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漢方・中医学で薬食同源vol.1ーまるごと役立つ「みかん」ー

STUDY中医学の基礎

漢方・中医学で薬食同源vol.1
ーまるごと役立つ「みかん」ー

2020.11.17 UPDATE

漢方・中医学で薬食同源vol.1

食べることは生命を養う基本。おいしさやカロリーはもちろん気になるところですが、“食材の持つ力”をきちんと活かせば、日々の食事は体をケアする「食養生」に変わります
今回からスタートする「漢方・中医学で薬食同源」シリーズでは、食材の効能を中医学の視点からご紹介します。第1回のテーマは「みかん」。おいしく食べて健康になる、そんな食生活のためにぜひ参考にしてください。

「薬食同源」ってどういうこと?

「薬食同源」という言葉は、中医学の基本となる考え方の一つ。「食」は健康な体をつくる根本で、“命は食にあり、食誤れば病にいたり、食正しければ病は自ずと癒える”とされています。つまり、「日々の食事こそ良薬」ということです。
ちなみに、中国最古の薬学書『神農本草経』には365種の生薬が記載されていますが、その半数以上は食物なのだそう。それほど、体にとって食は薬と同じということなのですね。
 
こうした考え方は中国の人々にしっかり根付いていて、日々の食養生はごく当たり前に。“どの食材にどういう効果があるか”ということをよく知っていて、その日の体調や季節などに合わせて食材を上手に取り入れています。
日々の食事は5年、10年先の健康づくりにもつながる大切なこと。いつまでも元気に過ごすためにも、食材のことを知り、自分の体に必要なものをきちんと選ぶことを心がけましょう。

「食養生」の基本を知る

食材には、「味(五味)」「性質(五性)」「帰経(体のどこに作用するか)」の特性があります。この特性を自分の体調や体質に合わせて取り入れ、体を整えていくことが食養生の基本です。
 
【五味】
それぞれの味に作用があり、五臓に対応しています。
●酸味[肝]:体液(汗や尿など)の過剰な流失を抑える。
●苦味[心]:熱を冷ます、余分な水分を取り除く、通便を良くする。
●甘味[脾]:体力を養う、痛みを和らげる。
●辛味[肺]:体を温め、気・血の巡りを良くする。邪気を発散させる。
●鹹味[腎]:固いもの(しこりなど)を柔らかくする。
 
【五性】
身体を温めるか、冷やすかを表し、「寒性・涼性・温性・熱性・平性」に分けられます。
●寒性・涼性:余分な熱を冷まし、身体を冷やす食材。
●温性・熱性:身体を温める食材。
●平性:冷やし過ぎず、温め過ぎずない、常食できる穏やかな食材。
 
【帰経】
食材や生薬が、体のどの臓腑や部位に作用するかを表します。
 
食養生について詳しくはこちら!
「よくわかる中医学vol.25-毎日の食卓に薬膳を-」

「みかん」は胃腸トラブルの妙薬

これから冬に向けて、旬を迎える「みかん」。日本で一般的に栽培されるのは温州みかんで、中国有数のみかんの産地・温州市にちなんでその名がついたとされています。
その栄養価は、ご存知の通りビタミンCがとても豊富。また、疲労回復に作用するクエン酸、整腸作用のあるペクチンなど多くの成分が含まれ、“1日3個のみかんで病気知らず”と言われるほど、栄養豊富なフルーツとして知られています。
 
中医学でも、みかんは身近な生薬として欠かせない存在で、皮や種、筋までまるごと薬として使われています。中でも重宝されるのは、胃腸トラブルに力を発揮する皮(橘皮(きっぴ))の部分。手軽な胃薬として常備する家庭も多く、“ちょっと胃がもたれるな”と感じたら橘皮をお茶にしたり、料理に添えたりと、便利に使われています。
ちなみに、漢方薬として主に使用されるのも、みかんの皮を乾燥させた「陳皮(ちんぴ)」です。陳皮は古いほど薬効が高いとされ、生薬としては1年以上経過したものが使われています。

部位別「みかん」の効能

ジューシーな果肉はもちろん、皮から白い筋まで、みかんは捨てるところがありません。皮を乾燥させた陳皮は家庭でも手軽につくれるので、ぜひ日頃の食養生に取り入れてみてください。
 
中医学で考えるみかんの効能
【橘皮:みかんの皮】
[薬味]辛味・苦味 [性質]温性 [帰経]脾・胃・肺に作用
効能:
1.「気」(エネルギー)を巡らせ、胃腸を整える。胃の張り、胃痛、膨満感、腹痛、食欲不振、消化不良、げっぷ、吐き気、嘔吐などに。
2.余分な水分と痰を取り除く。咳、痰(白い痰)、喘息、胸のつかえなどに。
 
一般的には成熟したオレンジ色の皮を使いますが、未成熟な青い皮「青皮(せいひ)」は気を巡らせ、消化を促す作用が強いとされています。
 
【橘絡(きつらく):薄皮についている白い筋】
[薬味]甘味・苦味 [性質]平性 [帰経]肝・肺に作用
効能:痰を取り除き、気を巡らせる。咳による胸脇疼痛、血痰などに。
 
【橘核(きっかく):みかんの種】
[薬味]苦味 [性質]温性 [帰経]肝・腎に作用
効能:気を巡らせ、しこりや痛みを和らげる。乳房のしこり・脹痛(乳腺症)、睾丸脹痛、鼠径部ヘルニアなどに。
 
【橘葉(きつよう):みかんの葉】
[薬味]苦味・辛味 [性質]平性 [帰経]肝・胃に作用
効能:気を巡らせ、しこりや腫れものを取り除く。ストレスによる胸脇脹痛、乳房のしこり、乳房の炎症性の症状(乳腺症、乳腺炎など)などに。

「みかん」を使ったおすすめレシピ

【自家製陳皮】
洗ったみかんの皮を風通しの良い日陰で干し、カラっと乾燥させる。保存は密閉容器で。
 
【陳皮茶】
消化不良、食欲不振など、胃腸の不調を感じたときに。
陳皮とすりおろししょうがにお湯を注いでお茶に。はちみつや黒糖を入れるのもおすすめ。
 
【大根サラダの陳皮添え】
咳や痰が多いときに。肺に作用する大根をサラダにして、陳皮で香りを添えて。

【その他のレシピ】
眠りが浅く、よく目が覚めてしまう不眠に「里芋と湯葉の陳皮あんかけ」

健康体を維持するため、毎日の食事に「食養生」を取り入れてみてはいかがでしょうか。

PROFILE

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。

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