監修:楊 暁波 先生(中医学講師)
楊暁波先生の中医美容レッスンvol.8
寒い季節の肌トラブル~あかぎれ、しもやけは体質改善でなおす~
寒い季節に起こりやすい肌のトラブルと対策
あかぎれ
指、手のひら、かかとなどに発症。まず皮膚が乾燥し、つぱった感じがあり、弾力がなくなる。皮がむけ、亀裂ができる。悪化すると亀裂が深くなり、出血を伴ったり、細菌に感染して化膿することも。痛みがある。
【対策】
秋のうちから、まめにスキンケアを心がける。水に触れるときにはゴム手袋をつけ、水温は高過ぎないように注意をする。
しもやけ
体の露出部、特に手足の末端や耳などに発症。紅色ないし紫色に腫れる。悪化するとジクジクしたタダレになる。痒みを伴う。発症は冬で、暖かい季節になると自然に治る。
【対策】
秋のうちから厚着をする。日ごろから血行を良くするよう心がける。
レイノー現象
手足の指先が突然白くなり(血流が悪化)、次いで青または紫色(血流回復)に、さらに赤色(充血状態)に悪化する。進行に伴い、冷感、痺れ、痛みが伴う。基礎疾患のない「レイノー病」と、基礎疾患のある「レイノー症候群」がある。強烈なストレスで発症することも。
【対策】
秋のうちから、手揉みマッサージなどで血行を良くしておく。患部が冷やされると細い血管がけいれんするので、外出するときには手袋は忘れずに!
寒冷ジンマシン
寒冷が刺激となって、耳や顏、手足などに発症するジンマシン。突然皮膚が赤くなり、腫れる。激しい痒みを伴うが、数時間で治る。女性に多い。
【対策】
睡眠をよくとる。ストレスを避ける。女性の場合は冷え性、生理不順の改善や食生活などで血を補うよう心がける。
まずは、陽虚・血虚の体質改善から
冷えと関係する、あかぎれ、しもやけ、レイノー現象、寒冷ジンマシン。それぞれ症状は異なりますが、中医学では、いずれも「陽虚」(体を温める力が不足している状態)と「血虚」(血の不足)という体質に問題があるとして同じ治療法をとります。病名や症状が違っても、体質改善などのように共通した治療を行うことを「異病同治(いびょうどうち)」といいます。
それぞれの病状の特徴については別表にまとめましたが、陽虚、血虚の症状としては、冷え性で特に手足が冷える、普段から眩暈や立ちくらみがある、血色が悪く肌に透明感がない、くすみやすい、皮膚がカサカサする(特に口元や目元の乾燥)便秘気味、血液検査による白血球の数値が正常範囲内ではあるが低め、女性ならば月経の量が少なく血の塊がある、生理痛がある、などです。こうした症状があれば、寒い、冷たい、といった刺激を受けることで、先にあげたいずれかのトラブルに悩む可能性が大きくなります。
陽虚や血虚は生まれ持った体質であることが多いのですが、不摂生や無理なダイエットなどで栄養が不足している場合にも起こります。美肌の大敵でもあるので、根本的な体質改善が必要です。特に、女性は月経により血が不足しがちですから、普段から、養血・補血を心がけたいものです。
温めることが予防・治療に効果的
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この記事を監修された先生
中医学講師楊 暁波 先生
楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など