監修:金井 ひかり 先生(国際中医薬膳師)
【難易度★★☆】もちきびは胃腸の働きを高めて体力回復に期待できます。
もちきび 平性/甘味 胃腸虚弱、消化不良、咳、化膿の緩和 など
かぜや冷えで「気」(エネルギー)が弱まると、心身共に疲れやすく、消化吸収を主る「脾胃(ひい)」(胃腸)の働きが弱まるため、食べた物が停滞しさまざまな不調の要因になります。もちきびは、脾胃の働きを高め、消化不良のゲップや胃もたれ、吐き気など、胃腸の不調を改善し、体力の回復を助けてくれます。また、肺の機能を補う働きもあるため、かぜをひきやすく咳の出やすい人にもおすすめです。
また、血流の改善や、酵素の働きを高め、新陳代謝を活発にする「ミネラル」や、疲労を緩和し、脂質や糖質を上手に燃焼してくれる「ビタミンB群」が豊富です。もちきびはイネ科の一年草で雑穀の一種ですが、雑穀の中で最も低カロリーで、抗酸化作用にも優れており老化防止効果も期待されます。
もちきびロール白菜
RECIPE
寒暖差が激しい季節の変わり目は、かぜをひきやすくなります。薬膳では、かぜの症状に合わせて食材を選びます。
今回は、冬にかかりやすいお腹のかぜにおすすめのもちきびをベースに、気血の巡りを良くし消化を助けるたまねぎとにんにく、気血を補い胃腸の働きを高める干ししいたけ、胃腸を温め気の巡りを良くするナツメグを加えました。巻いている白菜は、ビタミンCを豊富に含み、冬のかぜ予防や免疫力アップにも。発熱や喉の渇きを緩和し、胃腸を整えてくれます。
お腹のかぜには、刺激の強い香辛料や、油っこいもの、冷たいもの、生ものは避け、あっさりとした消化の良い物を摂り入れましょう。
調理時間60分
材料
干ししいたけ…2枚(10g)
昆布……………5cm角
にんにく………1/2片
ナツメグ………ひとつまみ
菜種油…………小さじ1
しょうゆ………適量
COOKING
- 1干ししいたけと昆布は、300ccの水に浸し、冷蔵庫で一晩(10時間以上)戻す。
- 2白菜はしんなりするまで3~5分茹で、ザルに上げ水気をきって冷ます。もちきびをボールで洗い、目の細かいこし器や、茶こしを使って水を捨てる。
- 3にんにく、たまねぎ、戻したしいたけはみじん切り、にんじんは輪切り、ブロッコリーは小房に切る。小鍋に油とにんにくを入れ、中火で香りが出たらたまねぎとひとつまみの塩を加える。
- 4たまねぎがしんなりしたら干ししいたけを加えさっと炒め、140ccの水、もちきび、ナツメグを加える。沸騰したら蓋をして弱火で15分炊き、火を止めて10分蒸らす。
- 5白菜の芯を手前にして置き、④を手前にのせてひと巻きし、両端を内側に折り込み、最後までしっかりと巻く。巻き尻を楊枝または、パスタなどでとめる。
- 6小鍋に⑤をきっちりと隙間なく並べ、①を注ぎ、塩、しょうゆを小さじ1/2ずつ加え調味する。蓋をして弱めの中火で柔らかくなるまで約30分煮る。
- 7その間ににんじんを6分、ブロッコリーを3分同じ鍋で煮て器に盛り付ける。
料理のポイント
- point! もちきびは同様に脾胃を整える働きがあるアワやヒエで代用できます。茹でた雑穀を炒めものやサラダに入れるのもおすすめです。
- point! 干ししいたけは、丸のまま冷水でゆっくり戻すと、一番旨味と香りがよく出ます。最低でも10時間、大きいものは24時間戻しましょう。
- point! にんじんの栄養は、皮のすぐ下に含まれるので、皮を剥かずに使うか、剥いた皮を刻んでもちきびロールの具材と一緒に炒めて入れ込みましょう。
この記事を監修された先生
国際中医薬膳師金井 ひかり 先生
金井 ひかり(かない ひかり)
那須塩原市の薬膳レストラン『おいしい薬膳 白牡丹』主宰・オーナーシェフ。
調理師学校講師を経て、日本中医学院(旧北京中医薬大学日本校)に入学。卒業後は日本中医栄養薬膳学研究会で薬膳調理実習講師を担当した後、行政による薬膳講座など全国各地で講師を務める。食を通して自然とつながり、食の持つ癒しの力で心と身体が元気になる薬膳を提供している。