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漢方・中医学で薬食同源vol.4デトックス・新陳代謝の春は「山菜」

STUDY中医学の基礎

漢方・中医学で薬食同源vol.4
デトックス・新陳代謝の春は「山菜」

2021.02.16 UPDATE

冬の終わりから春先にかけて出回る、独特の「苦み」と「香り」のある山菜。これらの風味は、春の気候が身体に及ぼす影響と密接な関係があり、良い作用をもたらします。
今回は、山菜の中医学的な特徴や効能、美味しい食べ方や注意点などを、わかりやすくお伝えしていきます。

新陳代謝を促す食材「山菜」

立春(2021年は2月3日)は、旧暦において一年の始まりを意味し、春の気配を感じ始める日です。
春に芽生える大地の恵みを食卓に取り入れ、一年を健やかに始めましょう。

春の暖かい風を受け、山や野原の雪解け土から芽生えてくるのが山菜。冬にエネルギーを蓄えた山菜は、独特の香りとほのかな苦みがありますが、これには解毒効果があり、また、芽吹きのパワーもあります。
食卓に取り入れることで、身体の新陳代謝を促し、冬に体内にため込んだ老廃物を掃除(中医学用語で「発陳(はっちん)」)しながら、陽気を昇発させます。

今回は一般家庭でもよく登場する山菜を抜粋してご紹介します。

旬の山菜を上手に活用!おすすめ10選
~1・2月ごろから収穫を迎える山菜~

(1)セリ(収穫期間:1~4月ごろ)
春の七草の一つとして知られ、爽やかな香りとシャキシャキとした歯ごたえが人気です。

【薬膳的な作用】
解熱、利尿、平肝潜陽(へいかんせんよう・高ぶった肝の熱を鎮め、落ち着かせる) など
【こんな人におすすめ】
高血圧、精神不安定、のぼせ、ほてり、むくみ、気分が高まり眠れない など

(2)ふきのとう(収穫期間:2~5月ごろ) 
中国では蜂斗菜(ほうとさい)と呼ばれ、雪解けの土の中からひょっこり顔を出してくるので「春の使者」と言われています。

【薬膳的な作用】
通便、止咳、去痰(痰切り)、解毒、消腫(むくみを取る) など
【こんな人におすすめ】
便秘、喉の腫れによる痛みがある、咳、喉のほうから出てくる粘液状の痰がある、肺が弱い など

(3)たけのこ(収穫期間:2月中旬〜6月ごろ)
シャッキリした歯ごたえが特徴です。食物繊維が豊富。

【薬膳的な作用】
通便、去痰、解熱、胃腸の働きを良くする、解毒 など
【こんな人におすすめ】
便秘、お腹が張る、むくみ、咳がよく出る、喉のほうから出てくる粘液状の痰がある、高血圧 など

旬の山菜を上手に活用!おすすめ10選
~3月ごろから収穫を迎える山菜~

(4)タラの芽(収穫期間:3~4月初旬ごろ)
良質なタンパク質、脂質、また豊富なビタミンやミネラルなどが含まれているので「山菜の王様」「山のバター」とも呼ばれています。

【薬膳的な作用】
解毒、通便、解熱 など
【こんな人におすすめ】
むくみ、便秘、高血圧、血糖値上昇を抑えたい など

(5)つくし(収穫期間:3~4月ごろ)
つくしんぼ、つくしんぼうとも呼ばれ、早春の土中から顔をのぞかせるので「春の代名詞」として親しまれてきました。

【薬膳的な作用】
利尿、止咳、解熱、止血 など
【こんな人におすすめ】
膀胱炎、尿路感染症、むくみ、気管支炎、痔の出血 など

(6)ヨモギ(収穫期間:3~5月ごろ)
漢方薬では艾葉(がいよう)と呼ばれ、もぐさの原料としてもよく知られています。
アロマテラピー効果もあり、「ハーブの女王」とも言われます。

【薬膳的な作用】
体を温める、止血、鎮痛、安胎 など
【こんな人におすすめ】
冷え性、お腹の冷え、下痢、痔の出血、吐血、不正出血、月経痛、月経過多、おりものの異常、切迫流産、腫れ物 など
特に婦人科系トラブルに用いられます

(7)ハマボウフウ(収穫期間:3~5月ごろ)
漢方薬で使われる「防風」は、日本には自生しておらず、香りが似ている「ハマボウフウの根」が「防風」の代用として使われてきました。

【薬膳的な作用】
発汗、解熱、鎮痛、止咳、去痰 など
【こんな人におすすめ】
風邪などの発熱、頭痛、関節痛、咳、喉のほうから出てくる粘液状の痰がある、湿疹 など

(8)ゼンマイ(収穫期間:3~6月ごろ)
ナムルとしてよく使われています。

【薬膳的な作用】
通便、利尿、補腎、補血 など
【こんな人におすすめ】
便秘、むくみ、足腰の虚弱、貧血 など

旬の山菜を上手に活用!おすすめ10選
~4月ごろから収穫を迎える山菜~

(9)ウド(収穫期間:4~5月初旬ごろ)
日本では「独活」と書きますが、中国漢方薬の「独活」とは別物です。
日本では平安時代からウドが使われており、大きく成長すると固くて食べられない(使い物にならない)ことから、「ウドの大木」ということわざができました。

【薬膳的な作用】
祛風(発汗)、利尿、鎮痛 など
【こんな人におすすめ】
頭痛、神経痛、関節痛、足腰が弱い、冷え、むくみ、リウマチ など

(10)わらび(収穫期間:4~5月ごろ)
わらびの根に多く含まれるでんぷんを乾燥させた粉末「わらび粉」で作ったものがわらび餅ですが、とても高価なため、加工品のわらび餅が一般的です。

【薬膳的な作用】
解熱、利尿、去痰、通便 など
【こんな人におすすめ】
熱感を持つ関節腫痛、喉のほうから出てくる粘液状の痰がある、便秘、むくみ など

芽吹きの春に向け、体を調えよう!

山菜は、地域や習慣によって多少の分類や味の違いはありますが、基本的に苦味があり、アクの強い食材です。食材に合わせてアク抜きをし、天ぷらや炒めもの、おひたしなどで少しずつ献立に取り入れてみてくださいね。
また、芽吹きのものはパワーがある食材なので、表に出てアレルギーなどを悪化させる恐れもあります。アトピー性皮膚炎、蕁麻疹などの皮膚疾患、アレルギー性疾患、喘息のある方は避けたほうがいい場合もあります。十分に注意しながら、山菜の効能を活用して、芽吹きの春に向け体を調えていきましょう。

PROFILE

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。

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