節気「小寒・大寒」の寒い季節に起こりやすい「かゆみ・炎症」中医美容タイプ対策 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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節気「小寒・大寒」の寒い季節に起こりやすい
「かゆみ・炎症」中医美容タイプ対策

2021.01.05 UPDATE

監修:楊 暁波 先生(中医学講師)

楊暁波先生の中医美容レッスン Vol.57

冬本番ともなると、最小湿度は20%ほどになることも。肌はすっかりカサつき、かゆみやヒリヒリ感などのトラブルも起こりやすくなります。こうした不調は、主に冬の寒さと乾燥が要因。四季のある日本では肌の状態もめまぐるしく変わるため、季節に応じた適切なケアを心がけ、健やかな肌を保ちましょう。

冬の「かゆみ」はどうして起こる?

かゆみやヒリヒリ感(炎症)といった症状は、冬の代表的な肌トラブル。その主な要因は肌の「乾燥」で、乾いた空気はもちろん、冬の「寒さ」も大きく関係しています

寒くなると、人の体は体温を逃がさないために皮膚表面の血管を収縮させます。すると、血流が悪化し、血液によって運ばれる栄養や潤いが肌に十分行き届かず、乾燥が起こるようになります。加えて、カラカラの空気が肌の潤いを奪っていくため、乾燥が一層進んでしまうのです。

こうした状態が続くと、潤い成分の不足で角質層の細胞間に隙間ができ、バリア機能が低下した状態に。すると、 “かゆみを感じる神経”に外部の刺激が届きやすくなり、「かゆみ」が引き起こされるのです。

さらに、肌を掻くとヒスタミン(かゆみを引き起こす物質)の分泌が促され、かゆみが増すという悪循環が起こります。これが、冬の“かゆみのスパイラル”の正体です。

 

二十四節気でみる肌トラブル

中国2500年前の春秋戦国時代から1年間の季節の変化により、農耕業や体の生理、病理などにどのような影響を与えるかを観察してきました。変化を24つに分け「二十四節気」と命名し、この節気の自然変化に順応し養生すれば、体・心・肌の健康を保つことができるとされています。中医美容学では体・肌と自然界は統一であるという「整体観」を持っています。1月は5日に「小寒」と20日に「大寒」という節気があります。1月の節気の特徴は寒さ、乾燥です。
冬の肌トラブルは寒さと乾燥の影響で起こると考えます。寒さによって体内の「陽気」(体を温めるエネルギー)を消耗すると、体が冷えて血管が収縮し、血流が滞った状態に(血寒血瘀)。また、空気の乾燥は体の水分を奪うため、血の潤いが不足し、体内に余分な熱がこるようになります(血燥血熱)。こうした状態が肌の乾燥を招き、バリア機能が低下してかゆみや炎症を引き起こすのです。

[冬のかゆみ・炎症を招く中医学の要因]

血寒血瘀(けっかんけつお):寒さで陽気を消耗し、体が冷えて血流が悪化した状態
血燥血熱(けっそうけつねつ):潤い不足で血が乾燥し、熱を帯びている状態
繰り返す症状を根本から改善するためには、こうした体内の不調も合わせて改善していくことが大切です。

体の内と外から!冬のかゆみ肌を防ぐ中医美容ケア

肌の潤いを守りながら、体内の乾燥と冷えを改善する。これが、冬のかゆみ・炎症対策の基本です。

<おすすめ食材>

冬の食事は「温補」「滋潤」すなわち「温潤活」が基本。淡甘(自然な旨味)を中心に塩味を抑え、苦味を取ることもポイントです。

●潤いアップ食材:栗、牡蠣、卵、黒ごま、もち米、亀、フカヒレ、スッポン、牛筋、蜂蜜、白きくらげ、果物、松の実 など

●体を温める食材:にら、黒豆、里芋、かぼちゃ、くるみ、シナモン、しょうが、八角、うなぎ、鹿肉、羊肉 など

 

<スキンケア>

●全身の保湿

肌は全身つながっているため、潤いが逃げないよう体全体の保湿を。スキンケア製品は、“肌に必要な成分”が配合されているものを選んで。

 

[保湿力 + バリア機能を高める成分]

●皮脂膜を補う:ローズオイル、沙棘オイル、ホホバオイル、オリーブオイル など

●角質層細胞間脂質を保つ:セラミド、コレステロール、リン脂質 など

●天然保湿因子(NMF)を守る:アミノ酸、尿素、ヒアルロン酸 など

 

[肌を整える中医美容成分]

当帰、薬用人参、地黄、ヨクイニン、紫根、沙棘オイル、珍珠、シルク、はちみつ など

おすすめ:「瑞花露薬用保湿ローション」「瑞花露薬用保湿クリーム」「セ・サージクリーム」など

 

<暮らしのポイント>

●冬の“早寝遅起き”を心がけ、太陽とともに活動を。

●足から下腹部の保温をしっかり。寒さは足元から侵入します。

●入浴は「長湯や洗い過ぎに気をつけ、ぬるめの湯・肌にやさしい液体の入浴剤選び・入浴後すぐ保湿」を守って!

おすすめ:「瑞花露ボディケア入浴液」「瑞花露薬用ソープ」など

 

タイプ別養生法 〜体質改善で冬の肌を健やかに〜

冬のかゆみ・炎症を招く主な要因は「血寒瘀血」と「血燥血熱」。当てはまる症状があれば、しっかり体質を改善しましょう。
「血寒血瘀」タイプ
寒さで「陽気(体を温めるエネルギー)」を消耗し、体が冷えて血行不良を起こしているタイプ。肌の乾燥、かゆみのほか、しみやくすみが目立ちやすいことも特徴です。
このタイプの養生は“保温”が第一。冷えが侵入しやすい首、手首、足首の保護(マフラーや手袋)、毎日の入浴、適度な運動などを心がけ、体をしっかり温めて血流の良い状態を保ちましょう。
●気になる症状
ざらざら乾燥肌、しみ、くすみ、たるみ、むくみやすい、しもやけ、冷え症、頻尿、月経痛、肩こり、しこり、皮膚の色素沈着・黒ずんだ肌 など
●おすすめ食材
しょうが、にんにく、玉ねぎ、青魚、鹿肉、牛肉、バラ茶、紅花茶 など
※冷たい飲食は控えめに!
●おすすめ生薬
紅沙棘、当帰、黄耆(おうぎ)、川芎(せんきゅう)、田七人参、紅花、丹参 など
「血燥血熱」タイプ
体内の潤いが不足して、乾燥から熱が生じているタイプ。敏感肌で赤みがあり、ヒリヒリとした炎症を起こしやすいことが特徴です。養生の基本は、体内の潤いを養い、体にこもった熱を冷ますこと。乾燥した食べ物(せんべい、ナッツ類など)や刺激物の取り過ぎは、乾燥や炎症の悪化につながるので注意しましょう。
●気になる症状
敏感肌、ヒリヒリ感、顔の赤み(炎症)、かゆみ、ひどい粉吹き肌、皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)、乾癬(かんせん)、シェーグレン症候群(目の乾燥、口の乾燥、慢性関節リウマチ等)の悪化 など
●おすすめ食材
大根、緑豆、百合根、銀杏、白菜、トマト、きゅうり、苦瓜、れんこん、クコの実、菊花茶、鶏の手羽先、亀、スッポン、フカヒレ、なまこ など
●おすすめ生薬
・かゆみ、赤みに:五行草、牡丹皮、黄芩、竜胆草、金銀花、たんぽぽ、野菊花 など
・潤いアップに:地黄、黄精(おうせい)、紅沙棘、麦門冬、玉竹、哈士蟆油(はしまゆ)など

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 暁波 先生

楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など