの、油っこい料理、スナック菓子、甘いものなどは控えめに。

おすすめ食材

米、山芋、さつまいも、焼き魚、豚肉、鶏肉、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、豆類、バナナ、リンゴ など

おすすめ生薬

黄耆(おうぎ)、白朮(びゃくじゅつ)、山査子(さんざし)、麦芽、茯苓(ぶくりょう) など

【中国のおばあちゃんの知恵袋】

中医学では脾胃を「後天の本」といいます。古代から神麹(しんきく)、山楂子、麦芽を三仙といい、子供や脾胃の弱い方々の「脾胃」の消化機能を整える伝統的な生薬の組み合わせです。神麹(しんきく)の別名は、六曲(ろっきょく)や神曲(しんきょく)とも呼ばれ、麦芽・フスマ・紫蘇・赤小豆などを混ぜて、植物性発酵物させたものです。山楂子は肉などタンパク質や脂肪、糖質などの三大栄養の消化分解を助けます。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 暁波 先生

楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など