監修:松本 誉子 先生(中医薬膳師)
【難易度★☆☆】
陳皮(ちんぴ・乾燥したみかんの皮)は痰湿による胸のつかえや、吐き気の症状を緩和します
陳皮 温性/辛味・苦味 胸のつかえ・咳・痰・腹部の張り・吐き気・下痢を緩和
陳皮(ちんぴ)は、日本では温州みかんを乾燥させた物のことを指します。「陳」の字には古いという意味があり、乾燥期間が長いものほど良いとされています。
陳皮には、気の巡りの改善や胃の働きを整える作用があり、吐き気、下痢の症状を緩和する他に、胃腸の不調から水分代謝が滞ることで生じた、体の余分な水分を取り除く働きがあります。
そのため、胃もたれや、胸やけ、咳、痰の症状がある時にもおすすめの食材です。
陳皮の香り成分には精神をリラックスする働きもあるため、香りを楽しめるお茶や入浴剤として使うのも良いでしょう。
【自家製陳皮の作り方】
無農薬、ノーワックスの温州みかんの皮をむき、皮を適当な大きさに切って、ザルの上に干すだけで簡単に作ることができます。冬の間に沢山作っておくと便利です。
※生薬の陳皮は1年以上乾燥させたものを使います
里芋と湯葉の陳皮あんかけ
RECIPE
不眠の原因はさまざまあります。ストレスや過労、体力の消耗の他に、「痰湿(たんしつ)・痰熱(たんねつ)」も不眠の原因になります。「痰熱」とは、甘い物や脂質の多い食事の過食、暴飲暴食などから脾胃が弱り、飲食物が停滞し、余分な水と熱が停滞してしまった物のこと。
痰湿・痰熱タイプの不眠は、眠りが浅い、夢をよく見る、寝ても目が覚めてしまうなどの不眠症状の他に、ゲップ、吐き気、イライラの症状があるのが特徴です。
甘い物や脂の多いもの、アルコールは湿熱の原因になるので、摂り過ぎないように注意しましょう。
里芋と湯葉は、胃の働きを助けて、痰湿を取り除く働きがあり、胃の調子が優れない時におすすめの食材です。今回はさらに陳皮を加えて、気の巡りや痰湿を取り除く効果をアップさせたお料理になっています。また、上に散らした三つ葉にも気の巡りを良くする働きがあるので、飾りとしてではなく、全て食べるようにしましょう。
調理時間30分
材料
COOKING
- 1里芋は皮をむいて綺麗に洗い、食べやすい大きさにカットする。
- 2①と水を鍋に入れ、沸騰したら火を弱め約10分弱火で煮る。
- 3湯葉は水で戻し1㎝角にカットする。
- 4白だしと湯葉を②に入れ、10分弱火で煮る。里芋が柔らかくなったら、陳皮を入れる。
- 5水で溶いた片栗粉を④に入れてとろみをつけ、三つ葉と一緒に器に盛り付ける。
料理のポイント
- point! 青みかんの皮を乾燥させたものは「青皮」といい、気を巡らす力がより強いとされています。ストレスからのイライラ、鬱々の症状が強い時には青皮を使うと良いでしょう。
- point! 陳皮はインターネット通販や漢方薬局、自然食品を扱っているお店でもで購入できます。
- point! 湯葉は生のものを使ってもいいです。出来立ての香りが良く、柔らかい食感でいただくことができます。今回は消費期限の都合から、常備できる乾燥湯葉を使いました。
この記事を監修された先生
中医薬膳師松本 誉子 先生
松本 誉子(まつもと たかこ)
中医薬膳師。中医薬膳茶師。みそソムリエ。日本中医食養学会局員。
くらし薬膳 美容薬膳の執筆/監修/指導。
日本中医学院(旧北京中医薬大学日本校薬膳科)を卒業後、薬膳理論を取り入れたカフェを世田谷区三軒茶屋にオープン。現在は薬膳料理教室『ドードーの空キッチン』の主宰兼講師として、楽しく食べれる「おうちごはん」をモットーにカラダと心の健康を保つ方法を伝えている。