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タイプ別対策春に多く見られる更年期障害の症状

STUDY中医学の基礎

タイプ別対策
春に多く見られる更年期障害の症状

2021.04.20 UPDATE

前回の「春は重くなりやすい?中医学で考える更年期障害」では、更年期障害の原因と春に重くなる理由についてお伝えしました。後半は、ホットフラッシュやのぼせ、イライラや不安感など、症状別の対処法を詳しくご紹介していきます。

あなたはどっち?まずは更年期障害の体質チェック

更年期障害の要因は、大きく2つに分けて考えます。まずはどちらの症状が強いのか、チェック項目で確認してみてくださいね。
 
(1)「陰虚火旺(いんきょかおう)」タイプ
□のぼせ
□ほてり
□カーッと熱くなり発汗する(ホットフラッシュ)
□冷えのぼせ
□不眠
□寝汗
□足腰がだるい
□耳鳴り
□倦怠感
□元気が出ない
 
(2)肝鬱気滞(かんうつきたい)・気血不和(きけつふわ)タイプ
□イライラ
□憂鬱・不安・気持ちが落ち込みやすい
□性格が変わったように些細なことで怒ったり、落ち込んだりする
□やる気がでない
□自信がなくなる
□乳房が張って痛い
□肩凝り
□頭痛
□目のかすみ
□のどにものが詰まるような不快感

なお、両タイプ伴う人も多いです。どちらも当てはまった数が多い人は、以下でご紹介する養生を両方参考にしながら、健やかな生活に役立ててください。

(1)陰虚火旺タイプの基本養生

潤い不足によって熱を冷ますことができず、体に熱がこもっている状態です。
  
(1)補腎・養血を心がける
若い頃から補腎・養血を行い、卵巣機能の急降下を防ぐことが大切。飛行機のソフトランディングのようにだんだん降下することで、緩やかに閉経を迎えることができます。
 
(2)遅寝、徹夜、過労を避ける
夜の時間帯は腎を養い、腎の疲れを修復する最良の時間。早寝を心がけ、遅くでも0時前には寝るようにしましょう。過労は気、特に「腎気」を消耗します。若い頃から不摂生をすると、加齢につれ、腎の衰えが早いスピードで現われてしまいます。
 
(3)生理中・生理後・産後にはしっかり養生する
女性の体は、常に血不足に陥りやすい状態です。特に生理中・生理後・産後にはしっかり養生するようにしましょう。
 
・生理中・生理後
経血を消耗し血虚になりやすいため、補血と温経(全身を温める)の漢方薬や食材がよく使われます。中国では生薬の当帰(とうき・婦人の聖薬)を主とする漢方薬を飲む習慣があり、食材ならなつめ、クコの実、シナモン、黒砂糖のお茶やスープもよく食されています。
 
・産後
子宮を含む、全身を修復する重要な時期。産後は補腎・補気・補血をしっかりと。
豚骨・大豆・なつめ・クコの実を合わせたスープは、母乳(白い血)の出に良いとされています。

(1)陰虚火旺タイプのおすすめ食材とツボ

【補腎・補血の食材】
黒米、山芋、ブロッコリー、マイタケ、しいたけ、黒豆、豆乳、小松菜、ほうれん草、トマト、えび、牡蠣、レバー、スペアリブ、豚骨、ひじき、ハマグリ、あわび、スッポン、ごま、くるみ、ナッツ類、ブルーベリー、ざくろ、イチゴ、プルーン、なつめ、クコの実 など
 
【おすすめの料理・ドリンク】
・のぼせ、ほてり、ホットフラッシュ
煮た黒豆、いちご入りの豆乳
・足腰の怠さ、耳鳴り、倦怠感
えびとブロッコリー(そらまめ)の炒め物
 
【のぼせ、ほてりを緩和するツボ】
・腎兪(じんゆ):ちょうど腎臓のあたり。親指が背中側にくるようにしてウエストを両手でつかんだときに親指が当たる部分。
・太溪(たいけい):内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ。

(2)肝鬱気滞・気血不和タイプの基本養生

肝の気の巡りが滞っている「気滞」の典型的な症状。やる気や自信がなくなる気滞・気虚を併用したり、肝の血不足から目のかすみが出ることもあります。
 
(1)更年期を怖がらず、恐れず正しく認識する
月経が来なくなると「女性として終ってしまった」と悲観的に感じてしまう人も少なくありません。
人生100年時代において、49歳ごろの更年期はちょうど人生中盤の節目。自分のための第二の人生の入り口です。
更年期前後にしっかり養生をすれば、残りの人生を元気で長生きすることにも繋がります。更年期を恐れず迎え入れ、楽しく過ごすことを心がけてみましょう。
 
(2) 完璧を求めない
何事も完璧を求め過ぎると、心のゆとりが失われリラックスできず、肝の疏泄機能は乱れやすくなります。人様に迷惑をかけないなら、家事も仕事もほどほどに。完璧主義から解放され、柔軟な考え方を取り入れてみましょう。
 
(3)ストレスは溜めず発散する
こまめにストレスを発散することも大切。気の合う友達と食事をしたり、ざっくばらんにお話したり。また、アロマテラピーなど好きな趣味を見つけて、のんびり1人の時間を作るのも良いですね。
 
(4)適度な運動
運動はストレス発散に良い作用をもたらし、気血の流れも良くしてくれます。また、骨や関節を強化させ、続けることで糖尿病、高脂血症、骨粗鬆症、老化の予防にも繋がります。

(2)肝鬱気滞・気血不和タイプのおすすめ食材とツボ

【気の巡りを良くする「疏肝理気(そかんりき)」食材】
春菊、三つ葉、セリ、セロリ、大葉、苦瓜、金針菜(きんしんさい)、イカ、あさり、しじみ、梅干し、オレンジ、グレープフルーツ、みかん、ミント、玫瑰花(まいかいか)、陳皮(ちんぴ)、ラベンダー、カモミール、ウコン など
 
【イライラ、怒りっぽい、憂鬱、不安に】
オレンジ、グレープフルーツ、りんご、イチゴ、ミントが入ったお茶(果茶)やサングリア など
 
【憂鬱、やる気がでない、自信喪失に】
セロリ・金針菜とイカの炒め物
 
【ストレスによる頭痛、肩凝りを緩和するツボ】
・肩井(けんせい):乳頭から真上に手をすり上げ、肩の一番高いところ。
・風池(ふうち):首の付根、後頭骨の下のくぼみ
 
女性なら誰もが避けては通れない更年期ですが、中医学の知恵を借りることで予防・対処することはできます。第二の人生を前向きに乗り越えていきましょう。

PROFILE

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。

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