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気が付きにくい妊娠中の主な7つの症状と養生

STUDY中医学の基礎

気が付きにくい妊娠中の主な7つの症状と養生

2021.10.19 UPDATE

待望の妊娠はとても嬉しく喜ばしいことですが、一方で急激な体の変化に戸惑い、不安を感じることも多くなります。体質や生活環境によっても症状は異なりますが、少しでも不安やつらい症状を和らげられたらいいですよね。
今回は、中医学の知恵を活用した、妊娠中に起こる症状別の予防・改善法をお届けします。
 

【妊婦さんが気をつけたい8つの生活習慣】
(1)冷飲冷食、冷風冷気を避ける
(2)味付けは薄めに(とくに妊娠後期はむくみ、血圧が高くなりやすいので注意する)
(3)香辛料やカフェインの強いもの、お酒、タバコ(副流煙を含む)、生肉、活血作用(血の巡りをよくする)のある紅花、ウコン、サフランを避ける
(4)激しい運動・過労・徹夜を避け、休息をしっかりと取る
(5)お腹に力を入れると子宮を圧迫するため、重い荷物はなるべく持たない
(6)妊娠初期は夫婦生活(性交渉)を避ける
(7)妊娠初期はなるべく化学薬品の服用を避ける(持病に対する薬は主治医と相談の上で服用する)
(8)性器出血がみられたら早めに医療機関にかかる

(1)流産の予防

妊娠初期の3ヶ月間は、流産しやすい時期。特に不妊治療、高齢妊娠、また習慣性流産の人は、一般的な人に比べ流産のリスクが高いので、妊娠初期だけでなく妊娠全期において注意しましょう。
お腹の強い張りと痛み、腰の痛みや重だるさを感じたら、早めに病院に行くなど、無理せず対応することが大切です。酷くなると少量の性器出血がみられるようになります。
 
【中医学的な原因】
「脾気下陥(ひきげかん)」・「腎虚失蔵(じんきょしつぞう)」
臓器を定位置にとどめる機能が低下して、下に落ちやすくなっている状態。
 
【予防・改善方法】
「健脾補気(けんぴほき)」・「益腎固胎(えきじんこたい)」
身体に必要なものを体内にしっかり保持する働きのある「脾」(消化器系)、「腎」の機能を高める

(2)妊娠初期にみられる「つわり」(悪阻)

胃がもたれる、ムカムカして吐き気がある、食欲がない、唾が多くなる、匂いに敏感になるなどの症状があらわれます。
 
【中医学的な原因】
●脾虚痰湿(ひきょたんしつ)
「脾」(消化器系)の機能が弱り、栄養を全身へ運ぶ働きが低下して、水分代謝が落ちている状態
 
【予防・改善方法】
「健脾益気(けんぴえっき)」・「温胃化痰(おんいかたん)」
胃腸を温めて、消化機能を高めましょう。妊娠初期は、胎児の心臓・神経などが育つ大切な時期です。食欲がなく吐いてしまっても、食事を1日5回に分けるなど、少しずつでも食べることを心がけましょう

(3)妊娠高血圧

血圧が高くなる、めまい、頭痛、吐き気、むくみなどを伴います。
妊娠中毒症は、むくみ、タンパク尿、高血圧を主症状とする妊娠合併症です。ひどくなると痙攣、昏睡、胎盤早期剥離、肺水腫などになり、流産、早産、未熟児出産、最悪死に繋がる重い病気。妊娠高血圧の人は、減塩、高タンパク質低カロリーの食事、体重が増え過ぎないように心がけましょう。
 
【中医学的な原因】
「陰虚肝旺(いんきょかんおう)」・「水湿滞留(すいしつたいりゅう)」
体に潤いを与える陰血が胎児に使われ、「肝」の陽気が上がっている状態。妊娠中の水分代謝の悪い状態は高血圧を悪化させやすい。
 
【予防・改善方法】
「滋陰潜陽(じいんせんよう)」・「疎肝利水(そかんりすい)」
肝の巡りを促し、水分代謝を良くする食材を取り入れる。

(4)その他のよくある症状

(1)便秘
便が硬くてうさぎの糞のようにコロコロしている、3日間以上排便がない、お腹が張る、口が渇くなどの症状があり、ひどくなると痔になることもあります。妊娠安定期に入れば毎日30分ぐらい散歩をして、腸のぜんどう運動を促すと良いでしょう。

【考えられる原因】
(1)血虚腸燥(けっきょちょうそう)
血液が胎児を育てるために使われ不足し、腸を潤すことができない状態
(2)大きくなった子宮が腸管を圧迫し、便の出が悪くなっている状態

【予防・改善方法】
「養血滋陰(ようけつじいん)」・「潤腸通便(じゅんちょうつうべん)」
血を補って腸を潤す食材を取り入れる

●おすすめ食材
ほうれん草、小松菜、蓮根、トマト、きゅうり、さつまいも、にんじん、大根、カブ、牛乳、蜂蜜、ごま、松の実、バナナ、いちじく、プルーン、桃、みかん など

●おすすめメニュー
・にんじん・蓮根・ごぼうのきんぴら
・小松菜・バナナのスムージー(牛乳と蜂蜜を入れてもOK、ただし冷たくし過ぎないように)



(2)貧血
立ちくらみ、めまい、だるい、疲れやすい、眠たい、肌がカサカサするなどの貧血症状があらわれます。

【中医学的な原因】
「気血両虚(きけつりょうきょ)」
胎児の成長に血液が使われ、全身の循環血液量も増えるため、十分な気血が足りていない状態

【予防・改善方法】
エネルギーを補う「益気」、血を補う「補血」の食材を積極的に取り入れ、栄養バランスの良い食生活を心がける

●おすすめ食材
長芋、大和芋、ほうれん草、小松菜、モロヘイヤ、にんじん、かぼちゃ、レバー、卵、うずらの卵、鶏肉、豚肉、牛肉、まぐろ、イチゴ、桃、なつめ、クコの実 など
※ほうれん草、モロヘイヤには葉酸が豊富に含まれています

●おすすめメニュー
・ほうれん草と卵の炒め物(クコの実添え)
・焼き鳥のレバー



(3)むくみ
むくみ(とくに下肢)、両手足の重だるさ、排尿障害などの症状があらわれます。

【中医学的な原因】
「水湿滞留(すいしつたいりゅう)」
子宮が大きくなり、静脈やリンパ管を圧迫して水分代謝が悪くなっている状態。

【予防・改善方法】
「益気利尿(えっきりにょう)」
エネルギー補給できる食材、尿の出を良くする食材を取り入れる。

●おすすめ食材
大豆、黒豆、小豆、緑豆、はと麦、そば、大根、カブ、きゅうり、冬瓜、へちま、緑豆春雨、緑豆もやし、黒豆茶、オオバコ茶、杜仲茶など

●おすすめメニュー
・もち米・小豆・栗の炊き込みご飯

「切迫流産」と診断されたら

妊娠22週未満で出血や腹痛がある場合、流産のリスクがある「切迫流産」と診断されます。お腹や腰が下に引っ張られて重だるさを感じますが、自覚症状がない場合もあります。
原因は、前置胎盤、転倒やぶつかるなどの外部からの刺激、痩せすぎ、過労などが考えられ、妊娠したら大前提として、激しい運動や過労、徹夜などを避けるようにしましょう。

切迫流産と診断された場合、医師の指示に従い即入院することもあります。自覚症状があればすぐに病院へ行き、早めの対処が大切です。

PROFILE

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。

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