監修:楊 暁波 先生(中医学講師)
楊暁波先生の中医美容レッスン vol.53
秋は春と並んで「花粉症」が起こりやすい季節。鼻水やくしゃみといった不調に加え、肌トラブルに悩まされることも少なくありません。特に、今年の夏は猛暑でのマスク着用など肌への負担も大きく、そこに秋の乾燥や花粉のダメージが加わるため要注意。
秋だけでなく、春の花粉症が気になる人も今からしっかり体質を整え、つらい症状を和らげましょう。
夏のダメージでさらに悪化しやすい秋花粉の肌トラブル
鼻や目の一般的な花粉症の症状に加え、肌には赤み、ヒリヒリ感、皮むけなどのトラブルが起こります。季節によって症状に変化はありません。つらい症状を悪化させないためにも、体質を改善して不調の起こりにくい身体をつくることが大切です。
また、秋の花粉症に伴う肌トラブルは、夏のダメージを引きずっていると強く出てしまうことも。
夏は紫外線やエアコンによる乾燥、汗などの影響で肌のバリア機能が低下しがちになります。そのままの状態で秋を迎えると、肌は外からの刺激を受けやすい状態に。そこに、秋の乾燥や花粉のダメージが重なり、不調が起こりやすくなるのです。
初秋を迎えるこの時期、肌に夏のダメージを感じている人は早めの回復を心がけましょう。
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ブタクサ
花粉やウイルスの侵入を防ぐ体の働き
全身の気をつかさどる臓腑で、皮膚や鼻、気管支などの状態と深く関わります。衛気を全身に巡らせるのも肺の働きです。
食事の栄養から気を生み出す臓腑。脾胃は水分代謝も担っているため、鼻水の症状とも関係しています。
花粉症体質さんに続けほしい基本の養生
そのためには、まず「肺」の潤いを守り、機能を強くすることを心がけて。また、「脾胃」の働きを整えて「気」を十分養うことも大切です。暴飲暴食、冷たい飲食などは脾胃の負担となるので控えましょう。
黄蓍(おうぎ)
症状が出てしまったときの花粉症肌荒れ対処法
症状が出たら適切な対処でつらい症状を和らげましょう。
●洗顔
帰宅してからすぐ化粧を落として、洗顔しましょう。
解毒作用があり、洗っても乾燥しすぎない人参、当帰(とうき)、紫根(しこん)などが入っている中医コスメ液体ソープがおすすめです。
●オイルパック
サージオイル、ホホバオイルまたはオリーブオイルなどで10~20分間パックし、ぬるま湯で洗い流す。その後、オイルタイプのクリーム(サージ、ホホバオイルなど)で肌の保護を。
サージオイル、ローズマリー油などが入っている油性クリームは肌と粘膜を保護し、素早く修復してくれます。
肌の手入れやマッサージはこすりすぎず、優しく行いましょう。
目・鼻・喉の症状にも中医学で対策を
(1)目のかゆみ、充血
●中医美容スチーム
菊花3g、五行草2g、牡丹皮3gをティーバッグに入れてお湯を注ぎ、やけどしないよう注意しながら、湯気を目にあてましょう。
●目のかゆみ、充血を緩和するツボ
攅竹(さんちく):左右の眉頭の内側のくぼみ
睛明(せいめい):左右の目頭の上のくぼみ
を各20回程度押します(画像参照)。
●おすすめのお茶
緑茶&菊花のブレンド茶
(2)くしゃみ、鼻水、鼻づまり
●鼻水
多量のサラサラ鼻水には「温める」が基本。カイロを5分程度鼻に当てて。黄色く濃い鼻水には「冷やす」が基本。冷たいタオルで鼻を冷やしましょう。
●マッサージ
鼻筋、小鼻、小鼻の脇のツボ「迎香(げいこう)」のツボを各20回程度押しましょう(画像参照)。
●おすすめのお茶
紅茶に生姜、はちみつ、しそなどをプラスして。湯気をすーっと鼻に通すと症状がラクになります。
(3)のどの痛み、かゆみ
●おすすめのお茶
緑茶、ドクダミ茶、板藍根のお茶 など
●積極的に取りたい食材
梅干、青みかん、陳皮、ウコン茶、しそ、緑茶、野菜 など
一度発症すると“治らない”と思われがちな花粉症ですが、体質を改善すれば症状は和らぎます。そのためにも、季節を問わず日頃からの体質改善を続けていきましょう。
この記事を監修された先生
中医学講師楊 暁波 先生
楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など