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知っておきたい!妊娠中の肌トラブル対策

2020.10.06 UPDATE

監修:楊 暁波 先生(中医学講師)

楊暁波先生の中医美容レッスン vol.54

妊娠中は、さまざまな体調の変化が現れやすい時期。肌の状態もゆらぎがちで、乾燥やにきびといった不調が起こりやすくなります。こうした肌トラブルは予期せぬもので、戸惑いを感じる人も少なくないはず。肌荒れの悪化はストレスにもつながるので、原因と対処法をきちんと知り、適切のケアを心がけましょう。

妊娠すると肌荒れしやすいのはなぜ?

妊娠すると、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌が盛んになります。エストロゲンは美肌作用があるため、その影響で妊娠中は肌の調子が良くなるという人も。
一方、妊娠初期に増加するプロゲステロンには、子宮の状態を整える大切な働きのほか、皮脂の分泌を活発にしたり、メラニンの分泌を促したりする作用があります。そのため、ニキビ、シミ、色素沈着といった肌トラブルが起こりやすくなるのです。
また、妊娠中は新陳代謝が活発になり、発汗量が増えてあせもができやすくなることも。さらに、赤ちゃんを育てるための体の変化、食事の偏りなどから肌の潤いが不足し、乾燥やかゆみに悩まされることもあります。
【妊娠中に起こりやすい肌トラブル】
・ニキビ、吹き出物
・あせも
・シミ、色素沈着
・乾燥、かゆみ
※乾燥肌、アトピー性皮膚炎など日頃から肌の不調がある人は、妊娠中に悪化しやすい傾向があるので注意しましょう。
こうした肌トラブルの多くは、妊娠中期に入ってホルモンバランスが安定すると、自然と緩和していきます。あまり心配せず、日頃のこまめなケアで不調を和らげましょう。

「陰」「陽」のバランスが肌荒れ要因に

中医学では、人の体は「陰」と「陽」のバランスが整うことで、健やかな状態が保たれると考えます。体の要素や作用で陰陽を捉えると、次の通り。
・陰(「血(けつ)」、「津液(しんえき)」(潤い)、「精」(生命エネルギーの源)など)
栄養や潤いを与え、熱を冷ます作用
・陽(「気」(エネルギー))
体力の源で、体を温める作用
妊娠中の体の状態を見てみると、妊娠初期は排卵後の高温期が2週間以上続きます。これは、陰陽のバランスが崩れ、陽が盛んになった状態。そのため体内に余分な熱がこもりやすく、ニキビ、吹き出物、多汗によるあせも、乾燥(熱による潤いの消耗)などの肌トラブルが起こりやすくなります。
また、妊娠すると、母体は通常の1.5倍(ピーク時)もの血量を必要とするように。さらに、赤ちゃんを育てるために水分もたくさん消耗するため、体内の陰(血や津液)が不足しがちになります。その結果、乾燥やかゆみといった潤い不足の症状が起こりやすくなるのです。
「乾燥肌」「肌荒れ・敏感肌」「シミ・色素沈着」は、妊娠中に多くの女性が感じる肌の悩み。次では、それぞれの症状に合った適切なケアで、肌の状態を健やかに整えるおすすめの方法をご紹介いたします。

妊娠中に多い肌のお悩み(1)乾燥肌

妊娠中は羊水や赤ちゃんの成長に、また産後も母乳の生産にと、体の潤いや栄養をたくさん消耗します。そのため肌は乾燥しやすい状態が続き、皮膚のカサカサ、軽いかゆみ、便秘気味といった乾燥症状が現れるように。
妊娠したら不足しがちな「血」と「津液」をしっかり養い、肌に潤いや栄養が行き渡るよう心がけましょう。
【おすすめ食材】
卵、牛肉、手羽先、レバー、うなぎ、魚、チーズ、ナッツ類、すっぽん、にんじん、ほうれん草、ぶどう など
●胎児の成長も考えてタンパク質や亜鉛、カルシウムを含む食材をしっかり。
【おすすめ生薬】
哈士蟆油(ハシマユ)、紅沙棘オイル、クコの実、地黄、当帰、麦門冬 など
【スキンケア】
入浴後、5分以内を目安に全身をしっかり保湿。生薬エキスを配合した「瑞花露ボディケア入浴液」「瑞花露薬用保湿クリーム」などがおすすめです。

妊娠中に多い肌のお悩み(2)肌荒れ・敏感肌・ニキビ

妊娠初期は高温期が続き、体内に過剰な熱がこもりがちに。また、体の抵抗力が弱くなり、外部からの刺激にも敏感になります。その結果、肌の赤み、ニキビ、カサカサ、かゆみ、湿疹といった炎症性の肌トラブルが起こりやすくなるのです。
養生の基本は、余分な熱を冷まし、肌を解毒してトラブルの要因を取り除くこと。また、便秘は肌荒れの原因にもなるので、通便を良くすることも大切です。
【おすすめ食材】
豚肉、鶏肉、豚足、大豆製品、長芋、にんじん、白きくらげ、れんこん、苦瓜、トマト など
●体を温めすぎない食材、ビタミンB群を多く含む食材を。
【おすすめ生薬】
哈士蟆油(ハシマユ)、紅沙棘オイル、西洋人参、真珠 など
【スキンケア】
肌荒れがひどい時は、解毒作用のある緑茶などでパックを。

妊娠中に多い肌のお悩み(3)シミ・色素沈着

妊娠中に増加する女性ホルモン(プロゲステロン)にはメラニンの生成を促す働きがあり、シミ・そばかす、脇や乳頭部などの色素沈着といった肌トラブルが起こりやすくなります。
このタイプのケアは、妊娠で不足しがちな「気」、「血」を養い、肌の新陳代謝を高めることが大切。つわりなどの不調もある時期ですが、気血は食事の栄養から生み出されるため、なるべくバランスよく栄養を取りましょう。
【おすすめ食材】
トマト、ぶどう、オレンジ、キウイ、キャベツ、にんじん、鶏レバー、ニラ、小松菜 など
●ビタミンC、βカロテンを多く含む食材を。
【おすすめ生薬】
紅沙棘オイル、真珠水解タンパク質 など
【スキンケア】

日焼け止め、帽子などで日常の紫外線対策を。色素沈着のケアには、紅沙棘オイル(「紅沙棘」)や真珠水解タンパク質を含むクリーム(「セ・サージクリーム」)などがおすすめです。肌トラブルから、赤み、痒みなどの症状が酷く、不眠やストレスを強く感じる場合は、胎児の成長に影響を及ぼすことがあります。専門の漢方薬局・薬店や病院にご相談されることをおすすめします。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 暁波 先生

楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など