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足の皮膚がボコボコ?女性がなりやすい下肢静脈瘤の中医学的予防法

STUDY中医学の基礎

足の皮膚がボコボコ?女性がなりやすい
下肢静脈瘤の中医学的予防法

2020.06.16 UPDATE

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とは、足の皮膚の表面を通っている静脈がこぶのようにボコボコと盛り上がったり、網目状に浮き上がったりする疾患のこと。
長時間立ち仕事をする人や高齢者に多いといわれていますが、最近では一日中パソコンに向かっているデスクワークの人にも多くみられます。

下肢静脈瘤は命に直結するような疾患ではありませんが、痛みや痒みなどの不快な症状に加え、美容面(見た目の悪さ)から気持ちが落ち込んでしまう人も。
不快な症状が出る前から対策をして、健康的な脚をキープするための中医学的な養生法をお届けします。

下肢静脈瘤にみられる症状とは?

下肢静脈瘤は、足の表面に見られる静脈の浮き上がりですが、次第に足がだるい、むくむ、こむら返り、ほてり、痒み、痛みなどの症状もあらわれます。
 
ひどくなると皮膚湿疹(痒い、ジュクジュク)、潰瘍(皮膚が崩れてえぐれたようになる)、色素沈着(皮膚の一部が黒ずむ)などもあらわれます。見た目(美容面)の悪さから、スカートが履けなくなるなど、気持ちが落ちこんでしまう人も少なくありません。

下肢静脈瘤の発症原因と西洋医学的な治療法

下肢静脈瘤は、血液の逆流防止のために足の静脈についている「静脈弁」の働きが悪くなり、足から心臓へ押し上げる血液の流れが逆流して静脈内に戻ってしまうことで起こります
 
長時間立ちっぱなしや、重い荷物を運ぶ仕事をしている人、肥満体質の人が発症しやすい傾向にありますが、「静脈弁」が生まれつき少ない人もいます。また、腹圧の上昇でも血管が圧迫されるため、出産回数の多い妊婦の方も注意が必要です。
 
よく使われる治療法としては、弾性ストッキングを着用する「圧迫療法」、カテーテルやレーザーなどを使用する手術、静脈瘤内に硬化剤を注入して血管を塞ぐ「硬化療法」などがあります。
 
下肢静脈瘤は、一度なってしまうと自然治癒が難しい疾患で、上記のような手術を受けても再発することがあります。病気が発症する前から体質を見ながら対応して未然に防ぐ「未病先防」の中医学的な考え方からみても、症状が出る前やひどくなる前から早めに予防対策をしたいところです。
 

中医学で考える「下肢静脈瘤」の原因3タイプ

中医学の考え方において下肢静脈瘤の共通点は「瘀血(おけつ)」(血行不良)です。ただし、瘀血になる原因はいくつもあるので、それぞれのタイプによって具体的な予防・改善策は異なります。瘀血になる原因別に3タイプに分けてお伝えします。
 
(1) 冷えによる「寒凝瘀血(かんぎょうおけつ)」タイプ
寒い場所やクーラー環境の中で立ちっぱなしの状態が続く、薄着なことが多い、冷たい飲食をよく取る習慣がある人に症状が出やすい傾向にあります。
中医学には「血得寒則凝」(血は寒を得ると、すなわち滞る)という言葉があり、体の冷えが血の巡りを滞らせると考えます。「冷え体質」を改善するためには、その要因となっている習慣を取り除くことが大切です。
 
【おすすめ養生】
・衣類の調節で保温する(スカートよりもパンツを、特に生理中の女性は要注意)
・毎日ゆっくりと湯船に浸かって身体を温める
・適度な運動で血流をよくする
 
【おすすめ食材】
身体を温める野菜(生姜、ネギ、玉ねぎ)、スパイス(シナモン(肉桂)、こしょう、茴香(クローブ)、八角、からし)、身体を温めて血流を促す紅花茶(べにばなちゃ)など
 
(2)エネルギー不足による「気虚瘀血(ききょおけつ)」
「気」(エネルギー)が少なくなると、血を全身に押し出す力も少なくなります。過労、高齢、体力不足の人に症状が出やすい傾向にあります。また、出産によっても気血を消耗するので、出産回数の多い女性は気をつけましょう。
 
【おすすめ養生】
・無理な行動を避け、夜更かしは控え十分な睡眠を
・パワートレーニングよりもストレッチやヨガなどを取り入れ、筋肉を付けて体力を維持することを心がけて
・無理なダイエットもNG、偏食をやめて栄養バランスの良い食事を心がける
 
【おすすめ食材】
補気・補腎の食材(長芋などのイモ類、大豆・黒豆などの豆類)、たまご・魚・肉などの良質なタンパク質を積極的に取り入れましょう。
 
(3) 肥満による「痰湿瘀血(たんしつおけつ)」
肥満、メタボリック体質で体重の重い人は、逆流防止の足の静脈弁に常に負担がかかるため、症状がでやすい傾向にあります。
 
【おすすめ養生】
・暴飲暴食を避け、油っぽいもの・甘いもの・間食を控えましょう
・汗をかくような運動をして減量を心がけて
 
【おすすめ食材】
雑穀類、海藻類(昆布やワカメなど)、根菜類、痰湿・瘀血に作用するEPA・DHAが豊富な青魚(いわし、さば、あじ)などを積極的に取り入れましょう。

簡単にできるセルフケアで予防しよう!

下肢静脈瘤の予防は早めスタートがポイントです。

・寝るときに足を少し高めにする
・毎日、湯船で足のマッサージ
足首から心臓に向かい片足ずつ10回ほど滑らすように擦りましょう。ただし、生理中は入浴・プールともにNG。生理中は膣の免疫力が下がり、特にプールは冷えの原因にもなります。
・立ちっぱなしの状態が続くときは、1時間ごとにツボ押し
下記のツボを円をかくように10秒ぐらい押します。
 
【足のむくみをとり、血流を改善するツボ】
血海(けっかい):ひざの皿の内側、指三本分上のところ。全身の血流を促します。
合陽(ごうよう):膝の裏の中央より真下へ、指幅3本分ほどのところ。足やふくらはぎの疲れやむくみを改善します。
復溜(ふくりゅう):内くるぶしの一番高いところから親指の幅2本分上。足のむくみを改善します。
 
1日数分でできる簡単セルフケアです。つらい症状の改善だけでなく、予防のためにもぜひ取り入れてみてくださいね。

PROFILE

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。

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